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速醸一筋の蔵元!「白老 特別純米酒」

こんにちは、ボンです。

4日目のお酒はこちら!!


澤田酒造㈱「白老 特別純米酒」

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アルコール:15度
精米歩合:60%
原料米:愛知県産「若水」

愛知県は常滑市の澤田酒造さんが醸す「白老」。競馬ファンは「しらおい」と読んでしまいそうですが、「はくろう」ですからね?間違えるなよ?な?(実体験から)

個人的に好きなお蔵さんの1つで、いつかはこのnoteで紹介したいなあと思っていましたが、想定より早い感じになってしまいました。そこらへんの経緯も含めてまずは白老との出会いから語らせてください。

2年前のちょうどこのくらいの季節でした。御縁あって高島屋大阪店様の「日本酒祭」に2018年に初めて参加させていただきました。かなりの数の、しかも日本酒ファンも唸る蔵元さんが勢揃いとあって、毎日大盛況のイベントです。正直蔵元にとってはなかなかに大変な催事ではあるんですけど、まあお客さんの笑顔が何よりも嬉しい!ということで…。(何キャラ)

そんな催事をやっていていつも恒例にしているのが、必ず酒を何本か買って帰ることです。「え、君たちばっかり酒買ってずるくない?」と思いながらひたすら試飲を注ぐんですけど、客足が途切れた瞬間や開店前・閉店後を見計らって、自分の買い物の下調べを行います。

どこの蔵元さんが人気かなあ…とキョロキョロしたり、どの酒が売れてるかなあと横目に見ながら歩いたり…。あ、ちなみに試飲はまったくしないで選びます。僕ごときに大事な試飲サンプルの10mlを使うぐらいならお客さんに渡るべきだし、どうせ買って飲むんだからええやと、思っているので。

そんなこんなでキョロキョロしていると、なんかめちゃくちゃ熱く語っている蔵元さんが目に入りました。なんか熱い人いるなあ…。

そう思っていたらお客さんがぞろぞろ来たので接客。捌き終え「ふうーっ」と一息。またその蔵元さんの方を見ると…。えええええさっきのお客さんにまだ語ってるぅうううう!!!!!熱すぎぃいいいい!!!!何分経ってんのおおおおお!!!!!????

そう、それが「白老」の澤田さんです(笑)

その日の夜に蔵元さん数名で飲みに行こうということになって、澤田さんとも酒席をご一緒させていただきました。やっぱり熱い方で、もっと話を聞いてみたいな。そう思わせられる飲み会でした。

その後も催事等で一緒になった時は僕から飲みにお誘いするんですけど、毎回毎回ご快諾いただき感謝するばかり…。僕もけっこう語りたがるタイプなのでついつい自分ばかり話してしまうシーンが多々ありますが、そういう時もしっかり話を聞いてくださり。尊敬する蔵元さんです。

もちろん最終日に白老を買い、その時に購入したのが今回紹介する特別純米酒です。ふとした瞬間に飲みたくなる酒ですが、今年はしばらく飲める機会がなさそうだなあということで、ECサイトで購入することにしました。

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澤田酒造さんにはいつかお邪魔してみたいなあと思っています。蔵の造りも特殊らしく、海からの風をフルに取り入れられる構造になっていて、自然の力を使って建物全体を冷却しているのだとか…。

あとは「速醸酛」の開発に尽力したのもこちらのお蔵さんです。澤田酒造さんの蔵内に設けられた試験所で、腐造のリスクを低くした画期的な速醸の基礎が出来上がったのだとか。そんな知恵で溢れる蔵元さんです。

実家のような酒

実家で生活しているような安心感という意味で、僕の中で飲んで落ち着くなあ…という酒が何銘柄かあります。その1つが白老です。

実家のような酒。いろんな意味を含んでいますが、自分の中で特に重要視しているのが「飲み手に寄り添った酒であるか」という点です。みなさんは飲み手に寄り添った酒を聞かれてどんな味わいを想像するでしょうか??

昨今の日本酒ブームには「こだわり」という言葉がつきまといます。原料米の品種や産地、特殊な酵母・麹菌などの微生物、水、醸造法、上槽方法、ストーリー…。あげればキリがないほど、付加価値となり得る要素を様々駆使し、我々蔵元は自社の酒をブランディングした上で世に送り出します。

そのこと自体は大変良いことで、旧態依然の日本酒に対する普遍的な価値感を、新たなステージに引き上げました。一方でマニアック・ニッチすぎる、初心者が入りにくいといった声も少なく、その一因には間違いなく酒に織り込まれた膨大な情報の数々があります。酒が情報ありきになってしまい、一部を除いて大部分の消費者が置いてきぼりになっているのです。

そのように考えた時、何の突っかかりもなく身体に浸透していくような、心にすっと入っていくような、そんな酒というのは本当に貴重な存在です。五感にも精神にも馴染む酒とでも言いましょうか。実家で寛ぐ安心感に通じるものがあると思うので、僕はそのような酒を「実家のような酒」と表現しています。

「白老 特別純米酒」は本当に飾り気のない味わいで、飲んでて本当に安心します。うんとキレがある辛口タイプではないけど、さばけが良いので突っかかりなく食道をストンと落ちていく感覚。一昨年、昨年に買ったロットはこのさばけの良さもあってかキレイな酒という印象がありましたが、今回のはその時よりも熟感があって、柔らかな甘みが印象的です。

やっぱり燗ですわ…

まあ例のごとく燗をつけましょうのお時間です。まあ燗上がり間違いなしなのに加え、へたれることも無さそうな酒です。いつも通りまずはしっかり上げきってみて一口。外殻にわしゃわしゃ(伝われ)を感じる…。ちょっと上げすぎたかな、ということで冷めるのを待つ前に常温の酒を入れて「酒割り」をします。良い感じに丸くなりました。やっぱりおいしい酒ですね。

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家の在庫を見ていたら全部飲んだと思ってた一昨年の同じ酒を発見したので、今回買ったやつを飲み切ったあとに飲んでみたんですけど、びっくりするくらい旨くなってました。甘は今回のものよりカットされてる印象ですが、決して硬さを感じる味わいではなく、熟感も相まって余韻が心地いい酒になっていました。

おわりに

今日は味の感想控えめの文章構成にしてみました。伝えたいのは「飲み手に寄り添った酒」であることがいかに大事であるかという点なので、そこが伝わったなら嬉しい限りです。

日本酒というのは良くも悪くも一朝一夕ではない部分があって、ある程度入りこまないと楽しめない領域もあると思います。そんな中でこういうお酒に出会うと、戻る場所といいましょうか、安心して冒険ができるわけです。

ぜひみなさんもそれぞれの実家を探してみてはいかがでしょうか。では。



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