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花持ちをよくする方法。風通しの良い場所に置いて、毎日水換え、そして、

「茎を少しずつ切ってください」

水に浸したところから悪くなるので。そう説明を受けながら渡された切り花。私の腕に収まった綺麗な一輪の花。

花瓶に水を張り、包装を解いて、活ける。美しく咲き、人を悦ばせるようにと大切に育てられた花は、こちらにその楚楚とした貌(かお)を向けた。


貴方はその美しさと引き換えに、少しずつ小さくなっていく。その輝きを保つために、自分の一部を失っていく。私は貴方を少しでも長く愛でたいがために、愛しい貴方を刻んでいく。

「ずっと」などないことは分かっているから。せめてできるだけ永く、最後の一番近くまで、綺麗な貴方を見るために、貴方を損なわせてほしいのだ。

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