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レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドのワークにおけるアスピレーションとビジョン

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使ったワークショップで、ときどき使われる問いの中で「アスピレーション」を作ってもらうことがある。

 「アスピレーション」は日本語訳で「熱望」や「願望」で、現在の自分が心から望んでいることであるが、「望んでいる」だけだと、一歩間違えると夢物語になってしまうので、今の自分をベースに100%の可能性を発揮したらどのような自分になれるかを作ってもらうことがポイントとなる。そして、そのアスピレーションの実現を目指して明日への一歩を踏み出すのである。

 指を動かしモデルをつくりながら、これまで記憶の底に沈んでいた自分の経験やキャリアを浮かび上がらせることができると、普段の自分で気づいていない自分の姿を見ることができるということになる。

 つまり、「アスピレーション」は、やや現在と過去に目を向ける(もし、現在の自分自身つまりアイデンティティ・モデルを作っていれば、より現在の自分に目が向く)ようなワークになる。

 豊潤かつ未活用な過去の経験が詰まっていれば「アスピレーション」を考えるワークは豊かなものになるが、そういうものが比較的少ない人、つまり対象が若い人になればなるほど、そのまま「アスピレーション」モデルを作ってもらうのではワークの効果が薄くなるリスクがある。
 うまく問いを立てないと「卒業する(過去の学業の経験と重なる)」「就職する(過去の入試経験と重なる)」ということを表したモデルに落ち着いてしまう。

 そこで自分自身の能力や経験はひとまず横に置いておいて、「私は他者や社会にどのような未来が訪れるのを願うのか」という問い、つまりビジョンを描くことをまず行い、つぎにそのビジョンにどう自分が関わりたいのかという問いを重ねることによって自分の目指したい方向性を定めるという順番になる。

 もちろん、このアプローチは一歩間違えると「夢を語る」だけに終わってしまうので、その夢の実現を現実の行動のなかからどう作り出すかということをさらに考えさせる機会を与えねばならない。

 つまり、ビジョン経由では「アスピレーション」を直接考えるときよりも、丁寧にステップを踏まねばならないということになる。さらに場合によっては、夢の実現のための様々な事例(成功者の習慣や辿ってきた道)についてのインプットを参加者にさせる必要もあるかもしれない。


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