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今宵は、少し若い頃のお話しを……

泳ぐのを止めると溺れてしまうと思っていた。今もかも知れないけど……

無我夢中で手足をバシャついて溺れかけていたあの頃……。20代後半、転職と2年間の専門学校を経て経理の仕事に就きたくて資格を取得して応募したはずが、なぜか営業職となった事が始まり。

今は、何も考えなくてもパソコンや携帯電話が使える時代。携帯電話は手の中のパソコン。私の若い頃は、呪文のような「OS」(コンピューターを動かすためのソフトウェア。 Operating System オペレーティング システム)MS-DOS上でパソコンを起動させる時代。MSーDOSを理解しソフトウェア事の環境やハードディスクの容量、メモリの制約の中でどう折り合いをつけて環境整備しソフトウェアを動かす時代。今とは比べ物にならない程高価なパソコンにハードディスクとメモリ。各メーカーのパソコンの型番に、メモリーの型番。何かにつけて型番を確認しないと動作できないソフトウェアもあったり、メモリ不足にハードディスクの容量の問題……呪文、呪文。

そもそも、「CONFIG.SYS?って何ぞや??」

「MS-DOSってなんDOS」なんて著書を読んでみたものの……。やはり呪文としか理解できず。な~にもわからない世界からのスタートの上に自社のソフトウェアもチンプンカンプン。一度は入社をお断りするも、何度もお電話を頂き「お前が、必要なんだ」の一言で入社することになったが、思い据えせば会社の人達は、天才集団の中で無知な人間が1人。どおやって交通整理すればいいものか……。パソコンも、MS-DOSすら何にもわからないことが理解できない集団だから(悪口ではない。本当に天才集団だったのです。)

でも、本当に良い経験をいっぱい与えてもらえ、お客様と言う宝物までいただけた。私の生涯の中でとても波乱と光に満ちた時間となっている。だが、毎日、毎日……、溺れっぱなしで息つぎも出来ず苦しくて、辛くて、何も分からない日々の始まりでもあった。

ソフトウェアは、起動すればマニュアルを読み解けば理解できるものの導入時に問題が生じる。「MS-DOS」を理解しなければ、販売様やお客様からのご質問に答える事さえもできない。ストレスと焦りと超多忙のあまり1ヶ月で10キロ近く痩せてしまい。会社を辞めるころには、20キロ近く痩せていた。


とある1日……

朝9時から深夜までが常だった。その日中にタイムカードを押せれば「今日は、早く終わった~」と言うのが一年に何回あっただろう……。あの頃は、遣り甲斐を感じていたと言うよりも溺れないように藁にでもしがみ付くような毎日だったのかも知れない。

私には苦い経験がある。冒頭にも記載したようにこの世界では無知な新人の時に上司不在でクレーム対応に追われて辛かった日々。どうにもできなかった。それは仕事のスキルがなかったと言うこと。だから、スキルアップだけを考える毎日。なぜこんなに上手く仕事が回らないのかを自分なりに分析し、各部署でコミュニケーションを取り。不備なところをピックアップし、ただスキルアップに努めて現場で身付けた。

でも、良いこともあった。私は、この世界のしがらみを全く知らずに営業を行っていた。勉強不足と言われればその通りなのだが……。

対抗する会社の有名営業マンが、店頭で商品説明をしていると意地悪な質問を投げかけてくるお客様が……。販売店様は目くばせをしてくるが、私は対抗会社のソフトウェアにはできないがこんなに簡単に出来ることをアピールする。営業マン、苦笑い。後から、販売店様から苦言を……。その分、売上に貢献できたので次回の依頼も頂けた。この日から、「怖いもの知らずのお嬢ちゃん」とあだ名がついた。

「女だから」と言うことは関係のない世界。ただ、自分の経験値だけが勝負の世界。いつもそんな風に感じていた。だから、接待で朝方までと言うことも当然。また、逃げられる立場でもなかった。そんな時は、逆にチャンスだと感じていた。コミュニケーションの取り方、お客様のお人柄を理解できると思っていたからかも知れない。(良いことばかりもあるはずはないけれど……)

ある日の接待で、終電もなくなって上司にタクシーで会社に戻る許しもらい明日と言っても当日だけれど、セミナーの配布資料やデータと顧客資料等を取りに戻ったのが朝の4時頃。自宅に戻って、出張セットを準備して少し仮眠をとって朝一番の飛行機で東京へ。

飛行機に乗り込んでベルトを締めた後は……、着陸の振動で目が覚める。「お休みなので……。」のメモが妙に寂しい。まぁ~、毎度のことだから。

機内で顧客情報の確認と思っていたが、飛行機に乗れたという安堵から眠ってしまった。

「仕方ない、移動中に確認しよう。」セミナー会場の移動中に、顧客の情報とセミナー内容を再度確認し会場入り。5時間のセミナーを無事に終えてホテルに入る。すでに、ホテルには大量のFAXが待っている。食事を摂る間もない。

出張に出ると良い点がある。1つは、ゆっくり時間を過ごす余裕がてきるとゆっくりと湯舟に入れる。これが一番の楽しみかも知れない。

2つ目は、電話に追われることがないということ。社内にいる間は、本来のデスクワーク以外の業務に追われて午後8時以降から本来抱えているプロジェクトや社員教育資料・販社向け資料・販促資料・他部署からの要望資料作成・上司からの営業資料等々をこなさないといけなかった。特に、会議と称される厄介な時間浪費が私の作業を阻む。

営業部には、営業事務スタッフと言うありがたい部隊がある。私用の電話メモを準備してくれている。デスクの電話メモをフォームの左側に貼って営業事務スタッフが帰るときにホテルにFAXを送ってくれる。ありがたい秘書のような存在である。

それから定期的に、電話メモのチェックをお願いしていた。折り返しや至急のメモが放置になっていないかを確認するため。事務スタッフで対応できるものと他の営業で対応できるもの確認と対応としてくれた人の名前を電話メモに記載してもらうようにお願いしていた。戻ってから、どのように対応したのか後追いができるように。少しのことで、信頼関係は損なわれクレームに発展する場合もあるからだ。なぜなら、私宛の電話は急を要するもが多く、時としてクレームになっているもの・パワーユーザー様・導入検討頂いているお客様や開発がらみの事案が多かったから。セミナー終了からの連絡ではチャンスを逃がしてしまう。

セミナー終了後、機材の搬出と他セミナーの教材を宅配にお願いしてコンビニで晩ご飯と朝食を買ってチェックイン。

いつもなら懇親会という名の打ち上げがあるのが常だが、今回はないので「ありがたいっ!!」

その代わりに、宿泊人より早くにFAXがお待ちかねだ。フロントで2~30枚ほどのFAXを受取り部屋へ。FAXとセミナーアンケートに目を通し3時間ほどで作業を終えて遅い夕飯を摂り。ただ、ゆっくりと休む。私の休息時間と明日の仕事対策を考える様に瞑想にも似た楽しい時間を過ごすのが常だ。

いろんなパターンを想定して、ゲームのように立てていた。日々同じ内容のセミナー(基本同じ内容で行うもの)でも、規模の違い・何を目的としているか・どんなニーズなのかを見極めて基本のマニュアルに沿って行うのだが、個人、個人の都合で参加されている方達に飽きることなく5時間のセミナーを受けていただけるようにあの手、この手で習得して帰ってもらえるように工夫を凝らす様に心掛けていた。その影響か?職業専門学校・公官庁・企業様・個人様からのご依頼を頂けるようになっていた。

10人10通りのセミナーの取り組み方があると私は考えている。セミナーに入る前に必ず参加される方達に、簡単な質問とご意見を伺い場を暖め、お客様達の温度差と目の高さを感じるよう心掛けていた。流してセミナーをすることもできるのだが……

面白くない!せっかくのチャンスなのに、もったいない!折角お金を払ってセミナーに来ていただいているのだから。我社のソフトウェアのファンになって頂けるチャンスを逃しません。と言うこともあって、セミナーのスケジュールは、約2年先まで詰まっていた。ありがたいことです。

毎日が、目が回るほど慌ただしい日々。人間らしい生活かと問われると過酷な毎日。点滴と冷蔵庫には箱買いの栄養ドリンク。スタッフ曰く、「腰に手を当ててドリンク飲むんですね~」本人は、まったく気づいておりませんでした……。

気が付けば、お昼が5時と言うこともしばしば。スタッフに「お昼食べてください。」と言われる横で、「〇番に、○○様からお電話です。」と言うのが営業部での日々。

新規プロジェクト・特約店様教育・新入社員教育・中途入社社員教育・ユーザー会向けセミナー・営業販促資料作成・個人ユーザー様向けセミナー・新人社員日報確認・コンペプレゼン資料作成・各部署の会議・同行営業・マニュアル作成・学校様向けセミナー作成に社内営業 等々……。

社員も倍々ゲームのように増えて、大阪・東京・福岡・海外と支店も増え、自分が泳いでいる方向は間違っていないのか?と空き時間を見つけては、各部署との社内営業に走り回りながら各部署のベクトルを確認している毎日。

そして、昇進の話が……。うれしくはなかった。私には理解できない無駄な時間の会議地獄と現場から離れる恐怖。昇進の保留をお願いした。昇進に魅力を感じないのかと言われると……。今の役職で十分だと思っていた。逆に、現場から遠くなると部下をどのように守ればいいのか分からなかった。

何度か、上司の代わりに御前会議に出席したが数字合わせの会議に違和感。現場の意見を訴えることを許されず「余計なことを発言しないように!」と上司に釘を刺されていた。

気が付けば、名刺の肩書が複数になり部署間で私の時間の取り合いとなり悩んだ時期もあったが、それも乗り越ええて人の何倍も仕事をした……と思っているだけかも知れないな……。

ただ、部下を守ると言う使命感だけで泳いでいただけ思う。私のように辛い思いはさせたくないと思っていたが……

ふっと振り向いたら……

私は、「雲の上の人と……」とトイレでスタッフが話しているのを耳にした時は愕然……、一瞬にして溺れてしまった。

若いスタッフは、私に報告する際に遠慮と言うか緊張しているように感じていたが……、スタッフを守ってきたつもりが壁を作ってしまったようだ。

「しまった……。」我武者羅すぎて周りが見えなくなっていた。


上司も全ての営業支援とクレーム処理、デモ用データ作成、各セミナーとデスクワークを1人で行ってパンク寸前(いや、パンクしていたのだろう……)となっているのに気付いていても、上司も現状は同じ状態だったと思う。効率的に仕事が回っていないのは承知の上。ただ、急成長している会社に翻弄されマンパワーだけで仕事を回していた。「我々の背中を見て成長してください。」が本音。我々は、そうやって仕事を覚えてきたと言う時代の人間の集まりだった。だから、分かっていたが体制を変えるだけの時間がなかった。それでも、出来ることから体制作りをやっていかなければ飲み込まれて足元から崩れてしまう……。スタッフの意識改革とスキルアップが急務となった。

・新人スタッフの教育は、中堅スタッフをメインとし新人スタッフを自立させる。

・担当営業は、2人1チームとし担当営業エリヤを決める。

・各チームで、特約店様向けの営業戦略・営業支援を提案する。

・後方支援して、中堅スタッフが各チームのバックアップを行う。

・パワーユーザ様対応及び、クレーム処理と私はフリーとし同行営業、支援が必要な時はアテンド依頼を提出する事とした。アテンド依頼に納得できる内容のみ同行するとした。

アテンド依頼を書いてもらうと事で、何が必要か?自分で顧客の必要としているものを気付かせるチャンスになりスキルアップに繋げる。ヒントを出しつつ、一度は突き放すを繰り返して成長させる。より、嫌われ上司となる。

このアテンド制は、トップダウン以外はどの部署からの依頼もその商談内容を納得しない限り私は受けない姿勢を貫き、その内容のスキルを持ち合わせているスタッフを押した。時には、セミナーに同席せず影からバックアップし、スタッフ間で考えると言うスタイルを最重要し、良い点と不備なところ・アプローチ方法をアドバスすることを徹底して行った。もちろんその影響は販売利益の減収と更なる過酷な仕事量と心身共に過酷の時期ではあったが、私は正解だと今でも思っている。1点集中のリスクの方が高い。みんなが同じ知識と問題意識を共有し、それを改善でれば一番良い。過酷な時期は、半年が過ぎた頃からか各チーム事の成果も緩やかに上がり始めスキルアップをしたいと志願する者も増えてきた。「これが私の部下を守る」と言うことなんだと日々感じスタッフ達に感謝した。

次に、新人を育てる上で必要になるマニュアルを作成し。みんなが同じレベルの知識を共有することで間違ったサポートを防げる。そこで、サポート課・マーケティング部・開発部・生産ラインからの資料の共有化の協力をお願いし、インストラクションマニュアルを作成しそれをたたき台として現場で不備があれば、その内容をサポートセンターもしく開発に確認を取り随時更新後、各拠点の資料を更新し同じレベルでサポートと営業に反映できる仕組みに取り組んだ。これで、どの支店の新人でもそれを見れば同じ内容で営業支援と講習ができる。あとは、その資料をスタッフでどの様に営業販促ツールとして利用できるかは、スタッフに任せるのみ。

新人を教育までスタッフが新人を育てる。各部門間でのコミュニケーションもできるであろう。1つの課が秀でても会社は円滑に機能しないと言うのが長年現場で戦ってきた私の持論。営業を行う上で、サポート課・開発部・マーケティング部・生産ラインは切っても切れない関係。絶えず意見交換しデータの共有化を図らなければならない。また、敬意と感謝も忘れてはいけない。敵対するのではなく、大きな会社という船に乗っているのだから補い合い支え合ってこそ船は沈没することなく進むことができる。今は、このチームならできると信じている。本当に、幸せな気持ちでいっぱいになったことを今も忘れない。これで、私の卒業が決まったと感じた。

保留していた昇進の話は、退職と言うことで了承してもらった。過労が積み重なってドクターストップを告げられていことと両親の看病とお世話の時期も目前に迫っていた為、卒業の時期を伺っていた。静養してから復帰と言うありがたいお話しもあったが、違う場所で新しい泳ぎ方を覚えたいと考えていた。体調を整え、両親のお世話をしながら時間を作ってフリーとして新しい泳ぎ方を覚えたいと決めていた。



今夜はこの辺りで……

次回は、「フリーになる」をお話ししたいと思います。


皆様、コロナに負けず。手洗い、うがいにマスクに、私たちの生活を支えていただいている方達に感謝とそして楽しいお家暮らしを。

明日も、皆様に、うれしくって楽しくって、愛をいっぱい感じて幸せって感じて、キラキラ輝く希望をもって感謝に満ち溢れる素敵な1日になります様に!!

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