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ファシリテーター日記(13)_いつもみんなの幸せを願ってる(キモいかもしれないけど割と本気)

今日はワークショップというよりもレクチャー的な現場。
クラス劇を上演するとのことで、演劇作りのノウハウについてのレクチャーだ。
以前伺った学校で、またぜひということでお声がけいただいての登壇。
こうして「またぜひ」とお声がけいただいて現場が続いていくことは嬉しく有難い。

電動自転車を爆漕ぎして現場入り。
普段のワークショップとは違いプロジェクターでスライドを使用するので、入念に動作確認。
また、今日はレクチャーということでどうしても生徒は体を動かさず、一方的に話を聞く時間が多くなることが予想される。できるだけインタラクションが多くなるよう、生徒側に問いかけたりする瞬間を多くするよう心がける。
あと、会場が体育館で暑くなる可能性があるので、無理しない。具体的にはうなだれて辛そうにしている生徒や、もぞもぞ座り直す生徒が頻発しないか、よく客席を見渡すこと。

始業。今回は280人が一堂に会してのレクチャー、会場が暑くなっていたこともあり、予定を変更しながら進める。生徒への問いかけも随時行うことで、なんとか飽きずに参加してくれていたが、生徒自身の前向きな集中力に負ったところも大きい。

レクチャーは終わり、最後に学年を代表してお礼の挨拶をしてくれた生徒が「これから楽しく演劇が作れるように頑張りたいと思います」とニコニコしながら言ってくれたことになんだかぐっと来てしまった。


先日、他の現場での雑談中に「私いつも、みんながこの後も幸せでいられますように、って願いながらやってるんですよね」と発言し、その発言に自分で驚いたことがあった。なんだか気持ち悪いし。
でも本当なのだ。

特に学校で子供たちの前に立つときは、彼らがこれからも健やかで、楽しく、時には嫌なやつに立ち向かう力を持ち、その人らしさをのびのび発揮してほしいと思っている。そして困ったときに、もし私たちと一緒にワークショップでやったことを思い出して何か役に立つようなことがあれば、それ以上幸せなことはない。

大袈裟かもしれないけど、本当に今日もそう思った。
そして挨拶してくれた生徒の言うとおりになりますようにと祈るような願うような気持ちがこみあげて、グッと来てしまった。
たった100分レクチャーしただけだけど。

彼らの今後の演劇作りが、どうか楽しいものになりますように。そのために私たちのレクチャーが少しでも役に立っていたら嬉しい。そして、もしその「皆で演劇を作った」という時間が、もし彼らの今後の人生の中でキラキラした思い出になるようなことがあるとしたら、こんな幸せなことはない。


今回は、唐突だけど、そんな気持ちに近いなと思う宮沢賢治の詩でおわかれです。

ではまた次回。

諸君よ 紺いろの地平線が膨らみ高まるときに
諸君はその中に没することを欲するか
じつに諸君はその地平線に於る
あらゆる形の山岳でなければならぬ

それは一つの送られた光線であり
決せられた南の風である、
諸君はこの時代に強ひられ率ゐられて
奴隷のやうに忍従することを欲するか
むしろ諸君よ 更にあらたな正しい時代をつくれ
宙宇は絶えずわれらに依って変化する
潮汐や風、
あらゆる自然の力を用ゐ尽すことから一足進んで
諸君は新たな自然を形成するのに努めねばならぬ


新らしい時代のコペルニクスよ
余りに重苦しい重力の法則から
この銀河系統を解き放て

新らしい時代のダーウヰンよ
更に東洋風静観のキャレンヂャーに載って
銀河系空間の外にも至って
更にも透明に深く正しい地史と
増訂された生物学をわれらに示せ

宮沢賢治「生徒諸君に寄せる」より抜粋
https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/47029_46743.html

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