おさけとたばこ

 私はお酒が呑めず煙草が吸えない、お酒は耐性がなく呑んだら鼻水が出てきて眠気が私を夢に引きずり込もうとするのだ。そして煙草は昔に喘息気味で今もその名残りがあるから吸ったら凄まじい咳がでる。それはもう凄まじい咳で喉を守る膜のようなものが剥がれ抉れ咳と共にそれが出てきているような感覚だ。
 煙草が吸えないのはまだ良い、私はお酒が飲めないのがつらい。
 煙草は美味しそうな見た目をしていないがお酒というのは非常に美味しそうな見た目をしている。珍味が好きな私からすればハブ酒なんかすごく魅力的にうつる。
 糖度の高い酒と辛い酒を飲み比べて「こっちの方が好き」とか言いたいのだ。
 そして地ビールなんて呑んでツウぶりたいしワインを呑んで滲み出る大人感を演出したい。なにより酒場でワイワイしたいのだ。酒場というのは楽しそうな雰囲気で実際楽しい、お酒を飲みながら人と話したいし色々なものを食べたい。お酒がなくてもそれは出来るがお酒を飲んだ方が酒場の人間は心を許してくれるのではないかと思っている。
 残念なことに飲めない私は代わりにエナジードリンクを飲んでいる。ちなみに私はアルコール耐性だけでなくカフェインにも耐性がないから2本も飲めば宙に浮いたような感覚になる。宙に浮いたような感覚になりながらマイナスなことを考えるのが好きだったりする。カフェインを飲みながら感傷に浸るのだ。カフェインは薬物の中ではアッパー系と言われるような部類でテンションを上げる効果があるが不思議なことに私がカフェインを飲むとテンションが下がりマイナス思考になる。思うにこのカフェインのアッパー系マイナス思考というのはアルコールのダウナー系マイナス思考とはまた違ったものだろう。血が身体を巡る感覚の中で将来の不安や人間関係について考える。考えても答えが出ないから毎夜考える。だからカフェインとおててつないで暮らしているのだ。
 おさけとたばこをやっている人たちもきっと同じようなもんなのだろうなと思いながらカフェインを飲んでいる。

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