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コロナ渦の中で知っておきたいお金のこと

こんにちは。経営コンサルタント/ファイナンシャルプランナーの横山 健です。
今年も3分の2が過ぎました。
本来の世の中であれば夏休みを満喫し、オリンピックの余韻に浸っていたことでしょう。しかし今の日本はそんな浮かれ気分とは程遠く、環境は一変してしまいました。
今まで待ち望んだ日常に戻ることはなく、そしてボーナスなんてもらえるだけありがたいと思えるなんて…。お金に関する常識も大きく変わってきてしまいますよね。

コロナで苦しいのは一部の業界だけではありません。政府の発表によると、5月の現金給与の総額は、前年同月比でマイナス2.3%下がり(「毎月勤労統計調査 令和2年5月分結果確報」より)、残業などを含む所定外給与は26.3%もダウンしています。4月の数字もマイナス12.2%でしたが、5月でさらに拡大しているということは、在宅勤務や間引き出勤のせいで残業代がみるみる減っていることを示しています。
さらに、内訳によればパートタイム労働者の給与は約3%、残業代などは約27%も減っています。もし正社員の夫とパートの妻が共に働く家庭だったら、ダブルで減収となってしまう構造ですね。2つ合わせると、昨年の今頃より5%以上も世帯収入が減っている計算になります。

そんな中で、新型コロナウイルス感染症に伴う経済危機により、政府などから様々な支援策が発表されています。たくさんありすぎて、把握しきれていない人もいるでしょう。
今回は、まだ受け取っている人が少ない給付金制度から、知られていないけれども役立つ制度まで様々なものをお伝えいたします。
申請の必要な制度は自分から手を挙げないともらい損ねてしまいますし、申請する期限もありますので注意してください。

1人10万円の特別定額給付金

すでに受け取った人もいるかもしれません。日本中で話題になった特別定額給付金です。当初は収入の制約などを設ける予定でしたが、一律10万円配布に変更となりました。
マイナンバーカードを使ったオンライン申請と郵送による申請と、経路が異なり混乱しました。郵送申請のみの受付に変更した自治体もあるようです。
自治体が手続きをする関係で、受付開始の早い地域と遅い地域が出ていますが、申請すれば全員もれなく受け取れる予定です。焦らず手続きを進めましょう。
申請期限が申請受付開始日から3カ月と指定されていますので、ほったらかしにしないよう気をつけましょう。

2020年7月からはマイナンバーカード利用促進のためのマイナポイントの受付が始まりますので、この機会にマイナンバーカードを申請してはいかがでしょうか。マイナンバーカードの発行手続きはスマホだけで簡単に申請できます。申請から発行まで1~2カ月ほどかかります。

子ども1人に1万円 子育て世帯への臨時特別給付金

児童手当を受給している人なら申請せずに受け取ることができるお金です。児童1人あたり1万円を在住の自治体から支給します。給付金の申請手続きは不要で、児童手当の受け取り口座に対して支払われます。
10万円の特別定額給付金との違いは、何もせず待っていれば支払われるのことです。
支払いスケジュールは自治体によって異なりますので、気になる人はお住まいの市区町村に問い合わせましょう。特別定額給付金10万円と合わせれば、児童1人あたり11万円受取ることができます。

最大80万円の生活資金貸付

各都道府県の社会福祉協議会で実施している貸付です。新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業などにより生活費で悩んでいる人は是非問い合わせてください。

(1)緊急小口資金
休業等により収入が減少し、緊急かつ一時的な生活維持のためにお金を必要とする世帯が対象です。
学校の休業、個人事業者の場合は20万円以内、それ以外の場合は10万円以内の貸付となります。最長1年の返済据置があり、無利子、無保証人での借入となります。

(2)総合支援資金
生活を立て直すまでの間に必要な資金の貸付です。収入の減少や失業により生活が苦しくなり、日常生活が維持できない世帯が対象です。単身世帯で月15万円以内、2人以上世帯で月20万円以内の貸付で、貸付期間は原則3カ月以内となります。
単身世帯では15万円×3カ月=45万円、2人以上世帯では20万円×3カ月=60万円が貸付上限です。こちらも最長1年の返済据置で、無利子、無保証人での借入です。

社会福祉協議会の制度を利用すると、緊急小口資金から20万円、総合支援資金から60万円、合計で最大80万円の資金を借りることができます。申し込みは、市区町村の社会福祉協議会、労働金庫(ろうきん)、取扱郵便局となります。

家賃が払えない人の住居確保給付金

従来からある自立支援の仕組みですが、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い対象者の範囲が拡大されました。

①離職や廃業後2年以内、②離職以前は世帯の生計を維持していた、③ハローワークでの求職申し込みをしている人を対象として家賃の3カ月分(最長9カ月)を支給する制度です。生活保護申請の水際防止措置としての効果が期待されます。
資産要件があり、東京都であれば単身者50万円、2人世帯78万円、3人世帯100万円以下の預貯金額であることが利用条件となります。

住居を失った人だけでなく、住居を失うおそれがある人も対象となります。住居を失うおそれとありますが、家賃滞納が要件ではないので危機的な状況に陥る前に活用できる制度です。

手持ち資金が少なく、収入がなければもらえるように思えますが、肝心なことはハローワークで職探しをする必要がある点です。就労意欲のある人に対する経済的支援です。

企業向けの小学校休業等助成金

小学校等が新型コロナウイルス感染症の影響で臨時休業し、子どもの保護者が休業になった場合の有給休暇に対して勤務先に支給されます。
従来1日8,333円でしたが、令和2年4月1日以降の休業については、支給上限額が15,000円に増額されました。適用期間は令和2年9月30日まで、申請期間は令和2年12月28日までとなります。

個人事業主・フリーランス向けの小学校休業等対応支援金

前述の企業向けと名前が似ていますが、こちらの施策は個人事業者向けとなります。子供の学校の臨時休業に伴い、保護者が仕事に就業できない場合に支給されます。
従来1日4,100円でしたが、令和2年4月1日以降の休業については、支給上限が7,500円に増額されました。適用期間は令和2年9月30日まで、申請期間は令和2年12月28日までとなります。

企業主導型ベビーシッター利用者支援事業

小学校等が休校になった場合に、保護者が休業できず、放課後児童クラブ(学童保育等)も利用できずにベビーシッターを利用する場合の補助金です。
従来1日2,200円(チケット1枚分)の利用まででしたが、1日11,000円分(チケット5枚分)利用まで増額となります。1カ月の上限利用枚数は24枚から120枚に増加しています。
企業にお勤めの方は、勤務先を通じて利用します。個人事業主の方は全国保育サービス協会から委託を受けた団体を通じての利用となります。

社会保険料、公共料金等の支払い猶予

社会保険や公共料金の支払いについても、支払い猶予、免除などができる可能性があります。

①電気・ガス・電話料金、NHK受信料の支払い猶予
②国税、地方税の納税猶予
③国民健康保険料、国民年金保険料、後期高齢者医療制度保険料、介護保険料の減免

※上下水道、公営住宅の家賃支払いなどは、行政から支払い猶予などの要請が出ていますので、連絡し交渉してみるといいでしょう。

個人事業主・フリーランスで仕事をしている人には

セーフティネットで見逃されがちな、個人事業主やフリーランスの人向けには、金融機関からの支援や公的な給付金もありますので、対象となる人は確認してください。

・政府系金融機関からの実質無利子・無担保融資
・民間金融機関からの実質無利子・無担保融資
・個人事業者へ最大100万円の持続化給付金

事業で家賃負担をしている人には(家賃支援給付金)

2020年5月から12月までの間に売上が前年比で1ヶ月で50%以上下がった、または3ヶ月連続で30%以上下がっていたら最大で法人は600万円、個人事業主なら300万円が給付されます。

仕事をしていない人や求職中の人には

(1)生活困窮者自立支援制度に基づく生活相談
生活困窮者に対する支援です。①就労支援・就労準備支援、②家計改善支援、③住居各給付金(前述)、④一時生活支援などを実施しています。
お住まいの市町村に問い合わせる窓口があります。

(2)生活保護
今回の新型コロナウイルス感染症の影響で利用申請が増えているのが生活保護です。働いていない人だけでなく、働いても生活するには収入が足りない人も利用できる可能性があります。ただし、不動産、自動車、一定の預貯金などがある場合は利用ができない場合もあります。お住まいの自治体の福祉事務所が窓口となっています。

制度がたくさんあり過ぎて大変ですが、個人向け、個人事業主やフリーランス向け、学生や企業、生活困窮者向けや失業者向けなど様々な対象の方を救済する制度があり、今後も拡充される可能性があります。
まずはご自身が対象となるのかを確認することから始めてください。そして、なるべく早く申請をして期限切れとならないように注意してください。

また、会社勤めでまだ収入面での影響を受けていない人も、ボーナスの減少などにより今後収入が下がることも予想されます。
キャッシュレス決済なども利用しながら家計の節約をすることも大切ですが、収入が下がれば社会保険料とともに将来の年金の受給額にも影響が出ます。
節約や貯蓄だけではなく、株価が下がっている今だからこそ投資に目を向け、NISAやiDecoのようなリスク分散しながら長期的に投資ができる金融商品に目を向けてみるのもいいかもしれませんね!

Text by 横山 健(経営コンサルタント/ファイナンシャルプランナー)

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