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ファシリテーター日記(20)_知識として積み上げてほしいから

大学の授業の日。暑い。梅雨なく夏になる気なのか。

授業は学生も私もお互いに慣れてきたので、私は情報をつたえるだけの身体と化することにする。

2限は他者理解についてのワーク。
一部私が予想していなかったような反応をしている学生たちがいることに気づく。
中学や高校のワークショップだったら生徒に問いかけを重ねたり私の考えをぶつけてゆさぶるような局面だ。一瞬そうすることも頭をよぎったが、やめた。

第一の理由として、彼ら彼女らがそうなるに至ったプロセスを私は見られていないから。
第二に、今後も講義の回数はあるし、何よりこれは大学の授業だ。ここで私個人の考えや感覚に依ったコメントをするのではなく、文献を読み戯曲を演じる中で彼ら彼女らの中に他者と向き合うことへの視点がきちんと知識として積み上がることが重要だと考えたからだ。

次回からはかなり重い戯曲を扱い皆で演じてもらう。どうなるか楽しみ。他者理解や共感について読んでもらう文献、プラスしようっと笑

3限は先週に続いてゴッフマン。
無理矢理90分の中でシーンを創作し発表までつなげたけど、皆しっかりゴッフマン「日常生活における自己呈示」(2023年新訳版)のポイントを押さえておかしみや共感を呼ぶシーンを作ってくれた。素晴らしい。
授業終わりにまたお互いの健闘をたたえあう拍手が起こっていた。

扱ってるのはこちら。1974年の誠信書房版の方が一般的だとは思うのだが、新訳版の読みやすさに惹かれてこちらを使っている。


そういえば最近、講義の中でどんな目的で演劇を使うかについてバリエーションが増えてきた。
・演劇をつくること、演じる過程じたいに学びがあるパターン
・講義で学んだことの確認としての演劇化パターン
・まず演じ、もやもやしてから講義で整理するパターン
・分析の材料として演劇をやるパターン
・講義で学んだあとに演劇をやり、演劇で得られた体感をもとに講義をさらに発展させた問いについて皆で考えるパターン

思いつくかぎりで、かつ自分の乏しい知識に基づくぼんやりとした言葉で書いているが、これはちゃんと分類(教材開発的な観点で)できるようになるとよさそう。



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「菊池ゆみこのウェブサイト/演じる・あそぶ・まなぶ」



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