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気功とベスト・キッド|身体の中心に1本の軸をつくる甩手(セイシュ)のお話しです。

気功ブログ|
中国正統派気功老師 盛鶴延先生の気功教室(毎週木曜日、東京自由が丘で開催)のお話しや参加者の体験談など、「気功で自分の健康を自分で守るために大切なこと」をつづっています。

***

ある日の気功教室で
どんな流れかは忘れてしまったのですが、
盛鶴延先生の気功教室が始まる前に
先に来ていた生徒達だけで
なんとなく輪になって
甩手(セイシュ)をしていました。

甩手は
頭も身体もリラックスさせ
気の流れを作るので
盛鶴延先生の気功教室では
準備動作として
いつも最初に行います。

甩手にはいろいろな種類がありますが、
盛鶴延先生は
主に3つの甩手を
教えてくださっています。

甩手1は
両手を振り子のように前後に
ふらー、ふらーと振る動作を繰り返し、
指先から身体の邪気を出す
瀉法の気功法です。

甩手2は
両手を前から後ろに振り、
良い気を身体に入れる
補法の気功法です。

甩手3は
背骨を軸に、
両手を左回し、右回しする
気功法です。

ただ、甩手1、2、3は
わかりやすいように
数字を付けているだけで、
数字に意味はありませんし、
順番も関係ありません。

また、
1、2、3、全てをやらなくてはいけない
というわけでもありません。

そんな甩手を、
教室が始まる前に
のんびりとみんなでしていた時、
ある男性がこう言いました。

「僕は、
 甩手3が苦手なんですよ。
 甩手1と2は
 ずっとやっていられるのですが、
 甩手3は
 すぐに辛くなって
 長い時間できないのですよ」

甩手3は
背骨を軸に、
両手をデンデン太鼓のように
さーっ、さーっと
左右に回します。

背骨に軸を作ります。

実は、彼以外にも
甩手3が苦手という人を知っています。

そして、実は私自身も
甩手3がちょっと苦手だなと
思っていた時があります。

私の場合、
甩手3で、左右に両手を回す際、
首が摩擦で、
キコキコ音がしたからです。

私の場合は、
背骨から首にかけての軸が
少しゆがんでいたのだと思うのですが……。
(右に首を傾げる癖があるのです)

今回は、
身体の中心に1本の軸をつくる
気功の甩手3のお話しです。

***

甩手3の
背骨を軸に
両手をデンデン太鼓のように
さーっ、さーっと左右に回す動きは
太極拳にもあります。

ただ、
太極拳の甩手と気功の甩手は違って

気功は、左右の手を回す時、
顔は正面を向けたままですが、

太極拳は、手の動きと共に
顔も左、右に回します。

気功のように
正面を向いたままだったら
横からの敵にやられちゃうね(笑)。
 
太極拳は、敵の動きを確認するために
左右を見るね。

でも、
気功は人と戦うものではないから
正面に向いたままでいいね。

そう盛鶴延先生は
おっしゃいます。

そしてこうおっしゃいました。

太極拳の甩手は、
手と一緒に顔を動かすから
首の摩擦は少ないけれど、

気功の甩手は、
顔は正面を向いたままだから、
手を左右に回す時、
首との摩擦が大きくなるね。

そこが太極拳の甩手との
違いだね。

***

気功の甩手は
盛鶴延先生がおっしゃる通り
戦うためのものではありませんが、
元々は武術気功の套路(とうろ)から
きている動作です。

武術の套路の中の真髄の部分を
切り出しています。

ある日の気功教室で、
盛鶴延先生が
甩手1、2、3、
それぞれの武術の套路を
見せてくださいました。

その様子を言葉で上手く再現できませんが
(ごめんなさい!)
めちゃくちゃカッコよかったです!

その時の気持ちを例えて言うと、
「ベスト・キッド」という
映画をご覧になったことが
ありますか?

あの中で、
車のワックスがけや
ペンキ塗りといった
一見雑用にしか見えない練習が
ある日、
空手の動きをマスターする練習だったんだ!
とわかった時の感動に似ています。

かっこいい!

ただ、
あのベスト・キッドの子供もそうでしたが、
その武術の真髄をマスターするぐらい
条件反射になるには
長い時間の訓練が必要です。

盛鶴延先生も

武術の真髄の部分がわかるためには
身体が
条件反射のようになるまで
単純な動作を繰り返す
ことが必要だね。

何でこういうことをするのか
自分ではわからなくても、
単純な動作を繰り返し
行い続けていれば
武術の真髄の部分がわかるようになるね。

とおっしゃっています。


ただ、
気功の準備体操としての甩手は
もう少し気楽に行ってもいいそうです。

おしゃべりしながらでも、
テレビを見ながらでも
いいよ。

そう盛鶴延先生もおっしゃっています。

それでも、
リラックスしながら、
ぼーっとしながら
甩手をやり続けていると、
私は、
身体の軸の歪みが整えられ、
首周りが筋肉が柔らかくなった気がします。

何より
あの首がキコキコが鳴らなくなりました。

よかった。


***

甩手3のポイントは、
上半身は力を抜いて、
腕からではなく、
腰の回転で
腕を回転させることです。


私は甩手3をする時、
いつもなんとなく
「ベスト・キッド」の子供を
思い浮かべるのですが、

あんな風に
条件反射になるには、
やっぱり
長い時間の修行が
必要だろうなぁと
思っていたところ、

ある日、
盛鶴延先生が講師をされていた
福建医科大学日本校気功専科の卒業生の
知人が開催している
気功教室に参加したのですが、

生徒さんの1人が
4歳ぐらいの
お孫さんを連れて来られていたのです。

みんなが甩手をしていると
その女の子も
みんなの真似をして
一緒に甩手をするのです。

その女の子の甩手が、
まさに
あのベスト・キッドの子供のように
力が抜けていて、
すごいのです。

さーっ。
さーっ。
さーっ。
さーっ。

ちょっとはにかみながら、
でもちょっと嬉しそうに
甩手3をするのです。

誰も教えていないのに。
ただ真似ているだけなのに。

その甩手3をする女の子の
様子を見ていながら、
ふっと思ったのです。

私もできるかも!

***

甩手をする時、

身体の軸をしっかりして
とか
上半身の力を抜いて
とか
腕ではなく腰で回して
とか、

実は色々
頭で考えていた気がします。

でもあの女の子を見ながら
そういうものじゃないんだなって
なんとなく思ったのです。

子供が先生だね。

まさに、盛鶴延先生が
おっしゃる通りですね。

一緒に
頑張っていきましょう。

では、また!

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