コロナかもしれなかった上、癌かもしれなかった話

今振り返ると、僕のこれまでの人生で両手の指で数えるくらいに暗い話です。

でも、一応、その暗さから脱出し、色々と教訓を得ることができたので、そのエピソードを備忘録としてまとめました。

話は、2020年2月に遡ります。

※念のため記載しておきますが、私は外出時はマスクを着用していたので、悪しからず。

2月5日(水)、発熱:38.1度。

この日は会社の若手メンバーで飲み会でした。

そんなに飲み過ぎた感じはなかったものの、家に帰ると少し熱っぽく、念のためかぜ薬を飲んで寝ることに。

2月6日(木)、診察①⇒早退。

朝起きても昨晩からの熱は収まらず、多少の倦怠感とともに出社。

割と業務に余裕があったため、お昼に会社近くの診療所へ行く。

その時点では、医師が冗談交じりで「武漢に行かれたりしましたか?」と問いかけるが、フツー行くわけないよねって思いながら、「行ってないです。」と軽くあしらう。そして、咳を鎮める薬をもらう。

2/6時点では日本ではほとんどコロナ感染者がおらず、巷では対岸の火事の認識だった。

薬を飲み、昼休みは何とか持ちこたえたものの、夕方の会議では咳は出るわ体がだるいわだったので、早退させてもらう。

会議で早退なんてこれまで経験なかったので、自分でもかなり納得がいかない。

家に帰ると、38.1度の発熱。

今日はすぐ寝よう。。。

2月8日(土)、再度発熱:38.0度。

翌日の2/7は、朝になると熱は引いていたものの咳や倦怠感が残っていたので会社を休み、基本1日寝て過ごした。

昼間はよいが、夜は咳が止まらず、十分に寝つけない。最悪!

翌2/8は、倦怠感も少しマシかなと思い、予てより約束していた友人宅へ家族で行くため、クルマを走らせる。

友人宅では念のためマスクを着用。でも、咳が出る。友人の前で咳をするのはマズいと思い、必死で堪えるも10分に一度くらいは出てしまう。

帰りにショッピングモールで買い物をする。

倦怠感が酷くなってきたので、早めに帰ることに。

そして、家に着く。

熱が再び38.0度

ヤバい。つらい。

明日熱が下がっていなかったら休日診療所に行こう。

2月9日(日)、診察②。

朝イチで休日診療所へ。なぜか診察のタイミングでは咳がそれほど出ない。熱も36.7度だった。咳と喉の薬をもらって様子を見るよう言われた。

これで落ち着いてくれれば。。。

翌2/10も熱は下がっていたので、出社することに。

でも、あの倦怠感はまだ残っている・・・。

一応、1日出社しても体は若干だるいものの、熱は上がらなかった。これが変に少し自信につながった気がする。

2/11は建国記念の日で休暇。

咳やだるさは残るものの、そろそろ家族サービスしないとな、ということで、自転車で子供を公園に連れて行く。だるいけど、おそらく長く寝たり安静にしていたせいで体が本調子でないのだろうと言い聞かせる。

2月12日(水)、再々度発熱:38.1度。

朝から通常通り出社。

午後からは外で講演会を聞く。

講演会中、悪寒が酷くなり、途中から集中力もなくなり、半分寝たり起きたり。これは、マズい。。。

それほど遅くない時間に終わり、帰宅するも、再度38.1度の発熱+あの倦怠感。。。

この時点でようやくコロナかもなと疑うようになり、翌日大きな病院で診察してもらうことを決意した。

2月13日(木)、診察③、コロナ、いや、癌かも。

朝一で大きめの病院へ。

診察室では院長先生からあれやこれや聞かれた。

お決まりになっていた、「武漢に行かれたりしましたか?」も。

咳が止まらないことやその他症状を勘案し、肺炎の可能性があると言われ、レントゲンを撮ることになった。

レントゲンの結果が出るまでに数十分かかった。


そして結果が出た。


"ちょっと気になる影が見られます。"


え?

期待していたのは、

"ただの肺炎です、コロナでは無いでしょう"

であり、最悪でも、

"コロナの可能性がありますが、もう快方に向かっていて心配ありません"

程度だったが、まさかの、

"影"

え、影って何ですか?

と、影の意味するところを直感的には分かっていたのだが聞いてしまった。

先生はこう告げた。

"まだ分かりません。念のためCT撮っておきましょうか。"

と。

不安に駆られた僕の顔を察知したのか、先生は続けて、

"肺炎で気管支が腫れて影のように見えているだけかもしれませんが、もしかすると腫瘍の可能性もあります" 

さらに続けて、

"影がボヤっとしているので、何かが映りこんでいるだけかもしれないので、念のためです"


いやいやいや。

影とか腫瘍とか何を言ってんの。

コロナかもしれないと思って来たんだよ!


そうして、CTを撮り、帰宅した。

CTの結果は翌週になるとのこと。


その日の夜、色々と考えた。

先生は"念のため"と言ったな、だから多分大丈夫だろう。

いや、かなり可能性が高くても患者に刺激を与えないよう"念のため"と言ったのかも。

うーん、でも、癌の可能性って誰でもあるよね。

もし癌だとしても早期だったら大丈夫かな。

いやいや、肺がんは5年生存率20%未満だというし、早期でもダメそうだ。


・・・考えれば考えるほど、悪い方へ考えてしまう。

CTの結果を早く聞ければ楽になるかも知れないが、時間が経つに連れ聞きたくなくなってきた。

なんなんだよ。

コロナかも知れないと思っておそるおそる診察に来たのに、

癌かもだってよ。

だったら若年層致死率が低そうなコロナにいっそのことなった方がよかったんじゃないかよ!

・・・と考えてしまうほど心は乱れた。


その後、熱は上がらなかったものの、咳と倦怠感が続いた。

2月16日(日)、出張。

さすがに職場に迷惑をかけ過ぎかと思い、ちょっと無理しつつ2泊3日の出張へ。日本人の悪い癖である。

金曜まで在宅安静にしていたのに日曜から2泊しかも飛行機+車往復300kmというかなりハードなスケジュール。

癌かもしれないという不安が常に感情を占拠していたため、家族と過ごしたりデスクワークするよりは気分的には良かったかもしれない、と後で思った。

移動中は何度か休憩を挟み、何とか体力的には乗り切った。

ホテルの食事が出張の割に贅沢な内容だったにも関わらず、あまり食べられなかったのが残念だったが、そんなことは後で振り返ったときの感想であり、問題なく目的地まで辿り着けたことがまず安心だった。

翌日も咳は残ったものの、少しずつ改善していくのを感じられた。


2月18日(火)、診察④。

出張の帰りにそのまま病院へ。

CTの結果を聞くためである。


診察室に呼ばれる前に呼吸を整えようとした。

しかし、もし肺がんと宣告されたらどうしよう、と考えると呼吸が落ち着くわけもなかった。

だって、数分後の気分は快晴か絶望なんだよ。


そうこうしているうちに、診察室へ呼ばれた。



CTの結果は、・・・とりあえず、セーフだった。

とりあえず、というのを説明しようとするとまたややこしいのだが、

当初のレントゲンで影が映ったのは右の肺だった。

CTの結果、右の肺は問題なかったものの、左の肺に癌に発達する可能性のある部分が見つかったとのこと。ただ、その可能性は現時点では低いし、その部分が小さすぎるそうで、気になるならばまた半年後を目途に検査を受けてみては?とのこと。

なんということか。

数分前まで、数分後の気分は快晴か絶望かどちらかだろうと思っていたが、結果は薄曇りな感じだ。

ま、でも、とりあえず、絶望しなくてよかった!

今度は左の肺かと思いつつ、よく分からないことを心配してもしょうがないので、一旦忘れて半年後に検査を受けようと思った。


・・・そして、コロナかも知れない件についても診察を受けた。

結果、咳が出なくなってきているならば、もう出社してもらって構わない、とのこと。

そして、ようやくこの時点で、診断結果として、"ウイルス性感染症による肺炎および気管支炎"だろう、と出た。

この時点でも"だろう"なのは、ウイルス性感染症って言ってもロタウィルスとかノロウィルスとかマイコプラズマとか色々あって、そのどれかだろうって感じらしい。で、具体にそのどれなのかはちゃんとした検査しないと分からないらしい。

それこそ、コロナならばPCR検査が必要なんだろうね。

ともあれ、既にほぼ完治状態にあるようだとのこと。

こうして、コロナかも知れない病気と途中からの癌かも知れない不安のダブルパンチは約2週間かかって収束したのである。


以上が、コロナかもしれない上、癌かもしれなかった話の全容でした。

長々と読んでくださった方、ありがとうございました。


今回の経験での教訓は以下2点でした。

今回の教訓①:不安なことは出来るだけ他人と共有し、他人に優しく接したい

コロナウィルスという未知の感染症に対して誰もが不安になっていると思います。

不安を煽るようなことは決してしてはならないのは勿論、自分以上に不安に陥っている人がいる可能性があるので、他人に対しいつも以上に優しく接してあげるべきと思います。

コロナウィルスによる不安は、人間である以上、皆に均等に襲い掛かっていると思います。

しかし、元々持病を抱えている人、妊婦の人、高齢の人・・・それぞれが少しずつ弱い立場にあることによって、コロナウィルスによる不安は増長していることでしょう。

僕はコロナかも知れないの後に癌かも知れないという順序で不安が襲ってきましたが、そのダブルパンチはかなり精神的にダメージが大きいものでした。

癌かも知れない話はあくまで可能性の話だったので、家族以外には喋っていませんでしたが、不安を喋らないことはそれ以外の誰とも不安を共有できないということになります。

その後、4月以降はSTAYHOMEな世の中になってしまったので、なおさら不安を一人で抱え込むリスクが増加していると思います。

誰がどの程度の不安に襲われているか、オンラインのコミュニケーションでは分からないことも多いと思うので、いつも以上に他人には優しく接してあげるよう心掛けたいです。

今回の教訓②:定期健診は受けよう

突然、"癌かも"なんて宣告されるのは本当にツラいです。これだけツラいのだから、"癌です"と確定で宣告されるのがどれだけツラいものか、想像もしたくありません。

そして、自分だけでなく、家族のことを考えたら可能性のある限りそれは避けたい。

僕個人的には子どもがある程度大きくなる50歳までは少なくとも死にたくないと思っています。

そうすると、対策としては早期発見に尽きると思います。

これまで、会社の健康診断しか受けていませんでしたが、今後は人間ドックなどを定期的に受けていきたいと思いました。


大切な人の不安を減らすために何ができるか

先に述べた①、②の教訓について、大切な人の不安を減らすために何ができるか、という点が共通しているなぁと感じつつ、今だから言えることですが、コロナ禍の中で大きな学びを得たと思っています。

以上です。

早くコロナ禍が収束することを願ってやみません。

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