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デパートメントH

人間30年近く生きてきても、まだまだ知らない世界がある。

2022/03/06 AM00:00
誰もいない深夜の319号線を抜け、デパートメントHというイベントに潜入してきた。

舞台となるのは鶯谷の「東京キネマ倶楽部」


元グランドキャバレーを改装したスペースだ。
パリ・オペラ座を彷彿とさせる吹き抜けのバルコニー構造は、現代では消防法の兼ね合いもあり珍しい造りとなっている。

さて、そもそもこのイベントであるが、
共に浪漫色情研究会を主催するK氏がどこからともなくこのイベントの情報を仕入れてくれたことが入口となった。
K氏は果敢にもこのイベントに単身乗り込んだことがあり、その時の驚きをありのままに話して聞かせてくれたことがあった。

とはいえ、話を聞いても聞いてもどのようなイベントか今ひとつ想像がつかない。コスプレのオフ会とも、ストリップショーとも違う。
フライヤーを読んでみても、下記のような記載があるものの、「キッチュ」も「キャンプ」も「ヒップ」も「パンク」も「モンド」も何のことか理解出来ない。

フライヤー

イメージは相変わらず付かないものの、とりあえず足を踏み入れることとした。
建物の手前で、何がとは言えないが明らかにこのイベントに参加するのだろうな、という人を見かけた。何がとは言わないが、確実にそうだと思わせる雰囲気をまとっていた。

さて、東京キネマ倶楽部が入居するビルだが、見るからに新宿歌舞伎町にありそうな雑居ビルを思わせるライトが、これから始まるイベントの淫靡性を予感させた

歌舞伎町や銀座の古いビルあるあるな、ライト

エレベーターが開くと、そこは明らかに現代とは思えない空間が広がっていた。そして突如現れるドラァグクイーン。
床はもちろん、カウンターにまで絨毯素材の布が張り巡らされ、昭和の香りがにおい立つようだった。

中はマンボウ(蔓延防止等重点措置)の最中にも関わらず、賑わっていて座る場所がないくらい混み合っていた。

30分ごとに中央のステージではパフォーマンスが繰り広げられるが、
それ以外にも至る所で様々な「何か」が行われていた。
「何か」というのは、緊縛や、スパンキングなどのことである。
全体的にラバーコスチュームをまとった人が多く、中には極端に布面積が少ないものもあった。

※イメージ
実際にこのように顔全体を覆っている人もいた。

この異様さについては直接写真などでお伝えしたいところではあるものの、残念ながらあまり手元には写真がない。
際どい格好をしている人が多いから、というのもあったが、一番は自分がこの場における「当事者」ではなかったことが大きい。
そういった場においてカメラを構えることは、これほどにまで気が引けるものなのか、という実感があった。

これまで生きてきて、
「自分がこの中で一番普通だ」と自信を持って言える環境は初めてだった。
同時にそれは「普通とは?」「一般とは?」という問いを自分自身に突きつける。緊縛は普通ではないのか?スパンキングは普通ではないのか?ラバーコスチュームは普通ではないのか?だとしたらそれはなぜ?

日常に退屈している人は、是非行ってみて欲しい
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