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焼き鳥とビール

私は食べることが好きだ。食べるのも早い。
息子と映画館に行くとポップコーンを2人で食べながらみる。
映画の本編が始まる前から、私はポップコーンへの手が止まらない。
すると、息子は無言で私の手をつかんで首を横に振って(「まだ食べないで」)と止める。
私は(「わかった」)と首を縦にふる。
が、本編が始まったと同時にまたパクパクとポップコーンを食べ始める。
そしてまた息子に手をつかまれて首を横に振って(「食べ過ぎ」)と
注意される。
私は(「わかった」)と首を縦に振る。ちょっとペースを落として
遠慮気味食べる。
このやりとりを毎回やる。楽しんでいる。これをいつまでもやっていたい。

息子も食べることが好きだが、ゆっくり食べる。
それはとてもいいことなのだ。間違いない。
私は、熱々のものはアツアツ言いながら食べたいし、冷たいものは頭をキーンとさせたり体を冷やしながら食べたい。そして美味しいものを口の中いっぱいにして食べたい。急いでいるわけではなく、手が止まらないのだ。
棒アイスをぱくぱく噛んで食べる私の隣で、ぺーろぺーろゆっくり食べている息子をじれったく思って変な顔になる。
「おれはゆっくり味わいたいんだ!!」間違いない。

食べることが好きで飲むことも好きな高校からの友達がいる。
私もたくさん食べるが、彼女も同じくらい食べる。
食べる速度はお互い無意識に合わせているのだろうが、ごく自然だ。
だから遠慮しないで、2人でたくさん食べてたくさん飲む。
そして果てしなくおしゃべりをする。
この時間がものすごく好きだ。
彼女は結婚して外国へ行ってしまったので、
会えるのは日本に帰ってきた時で、なかなか会えない。

時々ライン電話で話す。
いつも変わらなく楽しい。
遠くにいるのに、近くにいるようだし、時間も止まる。
電話の最後にはまたあの焼き鳥屋さんへ行きたいねってそう、会いたいのだ。
そもそも高校一年生の時に同じクラスになって、
おしゃれでセンスが良くて優しくて面白くて友達になりたいと思った。どちらかというと一方的な片思いだとしばらくは思っていた。卒業して大学は離れてしまったが、手紙を送りあったり電話をしたりつながりをなくしたくないと思った。それはムリやりではなく、単純に手紙も電話も楽しかった。
出会って10年以上過ぎたころ、私がまた「こんな私と付き合ってくれてありがとう」とゴニョゴニョ言うと「私も好きで一緒にいるよ」というニュアンスの返事をもらって、心底嬉しかった。

今年も彼女に会えることをご褒美に今日を頑張ろうと思う。
焼き鳥にビール、いいね。
息子にもこんな風に思える友達ができるといいなと思う。


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