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ブレストでは創造できない。

今更ですが、Think Biggerを読み始めている。
NewsPicksの対談動画を視聴したのがきっかけ。
普段なら、発刊されて真っ先に購読するのですが、昨年はそれどころではなかった。
(課題図書が月20冊くらいあって他の選択肢が取りにくかった・・・イイワケ)

読み始めのタイミングとイノベーションアクションプランの開始タイミングが重なり、これも何かのご縁かと思っている。引き寄せのタイミング。
そう考えると、7か月のラグは許容範囲なのかもしれない。

イノベーションアクションプランって

「”何かアイディアを!だせ~”と言われて困っている人」、「アイディアはあるけど意思決定者(上司・役員)から”YES!!”がもらえない人」向けに始めたアイディア創発~企画化~承認~実行までの一気通貫のプログラム。

最初のステップは、「アイディアを言葉にする」
言葉にしないと、周りにも伝わらない。企画にも落とし込めない。
Think BiggerのStep1~Step2までを一日で経験してもらう。

Step1:課題を選ぶ
あなたの解決したい課題は何か
Step2:課題を分析する
サブ課題は何か

私が仕掛けるプログラムはすべて事前の面談がセットになっている。
面談して落とすとか、素養がないとかを見るのではなく、せっかく参加するなら「考えるきっかけ」をプレゼントする機会として利用している。
ワークショップに来て、いきなり初めましてからスタートだとそれだけで、時間を消費してしまう。なので、企画者として参加者の背景を知るのと同時に、このプログラムでやって欲しい「裏メニュー/裏ミッション」を何気なくプレゼントする。40名だろうが、100名だろうが開催前に全員と対話の時間を設ける。
これをやるかやらないかで、その後の行動変容が変わる。
同じプログラムで、QuickChat(10分程度の面談)があるかないかで、その後の効果が変わるかという検証を行った結果、いまの仕組みにたどり着いています。

さて、そんな面談時に、参加者が一様に言っていたのが、「アイディアが浮かばない」または「浮かぶけど、妄想で止まってしまう」だった。
これまで、”アイディア1000本ノック”というノルマを自分自身に課していた私も定期的に「アイディア」が止まる。
過去の経験から言えば、「なんでもいいよ」と言われた時に本当に「なんでもいいアイデア」だして怒られたことがある。
なんでもいいは実はなんでもよくない。

6月26日に一回目の創発ワークショップを開催した。事前まで、自身がないと言っていた参加者は、ワークに参加し、時間が経過するごとに不思議とアイディアがくみ上げられていく。短い時間で多くの気づきを得ながら、自分で、チームで声に出せる形にまでくみ上げていく。

型破りは型があるから型破りなことに似ている

白紙の紙に「何を書いてもいいよ」というと迷わずかけるのは小学生低学年までな気がする。もちろん、創りたい思いが強い人は別ですが。

冷蔵庫の前に立って、中に何が入っているのか見えない中で、今夜の料理はなかなか考えつかない。冷蔵庫を開け、中に入っている食材を見て、今日はカレーか?肉じゃがか?と組み合わせを考えて、今夜のメニューを生み出す。
「あ、シーチキンもあった。シーチキンカレーにするか」
こんな風に組み立てていく。

そもそも、何もないとはどういうことなんだろうか。
私は、子どもの頃、体操をやっていた。当時、「規定演技」と「自由演技」があって、規定はその名の通り「決まった演目を正確に実行する」ものでした。一方で自由演技は「組み合わせを自由に決めていい」であって、なんでもいいわけではない。
つまり、一定の型(技)があり、技の組み合わせにもルールがある。難易度が高いものばかり組めばいいのではなく、全体としての構成が一定決められている。
決めることができるのは、実は「型」や「ルール」があるからだったりする。
日本舞踊やフラワーアレンジメント・華道も、型を身につけて極めたからこそ、独自性を生み出すことができる。

あれだけ「できない」と言っていた参加者が、実際にくみ上げることができたのは、一定の型とルール(未来創造に関する制約)を設け、かつ、「事業や戦略に影響を与える可能性のある企画」と形の制約を設けたからこそである。
「事業や戦略に影響を与える可能性のある企画」は、一見すると、これまでの積み上げ(フォーキャスト)になってしまう。多くの企業で起こりがちな現象。これを、一つ外に打ち出すのが、未来からのバックキャスト方式でくみ上げるということ。真っ白い未来ではなく、ある未来から考えることで、思考速度を加速させる。

イノベーションアクションプランのStepとThink BiggerのStep

全ての会場でStep1「アイディアを言葉にする」を実行したのち、Step2「ステークホルダーを巻き込む(認める)企画に昇華させる」が開始される。このStep2は、これまで各会場に参加した人全員同時に開始する。
Step2では、2つのコースに分かれ、8週間で企画書に落とし込む。
様々なフレームや思考法を隔週で学び、自分のアイディア・チームのアイディアを具現化していく。
8週間の理由は、不慣れな人でもフレームと思考法で一定の形にできるようにするためである。BANIの時代に、「8週間は取りすぎでは?」という意見があるが、参加者は新規事業専従ではなく、既存事業を遂行しながら、スカンクワークで行うため、「型をしっかり身につけてもらうため」にしっかりと時間を掛ける。繰り返していくうちに、4日間で設計できるようになる。
この8週間は、Think BiggerのStep3~Step5を体験する。

Step3:望みを比較する(=重みと差の話にも似ている)
おもな意思決定者はなにを望んでいるのか
Step4:箱の中と外を探す
「別領域」で過去にうまくいった解決策は何か
Step5:選択マップ
戦術の組み合わせをなんども試そう

最終Step3で、第三者(評価者)の目による判定を行う。アイディアコンペとかデザインコンペと言われるもの。
コンペに提出するためには、自画自賛でなく、自分の見えているものは他の人にも見える景色なのか?ということに意識を向けてもらう。
実は、開始前のQuickChatでここに繋がる裏メニューを提供している。
裏メニューはこの期間を通じて、個々で考え、形式知化(言語化)してもらうのですが、これが最終的には「第三者に伝わるか」に通じる。
併せて、プレイバック(全く知らない人)に説明してもらった評価をコンペの際に提出してもらう。これで、自分の企画の根源が通じているか、明確になる。Think Biggerの最終Step6を体験し、実際に企画として上程してもらうのです。

Step6:第三の目
あなたが見えているものは他人にも見えるだろうか

フルコースと思考の手順は同じ

ブレスト好きな人が多いですが、ブレストで出てきたアイデアは壮大で、夢物語のようになりがちです。また、真の意味でブレインストーミングになっていないことが多い。声の大きい人、忖度、利害関係に影響され、本当に日うような企画にならない。
ブレストを行うにはその前の準備が必要なのに、いきなりお題とルールだけもってきて、「さぁ、話してちょうだい」では、そもそも討論経験の少ない日本人には苦痛になってしまう可能性が高い。
フランス料理のフルコースが、「アペリティフから順々に重たくなり、一度、ソルベで口を一掃し、最終的にメインを楽しめるように構成」されているのと同じように、イノベーションを生み出す環境は段階的に”Think Bigger”となるように構成される必要があると思っています。




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