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思考ルーチンとレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッド(13)「関連・違和感・重要・変化」

 今回はこの本の中で紹介されている「関連・違和感・重要・変化」という思考ルーチンをとりあげる。

 この思考ルーチンは、前回の記事の「つなげる・広げる・吟味する」と同じく、何らかの文章を読ませたあとに行わせる。文章をただ読むだけでなく、そこから思考を巡らせるのである。

 前回の記事はこちら。

 文章を読んだ後に投げかける指示は以下のようなものとなる。

<関連>
 文章から自分の体験や学習経験とつながる部分を抜き出してみる。さらにどのように関連しているかについて考えてみる。

<違和感>
 文章からそうでないと思うことや、正しいと信じるにはもっと情報が必要だと思う部分を抜き出してみる。

<重要>
 文章から最も鍵となるキーワードや考え方を抜き出す。文章を読んだことのない人に対して、どうしてそれが最も重要なものなのかを説明するならどう説明するかを考えさせる。

<変化>
 文章全体を振り返って、自分の行動や考え方にどのような示唆や激励があるかについて考えてみる。

 これら4つを進めた後、改めて全体を振り返ってどのような意見が出たか、何に気づいたかについて意見を交わさせる。文章を読んだ後のこの4つのステップそれぞれの意味や価値について考えてもらう。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおける「関連・違和感・重要・変化」

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおいても、この思考ルーチンを参加者に意識させることは価値がある。タイミングとしては、モデルを作ってお互いのモデルに含まれるストーリーを語った後ということになる。

 「関連」は各参加者に、モデルを見ながらストーリーを聞かせてもらって想起したことを語ってもらうことで同じ効果が期待できる。それによって自分のモデルにも変化が出るかもしれない。

 「違和感」はモデルのストーリーに対して直接ぶつけるのは難しい。他の人のモデルやストーリーはその人のものなので「間違っている」ものではないからだ。
 他の人のモデルは否定してはいけないが(それを参加者に周知することも重要だ)、もっと説明がほしいところを指摘してもらうのは良いことである。作り手の中に眠っていた情報が呼び起こされるきっかけになる可能性があるからである。

 「重要」は他の人のモデルについてだけでなく、自分自身のモデルについても考える価値がある。自分のモデルとストーリーを振り返り、もっとも重要な箇所はどこかを考えることで、モデル全体の解釈が少し変わったり、ストーリーの中に含まれるいくつかの情報の重要性の比重が変わったりするからである。
 さらに重要な部分を抜き出して、全員で共有できる価値のあるモデルを作りだすことにもつながっていく。

 「変化」も、ワークショップの中でぜひ取り入れたい。とりわけ最後にこの「変化」を考えさせることによって、ワークショップが終わった後の現実の世界での行動に参加者の注意を向けさせることができるからである。
 この「変化」のパートに向けて、ワークショップでは、モデルとそのストーリーだけでなく、「関連」「違和感」「重要」を積み重ねながら、最終的に良い変容を目指していければと思う。

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