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思考ルーチンとレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッド(17)「視点の輪」

 今回はこの本の中で紹介されている「視点の輪」という思考ルーチンをとりあげる。
 狙いとしては、ある物事を多くの異なる視点から掘り下げる経験を子供たちにさせるというものである。

 具体的な方法としては、以下のような感じで進む。
(1)ホワイトボードや模造紙などを用意し、大きな円を描く。
(2)その中央に考える対象となる問題や出来事を書き入れる。
(3)円周の内側に、考えられる視点を書き込んでいく。ここでの視点としては特定の立場の人々や組織など団体のほか、動物や植物、石、空、地球など無生物でも、中央に書かれた問題や出来事に関連していればかまわない。
(4)その中から考えてみたい視点を参加者がひとつ選ぶ。複数人で行う場合には視点を分担してもよい。
(5)参加者は割り振られた視点から、その立場になりきらせて「私は~~と思う」という枠組みで考えを書く(なり替わって話す)。
(6)参加者は割り振られた視点から、そのような視点を持つ人(存在)が持つ疑問を考えさせる。
(7)全体もしくはグループ内で、(5)や(6)で参加者が考えたことを発表する。

 こうした別の視点で考えるということは、子どもにとって必ずしも最初から簡単にできることではないので、考えやすい材料を使って教師と子供が一緒に考える練習題のようなものをすることも推奨されている。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドにおける「視点の輪」

 レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドにおいて、別の視点から考えるという思考の効果を狙ったものに、席替えによる説明というやり方がある。そのやり方は、自分の意見をモデルで作った後、それについて本人が説明せずに席替えをして別の人がそのモデルについて説明してみるという方法である。

 他の人が自分のモデルを見て「このようなストーリーではないか?」と推論するのを聞くことは、自分と他者の立場を入れ替えるという意味で大きなインパクトをもつ。
 似たような方法で、自分のモデルを説明したのち、そのモデルを使って同じ内容の説明を他の人にしてもらうという方法もある。自分が他者になって自分の意見を聞くということである。

 ただ、この「視点の輪」のように、レゴ🄬シリアスプレイ🄬では、参加者が自らの「立場」を先に設定して考えを述べさせたり、その点で話を聞くということは、あまり行われない。

 実際にワークショップの中でも、参加者間で特定の役割を割り振ってみるということは積極的に使っていきたい。

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