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レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを活用してのゼミナール2022〜2年生編その2

 前週にはレゴ®︎シリアスプレイ®︎の基本的なやり方を学びつつ、自分達が1年間大きく成長できるゼミになるための条件を探って締めくくった。

 今回は「自分らしさ」を探るワークに入る。

 最初になぜ「自分らしさ」を把握すべきなのかについて、私の考えを学生たちに説明する。

 他の人の話を聞くにも、本を読むにも、何かの知識をインプットするときには「私ならこう考えるけどどうか」「私はこれについて知りたい」という姿勢を持っているかどうかで知識の吸収力は変わってくる。そして、そのような姿勢の根っこには「私」というものへの意識がある。

 これは、いわゆる「アイデンティティ」であり誰もがもっているものであるが、これをしっかりと掴み意識することで、関心の向け方や特定の問題への意識が強くなる。
 関心の向け方や問題への意識が強くなると、それに関する知識が入りやすくなり、自分の中でつながっていき、その蓄積が会話の中での意見や質問に反映され、他の人から感じられる個性となってくる。

 あまり特定の分野に偏る必要はないが「この人はこの分野についてはよく知っているし、よく考えている」という印象を相手にもってもらうことは自分自身という存在を社会的にきらりと光らせてみせる効果がある。それだけで全てが解決するわけではないが、そうした経験自体が自分への自信を生み、さまざまな社会的な場面で自然体でいられるようになり、自分の持っている力を発揮できるようになる。
 だから「自分らしさ」に目を向け、そこから複雑な社会のどこにスポットライトを当てたいかを考え、各自やゼミで読む本を考えていこう。

 ここまで流暢に話してはいないが、上記のようなイントロダクションをしてからブロックとトレーを配る。2回目は少し複雑な作品を表現してもらいたいと思い、スターターキットを用意した。

 最初は比較的単純なブロックから感覚を戻してもらう。緑・オレンジ・アイボリーの3色をセットから取り出してもらって、そこから手を動かして「植物」を作ってもらい「自分らしさ」を表現に加えてもらう。直接には浮かばない人が多いと思うので、まずは手を動かして何らかの植物がイメージできるものをつくり、少しずつ自分らしさってなんだろうと自分自身に問いかけながら形を整えていくように助言する。
 もちろん、作品は他の人に説明する。実際に言葉で説明することが大事で、そこから「自分らしさ」のキーワードを掘り起こしていく。「実をつけるのが早い」「まっすぐ伸びる」「周りから可愛くみられる」「花が咲きかかっている」などの言葉が出てきた。

筆者も作ってみた(ブロックを全部使う・あちこち伸びる・メリハリがある)

 つぎに、キットに付属する作例を作り、それらをベースに改造して「自分らしさを持った生き物」をつくってもらう。
 生き物のほうが植物よりも、自分自身に重ねやすい場合が多いのでスムーズに進む。「誘われればすぐに飛んでいく」「意外性を見せる」「リラックスするのがすき」「好奇心をもとにうろうろする」など、生き物だけに動的なキーワードが出てきた。

筆者の場合(お酒を飲んで変なアイデアと脂肪を腹に溜めている)

 次に、改めて自分の「アイデンティティ」に関するモデルを作ってもらった。アイデンティティの中核部分には、私自身の他にはない「価値観」や「行動基準」があるのでそこをメインに表現してもらう。すぐに出て来なかったらブロックの色や形をみて自分らしい感じがしたパーツをくっつけていくところから、まず手を動かすといったアドバイスをした。
 また、「価値観」や「行動基準」でも、「チャレンジする」ということなら、他の人も持っているので、同じチャレンジでも「自分らしいのはどんなチャレンジの仕方か」まで踏み込めるように働きかけた。

 自分の「コア」に触れる作品になることを意識させたからか、ここにきて一部の学生の作品がややネガディブな価値判断と混ざった説明が増えた。「本当の自分はすぐには出さないようにしている」「行動の前にあまり考えないようにしている(その結果行動が一貫しない)」などの表現である。

 一人一人じっくりときいてまわったところで、片付けをしなければならない時間に。前回と同じくモデルの写真をとって、ゼミのTeamsにアップし、少し細かく作品の解説を書いてみるようにと指示して終了した。

 全体を振り返ると、今回のゼミでは通しで3つの作品を通じて「自分らしさ」について作品をつくって観察することによって、自分に関する様々なキーワードが出てきたのではないだろうかと思う。
 ただ「コア」に関しては、ネガティブな観点から説明していた学生については、ポジティブにも言い換えることにもトライしてもらってもよかったかもしれない。どのような価値観や行動基準も状況次第では賞賛にも批判にもなるからだ。
 両方から照らすことにより、よりバランスの取れた人間的な成長が期待されることも含めて来週以降フィードバックをしていきたい。

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