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「自らすぐに動き出す」をレゴシリアスプレイメソッドのワークで実現するために

 レゴシリアスプレイメソッドを使ったワークショップは、扱うテーマはそのときどきで違うが、私が共通して目指しているのは、ワークショップが終わったら、そこで得られた経験やアイデア、インスピレーションに沿って自らすぐに動き出す状態を作るということにある。

 「自らすぐに動き出す」可能性を少しでも高めるためには、どのような条件が満たされなければならないのか、改めて考えてみた。

(A)その人が何をしたらいいかわかっている
(B)それをすることで良い結果にむすびつくことがわかっている
(C)それをすることについて強い興味関心がある

 今のところ、この3つではないかと感じている。

(A)その人が何をしたらいいかわかっている、について

(A)はすべきことをより具体的に描き、かつ実現可能性を高く感じさせる点がポイントになりそうだ。

 (A)については、ファシリテーターから投げかけられる問いかけ、もしくはレゴシリアスプレイメソッドで作られたモデルやそこから生まれたストーリーの抽象度が高いものであったり、メタファー(隠喩)がふんだんに使われたものであると、満たされなくなる可能性が高まる。

 もちろん、抽象度が高い答え(ストーリー)であることには利点も多い。

その分、多様な状況に重ねることができるという利点が生まれる。それは、他者の考えと接点をもつことや、他の人の意見と組み合わせてより大きな意見を作って行きやすくなることにもつながっていく。

 むしろ、レゴシリアスプレイメソッドは、人々から適度に抽象的な話を引き出し語らせる力が強いという点に価値があると言っても良い。

 だからこそ、「自らすぐに動き出す」ことを目指すならば、ワークショップの後半では、これからすべきことをより具体的に描き、かつ実現可能性を高く感じさせるための工夫をしっかりと用意しておかねばならない。
 魅力的なストーリーを語ることができているのに、それを個人の具体的な目標につなげるときに苦戦する人も少なからず存在すると経験上感じている。

(B)それをすることで良い結果にむすびつくことがわかっている、について 

 これは一つには「行動の背景にある問題状況を自分ごとにできている」ということと、「すべきことの結果を想像の中で強く描く」ことの2つを満たす必要があるということである。

 前者については、ワーク内での問いかけを活用することで高めることができるだろう。「この作品はあなたにとってどのような重要性がありますか」「このやりとりから生まれた知識をどのような場で活用するとあなたはよりハッピーになると思いますか」などの問いかけは、ワークで生み出されたものを「自分ごと」にするための例の一つである。
 レゴシリアスプレイメソッドに限らず、ワークショップに強制的に参加させられた人びとは、その場でのことを「自分ごと」にする動機が弱い。「悪夢のような管理者」について興味深い答えをモデルで作っても、その場限りで終わってしあう可能性がある。

 後者の「すべきことの結果を想像の中で強く描く」は、(A)の具体的な行動を考えさせる際に、合わせて参加者には考えてもらいたい。
 「想像の中で強く描く」のだから、この部分こそレゴシリアスプレイメソッドでモデルを作ることで進める方がよいかもしれない。もちろん、それを行うためには、相応の時間の確保が必要となる。追加でモデルを作るとなると時間がそれなりにかかるが、それまでのワークで作ってきたモデルを見て振り返りながら、語らせるということも場合によっては可能である。
 この点においてもファシリテーターの工夫が求められそうだ。

(C)それをすることについて強い興味関心がある

 これは「やってみたらどうなるのだろう」と強く疑問をもたせることができれば、「自ら直ぐに動き出す」となるということである。
 そのときに、具体的な行動がなくても強い疑問があれば、「さらに調べる」「さらに考える」「他の人に相談する」などが具体的な行動につながっていくということだ。
 これについてはは私も実際にワークショップにおいて、強い疑問を持たせうことは、うまく実践できていないこともあって十分に言語化できていないが、なんとなく、あえて回答を出させない領域をつくって課題として持ち帰ってもらうようなコメントや問いを出すことがポイントになるのかもしれないと考えている。
 参加者にワークの中で発する問いとしては単純に考えれば、「あなたがもっと深めてみたら面白いと思う点はどこですか」となるだろうが、参加者がその問いに強い関心を持たなくてもその場で回答ができてしまうため、結局行動せずに終わってしまう可能性がある。

 参加者の関心や好奇心を高めるリード、ファシリテーションの技術については今の私の技量や知識では十分に語ることができないため、機会を改めて書いてみたい。

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