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アレクサンダーテクニークで見えた景色

言葉にならない体験を、どうにか言葉にして留め置いて。気になる方のご参考に、そして自分への備忘録に。

ATとの出会い

アレクサンダーテクニークについての説明はすっとばして、偶然知り合ったピアニストの小金沢有希さんが、演奏(人生?)が劇的に変わったというアレクサンダーテクニークとは何ぞや?講座をするというので、訳も分からず出てみたのが今年2021年の7月。

そこで知った原則、「頭が動くと全身が付いてくる」ダケを意識して、早速ピアノ弾いてみたら、いつもより視界が広がって、力が抜けて滑らかに弾けて。すぐに音が劇的に変わったのです。

15年くらい一切弾いてなかったピアノ。1年半前にステイホームで再開してみたのですが、大人になって聞くピアノは子供のころに習っていたものとは別物のようで。でも指はガチガチで昔弾けていた曲が全然弾けない(涙)

そんな1年が過ぎた時にAT、もといゆきさんに出会ったのです。
そして、10月くらいに個別での受講のお誘いをいただいてオンライン1回、リアル2回のレッスンを受けました。

どんな体験だったのか

とにかくたくさんの発見があったのですが、一言で言えば、「自他非分離、純粋経験」、ピアノだけではなく、音や世界との付き合い方や世界の認識が変わる体験でした。そこにあったのは、傾聴、許し、受容でした(なんのこっちゃ)。

どんな感じかと言うと、16色のパレットしかなかったのが48色になった感じ。例えば、今まで赤に見えていた世界がブラッドオレンジ色に見えてきた感じ。そして刻々と変わる美しい景色はもう二度と見られないのだけど、その景色は確かに見たぞ、美しい世界、ありがとう!という感じ。

レッスン中、私は何度も「えー?そうだったのー?まじかー」と言っていました。生徒として教わる分には、難しいことはなく、ただ己の内に発見があるのみ。

具体的に気づいたこと

分かりやすくね。言葉で書くと、何当たり前なこと言ってんの?って感じなのだけど。

身体構造と身体感覚:
・頭が動くと全身が付いてくる←大原則
・体は連動している
・指は手首の付け根から、腕は鎖骨から、首は目の後ろのところまで、頭はそれ以上
・椅子もピアノも自分の一部、なんならその先も
・世界も自分も毎日変わる
・ポジション変えても前の感覚が残っているので非常に弾きにくい経験をする
・筋肉痛になった
・指(現場)は違和感を感じたらどうにかしようと寡黙に頑張っている
・緊張はロック。焦りも、心配も。体は一か所ロックされると他もロックされる。力を抜くには、一度いっぱい緊張して弛緩させる
・指先が冷えなくなった…!

思い込みの解体:
・鍵盤は押すのではなく、弦をはじく。音がシーソーの反対側で待ってる
・ペダルは踏むのではなく体を伸ばす
・鍵盤の奥は泥沼ではない
・肘も体も傾けたり動いていい
・強く弾きたければ立ってもいい
・音に体を空っぽにして明け渡していい。怖くない
・ピアノを自我が弾いているのではなく、奏者の体を通してピアノが鳴っている

今日も生きてますか?

楽譜って名も知らぬ友人に宛てたお手紙なんだって。
「こんな経験したんだよー」「こんな景色があったんだよー」「こんな風に思ったんだよー」それをどうにか記号で伝えてくれて、そのレシピを元に「こんな感じかな?」って再現してみる。生み出されるものは自分が満足できる自分のためのもの。気分に応じて味付けを変える。

ゆきさんはこんなことも言っていた。曰く、楽器を弾くということは、今日も生きてますねという反応が音で返ってくるということ。

その瞬間、楽器は体の一部になる。体が自己が拡張される。拡張でもあり解放でもあり融解でもあるその時音は自分自身だし、自分は音になる

もう怖くない

ピアノを再開してみて困ったのが、恐怖心が芽生えたこと。
ふとした瞬間に、音の中に落ちていくような、自己が無くなってしまうような、そんな背筋が凍る感覚。

でも、何が起こっているかが分かれば、もう怖くない。
音は私を食らおうとしていたのではなく、呼びかけていただけらしい。そして、演奏中、私とピアノはもはや分離されていないのだから、怖がることなんてないのだ。

ロックしないと羽ばたく

こんなこともあった。最初にさわりだけ教えてもらった後に、海で泳いで帰ってきてピアノを弾いてみたら音が変わった。

プカプカ浮いて自然と一体になって、ロックが外れたのだと思う。

体が一か所でもリキんでいたら、確かに自由に優雅にダンスはできない
ピアノだって同じ。どうにか無理やり弾こうとしたり、緊張は焦りがあったらロックオン。小さな最小限の”私”に縫い付けられてしまう。

それが解放されたときの軽やかな羽ばたきは、それまで経験したことない私には感動的でした。

それって本当?

子どもの時に習っていた私には、思いも及ばぬ鎖がたくさん絡みついていたたことも大発見でした。例えばこんなことが。

奥は沼だから
「このフレーズが指が絡まってうまく弾けないんです」「指が自然といくように動かすと?」「こうなるけど、でも鍵盤の奥の方に行っちゃう…」「奥に行ったらだめなの?」「だって奥は沼だから身動きが取れなくなっちゃう…」「本当に沼かどうか、行ってみよう」「あれ、沼じゃない!行ってもいいんだ!」

こんな感じで、鍵盤の付け根のあたりは”沼”だと思ってたんですね。確かに鍵は手前で弾くより重いけど、子どものころに「奥で弾いたらダメ」と言われたのが刷り込まれていたようで。

崖の上から落ちないように頑張ってる
こんなこともありました。左手でミレを2.1で弾いた後、ドを2で下のミを5で同時に弾かないといけない。どうしても音が揃わない。
「レの親指は何を考えてどうしようとしてるの?」「次のミドに行くために、そこに橋を架けなきゃと思って」「頑張ってる(ロックしてる)んだね」「そう、必死に崖の上から落ちないように頑張ってる」「雨粒がはじくけるように、向こう側に行くこともできるんじゃない?ドをサクッと刺す感じで弾いてみたら?」「刺したら肘が上がっちゃうけど…確かにジャンプできそう!」

上手くいかない!違和感がある!こうしないと××になっちゃう!を察知したら、すかさず「それって本当?」と自分に問いかけたい。

指は道具ではなく体の一部である

もう一つの大発見は、これはプロセスワークの講座で発見、理解して、ATを使った演奏で体感的に分かったこと。そしてある意味当たり前のこと。そう、ATで気づくのは当たり前のことばかり。

丁度同じタイミングで学び始めたプロセスワークで身体症状を扱った時に、冷え性についてワークをしてみたのだけど、どうやら私は手や指を脳が指令で動かす道具みたいに認識していたことに気が付いて。身体が手首までで分離しているから、当然気や熱は巡っていかなくて手の冷えを引き起こしているらしい。

この事実とATが私の中で掛け合わされたら、ピアノを弾いていて指が冷えていくことはなくなったし、日ごろの冷え性もなかなか解消されてきたのでした。

レッスンの内容(個人で大きく異なる)

ATは全くの初心者からプロの方まで、誰でも発見があるでものしょう。
私の場合、何がうまくできないのか(自分で分かっている違和感)から紐解いていきました。

一番最初のオンラインレッスンでは、何と椅子の座り方を1時間くらい探究!これだけで自分と椅子、ピアノとの関係性が劇的に変わる。私30年も生きてきて椅子の座り方を知らなかったらしい。

2回目はリアルでお会いして、頭の位置や指や腕はどこから始まるのか、骸骨を見ながら解説を受けました。再度座り方やペダルの踏み方、弾きたい曲の上手くできないフレーズを教えてもらったり。半分はAT、半分は単なるピアノのレッスン(笑)
この回で一番変わったのは姿勢かな。筋肉痛になったし。あとは今まで指がもつれて弾けなかったところが弾けるようになったり。

3回目もリアルで、うまく弾けないフレーズを取り上げて、「それって本当?」を一音ずつ確かめてみたり、ペダルの踏み方やピアノの構造を教わったり。
この回では、自分の領域が広がっていくことを体感できて、自分と世界との関係が変わるような体験だった。

延長戦はワインバーで、ATを日常の色んなところでどう使えるかや、私が学んでるプロセスワークやU理論、マインドフルネス、JTSなどとの相違点や好みのタイプを語り合って♡

ゆきさんは2022年から本格的にATの指導を開始します。ATは音楽演奏はもちろんダンスや料理や思考や酔い止めにまで、あらゆることに使えるらしいので、興味ある方は受けてみるとビッグバンのような体験ができると思います♪ゆきさんのブログはこちら

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