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キンキンも生燗も!「菊の司 純米生原酒 亀の尾仕込 ド・ニゴリ」

こんにちは、ボンです。

3日目のお酒はこちら!!

菊の司酒造㈱「菊の司 純米生原酒 亀の尾仕込 ド・ニゴリ」

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アルコール:17度
精米歩合:60%
原料米:宮城県石巻産契約栽培「亀の尾」
酵母:きょうかい9号泡なし

当社の人気商品「菊の司 純米生原酒 亀の尾仕込」を、蔵開き限定酒として本数限定でにごりで詰めた1本です。個人的に当社商品の中でも好きなお酒の1つですが、ローテーションの関係で市場に出回るのはある程度熟成したものになっています。それを新酒のにごりで楽しめるという代物です。

【蔵開き2020限定】菊の司 純米生原酒 亀の尾仕込 ド・ニゴリ
https://kikunotsukasa.shop-pro.jp/?pid=149741729

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「亀の尾」はすっかり日本酒ファンの間ではお馴染みの米かと思います。亀の尾から様々な品種の米が生まれ、「ひとめぼれ」や「コシヒカリ」と言った、日本の食卓を支える飯米が存在しています。競走馬で言えばダーレーアラビアンみたいなもんですね(伝われ)

亀の尾自体、新酒の出来立てほやほやは味に硬さを感じるので、僕は熟成に向いた原料米だという認識です。必ずしもフレッシュローテーションに向いた酒ばかりではないことを、毎度毎度気づかせてくれる貴重な存在です。

なので出来上がったばかりの生原酒を飲むのは僕自身初めて(?)という状況で、非常にわくわくしています。にごりで味幅が補完されるので、新酒特有の硬さも軽減されてそう。期待と想像が膨らみ、いざテイスティングです。

噴出注意!!

出荷までは氷温で貯蔵しているので、「まあいくら活性言うてもそんな噴くわけあらへんがなあ(笑)」とエセ関西弁を話す余裕もありつつ開栓。念のため王冠が吹っ飛ばないように押さえながら行いました。(当社専務がYouTubeに解説動画を上げているのでチェックしてみてください。)

結論から言うと、めっちゃ噴きます(笑)僕はプロなので1滴もこぼさずに飲酒まで至りましたが、気をつけないと絶対噴きます。

初動の混ざっていない状態の時は、ガスが抜ける感覚こそあれど、液面がどんどん上がってくる様子はありません。

次に栓を閉めて澱をしっかり絡ませ再びゆっくり王冠を取ります。ドロドロすぎて一気に上がることはないですが、15秒ぐらいかけて徐々にてっぺんまで上がってきました。悠長に上がるのを見て栓を閉めたら、2分くらい待っても液面が下がりません。完全に飲めんやないかい…。上がってくる最中に1杯入れればよかった…。

その後格闘することかれこれ10分ほど、ようやく1杯採取することに成功しました。長かった。

まずは冷酒で

フレッシュなプチシュワ感を楽しむにはまずは冷酒だよね!ということで、氷温庫から出してきたばかりのキンキンの状態でまずはゴクンと一口。

うまい!若さはあるんだけどうまい!そんな第一印象です。若さゆえの苦渋とか、尖り気味の酸味を感じますが、濁酒なのでそこらへんの味わいが幾分か丸くなっています。熟成を念頭に置いた酒造りをしているお蔵さんだと、新酒時はにごらせて出荷したりしていますが、結局そういう部分に起因していると思います。澄酒だともうちょっと印象変わるかな…。

冷たくして飲むならこれからの季節だと、ソーダ割も面白そうだと思います。日本酒:ソーダ=2or3:7or8ぐらいの割合でもおいしいはず。

生燗に挑戦!

最初に飲んだ瞬間、「こいつは燗だ」と体に電撃が走ったので、すぐさまケトルのお湯を沸かします。ぜってえうめえわ~。

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ただ今回つけるのは生原酒。普通の火入れ酒のようにつけたって最大値の味を引き出せません。いわゆる「生燗」ってやつです。このnoteを読んでいるみなさんも思わずやってみたくなること間違いなしなので詳しく書かせていただきますね。

ちなみに酒によって方法は変わってくると思うので、あくまでも今回紹介している酒の最適解を書いていきます。他の酒にも応用は利くと思うので参考までに。

①まずは火入れをします

…いきなり「なにいってんだこいつ」状態だと思いますが、マジで火入れをします(笑)火入れというのは温度を65度以上まで上げて、発酵を止めたり酵素を失活させるのが目的ですが、今回の場合は数分後に飲むためだけの作業なので、少し意味合いが変わります。「ガスを抜く」のが目的です。

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この作業をしている最中に液面を見てみると、大小様々な泡が浮いてくる様子がわかります。「フレッシュなプチシュワ感」と先述しましたが、まさにそれは酵母が生んだガス由来のものであり、今回浮上している泡の正体もほぼほぼこのガスです。

中途半端に温めるとこのガスが変に香ってきて(※この香りを例えることは僕の語彙では不可能)個人的に嫌なので、しっかり抜くことに専念します。温度計をちろりの中でかき混ぜているのを見ると、「あー、そんなカチャカチャすな」と言いたくなることもしばしばあるのですが、この時ばかりは僕も箸でちろりをかき混ぜてガス抜きを手伝います。

あらかたガスが抜けると表面の泡が消えてくるので、良い塩梅になったら次の段階です。

②まず飲むべ(笑)

…再び「なにいってんだこいつ」状態だと思いますが、次の工程なんてのはなくて普通に飲酒を開始します。ガスが抜けるのを待つ段階でこちとら「酒飲むのにどんだけ時間かけるつもりだよ!!はよ飲ませろ!!」状態なので、心のチンピラを鎮めるためにまずは飲むわけです。

しかし!!ここからが重要。ただ飲むと言っても先ほどの火入れがポイントです。火入れというからには65℃以上には温めています。なので最初の一口はけっこう熱めからスタートしますよね?ちろりに入れたままにしておくと熱伝導が良いので、1杯、2杯と飲んでいるうちに、5℃、10℃と下がっていき、じゃあ3杯目いったろかなのタイミングでは50℃前後にまで下がっています。そう!燗冷ましをしながら飲めるわけですね。

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熱々を一口。うーん、うまい(笑)味も崩れてないし、シンプルに素朴な米の旨みが広がる感じ。冷酒で目立っていた苦渋も消えてかなり柔らかくなった印象です。ただ酸もかなり消えてしまっているな…。

次に2杯目。お、酸がさっきより感じられて平坦さが無くなった。これはいいですねえ…。体感値ではこれでたぶん55度くらいかな。口の中でじんわりと広がる風味が、良い中華料理屋で出てくる杏仁豆腐みたいで口福…。(※今回飲んだ中ではこの段階が一番旨かったです)

よーし、勢いに乗って3杯目と、いきたいところでしたが、ここでひと手間加えます。

③再加熱

燗冷ましの3杯目ぐらいは50℃前後になってると書きましたが、ここでもう一度温め直します。1回温度を上げきっておくと味が締まるのでそこからまた温めるのは有効ですが、生燗の場合、中途半端に上げてからさらに温めるのはあまり意味がないのでおすすめしません。

仮に2パターンをどちらも同じ品温に仕上げるとして、「上げて上げて」の方はもわーっと広がる感じ、「上げて落として上げた」の方はキュッとした感じになります。伝わるでしょうか?(笑)僕の体感でしかないのであくまでも参考までですが…。

今回の酒はキュッとさせた方が亀の尾特有の酸味から来るキレが生きてくると思ったのでこのような手法を取りました。それに上げきってから燗冷ましをした方が、1合で様々な温度変化を楽しめるという利点もありますしね。

まあ正解はないんでいろいろ試してみてください。

この機会に試すことを楽しみましょう

と言った感じで生燗をやってみましたが、まとめると、

①一度しっかり上げきってガスを抜く。
②抜けきって温度が下がった50~55℃が一番うめえ。
③下がったやつを燗つけ直したやつも味が締まってうめえ。

となります。

亀の尾はやっぱり特別な米で、大雑把な表現ではありますが「素朴な旨味・香り」は唯一無二だなと感じます。澄酒では感じられない本当の意味での米の良さを、今回の限定酒では楽しめると思いますので、ぜひECサイトからお試しください。生熟した澄酒との飲み比べもありかも…?

【蔵開き2020限定】菊の司 純米生原酒 亀の尾仕込 ド・ニゴリ
https://kikunotsukasa.shop-pro.jp/?pid=149741729

純米生原酒 菊の司 亀の尾仕込720ml
https://kikunotsukasa.shop-pro.jp/?pid=133863534

家飲みだと1升瓶・4合瓶では多すぎるといった声が昨今あるようです。ただ今回僕が紹介したように、1杯では終わらない量を確保しているからこそ実験しながら色々楽しめるという点も、日本酒の醍醐味だと思っています。缶をぷしゅーしてゴクゴク、ぷはーっ!!も良いですが、燗をチリチリつけてちびちび、くーっ!!も良いもんですよ(笑)

家飲みがどうしても多くなる今だからこそ、そういった楽しみ方も1つとして、「再発見」を大事にしてほしいなと。そう願っております。

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