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事後情報効果

 いきなりだがあなたはどれくらい昔のことを覚えているだろうか?
 私は幼稚園の年少のころのことまでなら覚えていたりする。そのあたりの記憶は脳の発達の影響で消えていくことが多いとされているのだがなぜかその記憶だけは残っていたりする。しかし、不鮮明である。
 さて、本当に直近の物事はどうだろう?例えば今日の出来事、これは結構鮮明に覚えていたりする。
 今日の朝ごはん何食べたとか朝から失敗したとか昼に眠気が襲ってきたとかetc...。だが昨日のことならどうだろう?記憶の整理をしやすくするために寝ている最中に記憶の簡略化が行われ細部までは思い出せなくなることが多い(一部の例外はある)。
 簡略化により記憶は曖昧さが出てくる。ここが嘘のつきどころなのだ。
 記憶というものは書きかえられるものだ。
 こんな実験がある。参加者を集めて交通事故のビデオを見てもらう、一方のグループには「車がぶつかった時のスピードはどの程度だったか」と尋ね、もう一方のグループには「車が激突したときのスピードはどの程度だったか」と尋ねた。
 すると激突という言葉を使ったグループの方がぶつかったという言葉を使ったグループに比べ速いスピードを回答したのである。
 そして、この一週間後、同じ参加者たちに「一週間前見たビデオの中で割れたガラスを見たかどうか」と尋ねたところ実際には割れたガラスは存在していなかったのに激突という言葉で尋ねられたグループでは割れたガラスを見たという回答の割合が多かった。
 このように後から与えられた情報で記憶が操作されることを事後情報効果という、これを使えば記憶の改変などお茶の子さいさいである。
 例えば数年前に恋人と二人の約束を破ったら5万円支払うという約束をした。数年間あなたは約束を守り続けたわけだがある日うっかりその約束を破ってしまった。
 そしてその恋人に「5万払ってもらうよ」と言われるわけだ。
 5万円を払うのがいやなあなたはこう言うのである。
 「約束が違うじゃないか、あの時したのは約束を破ったら一週間風呂掃除で許すって言ってたよね?」と
 恋人は記憶と違うと思うだろうが約束をしたことは鮮明に覚えていても約束を破ったらすることまでは覚えていないだろう。これによってあなたの恋人は一週間風呂掃除であなたを許してしまうのである。

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