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「つくね屋さん」のおかげで 子育てしてこれた。

【今日の 聴き屋】~98日目~


隣町の 小さな商店街にある
小さな やきとり屋さん。


この やきとり屋さんのおかげで
私は 子育てをしてこられたと
心から 感謝している。



こうして 書いているだけで
なんだか 涙がこみ上げてくる。


この やきとり屋さんは
保育園からの帰り道にあった。


一番上の子が 1歳で保育園に通い始めた
15年前。


大切な子どもを 初めてあずけての 職場復帰。


育児の時短勤務制度を使っていたとはいえ
長い通勤時間もあり 今みたいな フレックスや在宅勤務もなく
毎日 夕方は 本当に 慌ただしかった。


保育園からの帰り道に通る やきとり屋さんは
お持ち帰りだけ 受け渡しの間口があるだけの
小さな小さな お店。



注文してから 間口のすぐ横にある 炭火で 焼いてくれる。


お肉が小ぶりとはいえ
1本65円と 破格だ。
数年前に 消費税が上がるまでは 1本55円だった。


手作りの おかずも いろいろ売っていて
焼いてくれてる間に
売り物の空揚げや 軟骨あげなんかを  楊枝にさして
 「ハイっ」と 手渡してくれる。


子どもにも 大人にも みーんなに。


寒い季節は 鳥ガラスープを マグカップに入れて
出してくれた。


いつでも 町のたくさんの人が並ぶ 隠れた人気店。


焼いてくれる お兄さんは
(といっても 同年代だけど  笑)
忙しいのに いつも 子どもにも 声をかけてくれた。


ある時
保育園のお散歩で拾ってきた「どんぐり」を
一番上の子が 渡した。


「ありがとう!嬉しいなー!!今度お返しするから まっててな!!」
とても喜んでくれた。


親の私だって どんぐりなんて「いらないよー」
って思うのに。


次に買いに寄ったとき  
お兄さんは 奥からあるものを 持ってきて
子どもに渡してくれた。


「この前の お返し!約束したもんな!!」


キラキラ光る 綺麗な ”シーグラス” だった。


「これはな 海から 海岸に 流れてきたものなんだ。
    おじさん これ 集めてるんだー!
 キレイだろ☆
 この前の どんぐりの お礼!」


まさか どんぐりのことを 覚えてくれているなんて。


子どもとの約束を守ってくれた。
本当に 嬉しかった。



いつの頃から 寄るようになったのかは
思い出せない。


一番上の子が まだ小さくて
「やきとり屋さん」と言っても  伝わらないかな と思い
いつも「つくね」も買って帰っていたから
「つくね屋さん」と呼ぶようになった。



「つくね屋さん」に寄った日は
家に着いてから 夕飯を作る手間も軽減されるし
子どもの食いつきも良くて
帰宅から 寝かしつけまでの時間に
余裕が出来る。


お店の前を通るから
子どもは 毎日 寄りたがるけど
さすがに 毎日は寄れないから
月に数回 お世話になっていた。


子どもも 喜んだけど  私にとっても
「あさっては つくね屋さんデーにしよう。
 だから今日明日を なんとか 乗り越えるぞー」
いっぱいいっぱいの毎日で 心の支えになっていた。


初めの頃は 幼い一番上の子をバギーに乗せて。
その後 隣町に引っ越して
真ん中・一番下の子を 電動自転車 前後乗せして保育園通い。
「つくね屋さん」経由で帰宅  となった。


自転車から  二人の子どもを 下ろしたり乗せたりは大変だから
保育園のお迎えに行く途中で
注文する種類と本数を紙に書いたものを渡して
お会計も済ませて 保育園に向かう。


保育園で 二人 自転車に乗せて 「つくね屋さん」に戻り
自転車に 乗ったままで 注文したものを受け取って 帰路に着く
というのが 定番になった。


3人の子どもたち 11年間の保育園送迎生活で
数えきれないほど お世話になった。


最初の頃は
幼い一番上の子と 夫・私の分で
買うのも 1ケタ本。

そのうち
ふたり 三人と 子どもが増えて 一度に買う本数もどんどん増えていった。


一番下の子が 卒園すると
隣町に引っ越した私たちの日常生活圏ではない「つくね屋さん」に
しょっちゅうは 行きづらくなった。


もう 卒園から 何年も経つけど
でも どうしても 顔を見たくて 話したくて 
数か月に1度は 通っている。


今日 真ん中の子と 久しぶりに買いに行った。


いつも 頼んだものでない 唐揚げや おかずを
「おみやげ入れといたからな」
と 沢山袋に入れて持たせてくれる。

「大きくなったなあ~
 こんな ちっちゃかったのになあ☺」


美味しい とか 良心的な価格 とかだけでなく
いつも 温かく 私や 子どもだちの心を
包み込んでくれる。


本当に とにかく いっぱいいっぱいだった 子育ての中で
この 「月に数回の 温かい 心の交流」に
私が どれだけ 助けられ 支えられてきたか。。。


いま そのことを想うだけで
感謝の気持ちでいっぱいで 涙が溢れてくる。


あたたかい。。
ただただ あたたかい。



「つくね屋さん」のおかげで
なんとか 子育てをしてこれた。


心から 「ありがとう」 そう思う。


年に数回だけだけど 
これからも ずっと お世話になります☆




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