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レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使った幸福感を高めるワークショップを考えてみた

 日本も人口減少時代を迎え、それまでの社会の仕組みが一つ一つ通用しなくなっていると感じます。教育、医療、介護、経済、労働、政治など、あらゆるところで見直しが必要になってきています。
 では、何に向かってこれらを見直していけばいいのでしょうか。その一つとして「幸福度」という考え方に注目が集まるようになっています。

 日本でもいち早く幸福度に注目し、研究を進めてきた前野隆司氏による上記の著書では、アメリカを中心に広がってきたポジティブ心理学というジャンルの成果もしっかりと受け止めつつ、日本人の「4つの幸せ因子」という非常に興味深い成果が示されています。

 ①「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)
 ②「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)
 ③「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)
 ④「ありのままに!」因子(独立とあなたらしさの因子)

前野隆司(2017)『実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス』PHP新書より

 上掲書では、この4つの因子に着目したワークショップなども紹介されているのですが、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使えば、より強力な効果がでるのではないかと考えています。
 その理由のひとつは、あなたらしさや自己実現など、なかなか認識しにくい「自分」について、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドはよりよく取り扱うことができるということと、同じく、可視化しにくい「気持ち」についても考えやすいメソッドであることがあります。また、利用しているレゴ®︎ブロックが、鮮やかな原色が多いことから、作品を通じて表現した「自分」や「気持ち」のことが、より強く自分自身にフィードバックされる(増幅装置のように作用する)ということもあります。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドを使った「幸福感」を高めるワークショップ(案)

 ここからは、より具体的に「幸せについて考える」ワークの流れを提案してみます。

(1)レゴ®︎ブロックや表現に慣れるためのウォーミング・アップのワーク
 まずはここからですね。本題に自信をもって入るために必要なステップです。

(2)他の誰でもない「私」のアイデンティティをブロックで表現する
 ここは④「ありのままに!」因子を意識しています。この作品をつくって語ることで、他の誰でもない、優劣と一体化した社会的比較の下にない自分自身を感じてもらいます。

(3)最近の自分の成長や成功体験を(2)の作品に加える形で表現する
 ここは①「やってみよう!」因子と③「なんとかなる!」因子を意識しています。自分の成長や成功体験を自覚することで前向きな気持ちを作り出します。また「自分の成長」や「成功体験」の表現部分を一度取り外してみて感じたこと(もしくは成長する前の自分について)を話してもらいます。その後、再びくっつけてみて、前向きな気持ちを改めて感じてもらいます。

(4)自分の成長や幸せを応援してくれている存在を作り、(3)の作品と連結させる。
 ここは②「ありがとう!」因子を意識しています。自分を支えてくれている人に思いを馳せてもらいます。具体的な人が思い付かない人には「自分がやすらいだり、楽しい気持ちを与えてくれる要因」でも良いとします(例えば、趣味とか、運動とか、お風呂の時間とかでもいい)。自分の幸せな瞬間を思い出したり、応援してくれている人を強く意識することによって、心理的なつながりを確認してもらいます。
 この段階では連結のためのパーツがあることが望ましいですが、無ければモールや太めの毛糸、色紙(暖色系の紙を、細く長めに切って自分と他者のモデルの下に敷く)などでもいいと思います。

(5)自分にふさわしい最高な目標について表現する。(4)の前方におく。
 ここは①「やってみよう!」因子を意識しています。多くの人に支えられ、成長している自分自身が達成できるであろう最高な目標を意識することによって、有能感を感じてもらいます(自分にふさわしい=達成できる目標というところが有能感を高めるポイントです)。それを達成することで、周りの人がどう喜んでくれるのかについて追加で表現してもらったり、語ってもらうと、より幸福感が高まると考えられます。

 ここまで、おおよそのワークショップの枠組みを提案してみました。1ステップだいたい45分〜60分ぐらいなので、今回の提案を通しですると私の経験感覚では4〜5時間ぐらいかかってしまいますが(3)〜(5)は省略できるので、確保できる時間に合わせてアレンジするといいでしょう。あと(5)まで作り切った作品はその人にとって、とてもパワフルなエネルギーを与えてくれるものになっているはずなので、できることなら作品はもって帰っていただきたいですね。

 もし、上記のワークショップ・プログラムの実施に興味のある方はご連絡いただければと思います。

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