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社会問題への対応を企業が考えるためにレゴシリアスプレイメソッドができること

 ハーバード・ビジネス・レビュー2024年9月号の最後に収録されているのは、「論争の的となる社会問題に企業はどう対応すべきか」というタイトルの論文であった。

 現代の大企業に対して、公衆は多くの期待を寄せている。調査の項目にあがっているものの中で、以下の項目はいずれも75%以上の人が「企業は責任を果たすべきだ」と述べている。

・気候変動や貧困などの地球規模の主要な問題の解決
・自国の主要な社会問題の解決
・地域社会の支援
・従業員の訓練と新しいスキルの習得支援
・信頼できる情報へのアクセス確保
・経済成長の原動力となる
・雇用を創出する
・自国の価値観への敬意を醸成する
・安全で信頼できるサービスの提供
・イノベーションの推進
・所有者や株主のための富の創出

 そしてこれらの項目のいずれについても、「責任を果たすべき」の割合に対して、「よくやっている」との評価をしたひとの割合との差は、20ポイント以上ある。

 これらの「責任を果たすべき」と公衆が考える事項は、本当に企業の責任なのか。
 公衆の声を無視して、企業が「責任はない」と無視を決め込むこと自体がリスクになっているというのが実態であろう。グローバル化により、世界は複雑に絡み合う様になり、どこかにつながりがあることから、「責任がある」と主張するための材料に溢れているからである。

 こうした傾向に対して、企業はどうしたらいいのだろうか。

 企業は公衆に対して、問題の解決に向けて、どのようなポジティブな影響を与えているかをわかりやすく主張することが必要であろう。
 これまで当たり前のこととしてきたことでも、光を当てなおし、問題の解決に寄与していると意味づけをすることも必要になるだろう。

 その主張のためのベースになるのが、影響関係の可視化である。その作業を一部の部署ですることも大事だが、より多くの企業の関係者まで伝え、共に考えていくことが必要だろう。
 SNSの普及により、一人の社員の振る舞いや発言が企業全体を大きく揺るがすような時代になっていることが、さらに全社員への浸透の重要性を増させている。

 企業活動と社会問題との複雑な関係を可視化して、企業外にどうメッセージを発していくかを考える一つの手法として、レゴシリアスプレイメソッドを使ったシステムの表現がある。

システム表現の例(実際にレゴのパーツで結ぶ場合もある)

 社会問題と企業活動が誰にどのような影響を与え合っているか、その中で企業は社会問題に対して、どの様なメッセージを発することができるかについて、モデルを作ることを通じて考えを整理することができる。
 
 考えの整理は、ふせんを使ってでもできなくはないが、問題・活動・関係はそれぞれ参加者によってイメージや範囲が異なることがほとんどのため、そのズレを明確にしないと整理の作業は滞り混乱する。その点からもレゴシリアスプレイを通じた表現は役にたつといえよう。 

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