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破局間際に廃業間際の温泉旅館にひとりで泊まった話 【榊原温泉 白雲荘】

榊原温泉は、三重県の津市にある歴史由緒ある温泉地である。

その榊原温泉街の中心から少し離れた山中に「榊原温泉 白雲荘」はあった。なぜ過去形なのかと言うと、すでに廃業してしまっているからである。

かつては昭和天皇がお泊まりになられたこともあるという、団体客や家族連れで賑わいを見せていたであろう大旅館は、廃墟マニアや心霊スポット狙いの迷惑YouTuberが訪れる有名廃墟になってしまった。

2024年4月現在は、解体撤去が進み更地になっているようである。

本記事では、かつて存在した「榊原温泉 白雲荘」が廃墟化する数年前、おそらく廃業したと思われる2019年の1年前である2018年の6月に、当時の交際相手と喧嘩し、ぼっちで宿泊したときのレポをつらつら書いたものである。

※別れ話的なナイーブなネタを含みますので有料記事とさせていただきます。物悲しい気分になりたい方、廃墟になる前の旅館の情報が知りたい方にぜひご購入いただきたいです。

※無料で読める箇所を拡大しました!



女将さん「えっ!?おひとりでのご宿泊ですか!?」

金曜日の夜、1人分キャンセルしたいが、男1人でも泊まれるか聞くために旅館に電話していた。

女将さん「当館としては、おひとりでも構わないですが…1人分のキャンセル料はいただきますが、それでもよろしければ…」

別に構わない。2人分のキャンセル料を払うより、おひとりでも泊まりにいったほうが得だろうと思ったからである。

高速道路を津ICで降り、神社と博物館に行った。

ひとりで。

三重県総合博物館

天気は曇りのち小雨。自分の感情を表しているようである。

助手席に誰も座ることのない車は、ワイパーを動かしながら近鉄の榊原温泉口方面に向かう。

狭小な山道を進んでいくと、突如として珍妙なスポットが現れる。「ルーヴル彫刻美術館」
本当は2人でここに来る予定だった。
入り口の写真だけ撮って、去ることにした。

さらに山道を進んでいくと、「榊原温泉へようこそ」の看板があり、白雲荘の看板を見つけて矢印の通り進むと、本当に営業してるのかよくわかんないくらい暗い雰囲気の大旅館に着いた。

え??ここであってる??

少し不安になっていると、玄関から女将さんが出てきてくれた。

女将さんは、本当におひとり様で来たことに驚いているようである。1人で首吊りでもされるのではないかとか思われてそうで、微妙な気持ちになる。

エントランスと薄暗いロビーには、かつて賑わいをみせていた名残りか、温泉組合やらツアー会社の標章、クマやタカの剥製なんかが並んでいる。

自分の他には、泊まり客は見当たらず、かなり不安になったので女将さんに聞くと、現場系の出張利用か男性の単身客がいるようだ。

部屋に案内される。古びた外観と、薄暗い館内から想像するより、広くて清潔な客室で安心した。

梅雨時のじっとりじめじめした山奥の風景が客室の窓から展望できた。あー、一面のクソミドリ。

温泉街だから何かしら近くにあるだろうと思ったのはミスだった。恐ろしいほど何もない。

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