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月の夜に

三日月ってきれいだよね。

でも七難八苦を与えよと祈ったお侍さんもいる。

うん。三日月さんは、そんなものを与えるイメージじゃないけどね。

もっと細い、猫の爪みたいなの、あれって、すご~いってわくわくする。

ごくたまにしかお目にかかれない気がする。

少しずつ太っていって、普通になって、それで半月。

半月ってさ、なんか哀しい感じしない?

それまでは特になんにも思わないんだけど、半月まできちゃうと、なんか
哀しいんだよ。

ほんと、ぽっきり半分ない、って感じ。

半分までくると、欠けてるもう半分の存在を描いちゃうのかしらね。

それよりちょっとでも太ると、もうなんとも思わないんだけどさ。

あの半月って、なんか特別だよね。まっぷたつに割れてる。

片割れがいない感じで、妙に哀しいんだよなぁ。

あ、いるんだけどね、ほんとは。見えないだけでさ。ちゃんとくっついてる。

しかし見事に半分暗いよね。明るいほうの半分と、どうなのあの差は。

明暗を分けるって言葉があるけど、月が一番近いんじゃないの?

てか、月から生まれたんじゃない?その言葉。

ルナティックっていうのは狂った様子を言うんだよね。

そうなの?へぇ~。なんでルナが狂った様子なんだろ。

満月で狼男に変身したり、月ってけっこうこわい描かれ方してるよ。

ウサギが餅をついてるなんて長閑な話ばかり聞くけどね、日本じゃ。

月の砂漠とか雨降りお月さんとか、みんなきれいだよね。

月と太陽とどっちが好き?

月。なんかロマンがある。目でちゃんと見られるし。形変わるし。

変わらないものもすてきだけど、変化するのもいいよね。

うん。わたしは好き。暗い空にくっきりとかぼんやりとか、どっちも。

今夜の月なんてさ、大きな青黒い紙を、ぷすってストローでさした穴みたい。

そお? 目悪いんじゃないの?笑  ただの穴には見えないよ。

穴だよ。ずーっと、宇宙の向こうまで続いてるの。すてきでしょ?

おお。いいねぇ。それはすてきだ。明るい穴だし。

じゃあ行ってみましょ。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門

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