『HPV』と『子宮頸がん』について考えてみませんか?
皆様、こんにちは!
性教育認定講師&産業保健師のきりん🦒です。
(今回は題名的に名乗り方を変えました!)
Twitterでも1日中産婦人科の先生方のtweetをRTしておりましたが、
3月4日は『国際HPV啓発デー』でして、更に
3月1日~3月8日は『女性の健康習慣』と厚生労働省が定めております!
ですので、今回は「HPV」と「子宮頸がん」についてお話したいと思います☺
あ、因みに『HPV』とは『ヒトパピローマウイルス』というウイルスの事です!
1.HPV(ヒトパピローマウイルス)ってそもそも何?
そのままですが....
身の回りに存在している代表的なウイルスの1つです。
このウイルスは『性交渉』によって人から人へとうつって行きます。
私たち【人間】は性交渉がないと子孫繁栄はしませんし、次の世代を産みだすことは出来ません。
いきなり、こんなワード!
と思うかもしれませんが、命をつなぐ為に絶対的に必要な行為であること、誤解や偏見があってはならないことは、大人の皆様であれば十二分にご理解いただいていると思いますし、子どもたちの性教育ももっと進んで行く中で意識が変わってくれたらと思います。
いきなり話がそれてしまいましたが、、、、、
HPVは成人男女の約8割が、生涯に一度は感染していると言われていて、誰でもかかる可能性のあるウイルスなのです!
そして、このウイルスは皆さんもご存知
『子宮頸がん』の原因となるのです…。
(子宮頸がんの発症の原因は、HPVの持続感染が95%を占めます。)
その他にも性感染症の1つ「尖圭コンジローマ」や可能性は低いですが男性でも「中咽頭がん」や「肛門癌」「陰茎がん」などの原因にもなりますので、
女性だけの問題ではないのが現状です。
←後程、ワクチンのお話で続きは詳しく!
話を戻して。。。。
え!約8割の人が生涯に一度は感染する?
はい。
皆、子宮頸がんになっちゃうじゃん。。
と思いますよね。
でも、皆が皆子宮頸がんになってたら、大変な問題ですよね。
そう。
HPVに感染してから『子宮頸がん』になってしまうまでは、時間がかかるのです。
(型によっては急激に進行する型もありますが、、、、)
下記、日本産科婦人科学会のHPより、お言葉をお借りしました!(後程詳しく図で説明しますね!)
HPVに感染した方の90%は免疫の力でウイルスが自然に排除されますが、10%の人ではHPV感染が長期間持続します。このうち自然治癒しない一部の人は異形成とよばれる前がん病変を経て、数年以上をかけて子宮頸がんに進行します。(日本産科婦人科学会HPより)
そして、もう1つのポイントが、
『自分で治せちゃう』こともあるのです。
ただ、ここで厄介なのが、HPVに感染しても、風邪のように咳が出る/熱が出るというような症状があれば良いのですが、
『HPV感染』は、ほぼ【症状がない】のが特徴なのです。
いつ、どこで罹ったのか、そして治っているのか?感染が続いているのか?が分からない所が、このウイルスのメチャクチャ怖い所です。
2.そもそも、『子宮頸がん』ってどんな病気なの?
まずは、そこですよね!それを知らないと、
「ワクチンが~」とか、「検診受けて下さい!」
とか言われても、自分とは関係ないわ!
と思う方が多くても仕方ないなと思います。
前述したように、子宮頸がんの原因のHPVは生きていれば多分誰でもかかる。そして、殆どの人が気付かないうちに自分で治して暮らしています。
では、HPVに感染し子宮頸がんに進んで行ってしまう人は、実際どのくらいいるのでしょうか?
何かちょっとドキドキしますよね。
一息つくために、ここでちょっと小話を入れておきます🦒....
「よく、子宮がんとか子宮頚がんとか言いますけど、それって違うもの?子宮体がんとかも聞いた事ありますけど....」
と健診センター等では聞かれます。
少し、『子宮頚がん』についてそういった側面から見てみましょう!
まず、子宮がんというものは2つのがんの総称であることから簡単に、、、、
そう、子宮がんには『子宮頚がん』と『子宮体がん』があり、それぞれ原因が異なります。(図1)
今回のnoteでお話しているのは、若い方に多く見られ、検診やワクチンで予防出来る可能性が高い
『子宮頸がん』のお話です。
(因みに、検診とワクチンの両方を併用することが大切ですが、併用したとしても100%の予防できません)
そもそも100%の物など存在しませんよね....
では、厚生労働省の統計などを踏まえてデータを簡単に見て行きましょう!
日本全国で子宮頸がんは年間約1万1千人が診断を受けています。
子宮頸がんと診断される人は20歳代後半から増加して、40歳代でピークを迎え、その後横ばいになります。(厚生労働省:HPVワクチンQ&Aより)
そして、約 2,800 人が1年間で死亡しています。
更に、患者数・死亡者数とも近年漸増傾向にあります(2017 年国立がん研究センター報告)(図 2:日本産科婦人科学会資料)。
結構な人数が診断されて、亡くなっているんだな、、、、と思いませんか?
これを、防ぐ方法があるなら、やらねば損!と私は思うのです。
3.『子宮頸がん』の進行とHPVの関係
HPV に感染した一部の方で、感染細胞が異常な形に変化します。
これを「子宮頸部異形成」と言います。
(下記図が分かりやすいかなと思い、厚生労働省のリーフレットからお借りました)
HPV の作用による細胞の異常は、軽い異常(軽度前がん病変)が起こり、その中の一部が、さらに強い異常(高度前がん病変)に進行します(図 )。
これらの異形成は、一般的に症状が出現しませんが、子宮頸がん検診で見つけることができます。
しかし、がん検診を受診しないと、気づかれないまま、高度前がん病変から子宮頸がん(浸潤がん)に進行することがあります。
そう!
『子宮頸がん検診』では、前がん状態を見つけることが出来るのです!
ちょっと興奮して、前のめりになりましたが、
『子宮頸がん検診』では、異形成の状態からスクリーニングが出来るので、定期的に受けていれば
『がん検診』という名前ですが、「がんになる前の状態」で発見できる素晴らしい検査なのです!
やらねば、損!
そんな気持ちになりませんか?
今日のお話は検診がメインではないので、今後検診の方法や結果の見かた、考え方などは別記事にてまとめます。
4.いよいよ出てきた!9価HPVワクチン!
さて、前項ではHPVが感染し、『子宮頸がん』に進んでいく様子をお話しました。
では、
そもそもHPVに罹らないようにすることってできないの?
ワクチンってどんなものなの?
という疑問について考えて行きましょう!
皆さんもご存知のように、ウイルスはワクチンで予防ができるものもあります。
そして、HPVも予防するためのワクチンがあります。
そう、何かと話題の「HPVワクチン」……
HPVワクチンは、2006年に欧米で生まれ、使われ始め、
日本では、2009年12月にワクチンとして承認され、接種が始まりました。
HPVには沢山の型が存在します。
その中でも、『子宮頸がん』を発症しやすい型とそうでない型があり、ワクチンはなりやすい型のいくつかを予防するものです。
日本ではこれまで、
2価ワクチンの「サーバリックス」(グラクソ・スミスクライン)と
4価ワクチン「ガーダシル」(MSD) が使われてきました。
いずれも子宮頸がんの原因の65%を占めるHPV16、18型への感染を予防するもので、4価ワクチンはさらに、尖圭コンジローマの原因となるHPV6、11型にも対応しています。
そして、そして、そして、2021年2月から国の承認を受けて
9価HPVワクチン「シルガード9」(MSD)が発売されました!
これは、ガーダシルが対応している4つの型に加え、5つの型(HPV31、33、45、52、58型)に対応しており、
子宮頸がんの原因となるHPV型の88.2%をカバーできるようになりました。
うひょーーー!やっと!
(変なテンションでごめんなさい!)
はい。
かくして、ようやくワクチンの物は整いつつあるのですが、、、、、
皆さんもご存知の通り、諸所事情があり2013年よりHPVワクチンは国の推奨物ではなくなってしまったのです。
(ここでは、色々な事情を説明はしません。)
しかし、ワクチンは希望すれば誰でも打てますし、定期接種から外された訳ではありません。
5.おまけ
(ワクチン接種の意義とスケジュール・費用について)
今まで、長々とHPVや子宮頸がん、HPVワクチンについて語ってきましたが、いざ受けるとなると気になることが多いですよね。
副反応や救済制度については、厚生労働省のHPにみっちり書いてあるので、興味と時間があらば熟読し、不明点があらば産婦人科医師に徹底追及してください。
ここでは、今回のnoteを踏まえて、受ける意義と受ける時のスケジュール感、費用についてお話します。
まずは、受ける意義ですが良くご質問頂くのが、
『大人って受ける必要ありますか?』というものです。
ぶっちゃけ、個人的には区分けがあるものの、
【お財布が許せば受けるのがBetter】とお話しています。
ここで、完全に個人的な見解を書きます。
ですので、ここは参考程度にして頂きご判断をお任せします。
そもそも、お伝えしてる通りHPVに感染する理由は【性交渉】です。
ですので、
ワクチンの接種開始年齢は【初交(初めての性交渉)】の前が望ましいとされています。
(ここで、性教育認定講師的には初交の低年齢化について熱く語り合いのですが、今回は黙っておきたいと思います....)
その観点から考えると、
①HPVワクチンは性交渉の経験のない方は【Must】となります。
ですが、経験された方が意味がないかと言うとそんなことはありません。
なぜなら、このnoteでも何回か書いておりますが、性交渉を経験してもHPVに罹ったかどうかは分からない(免疫があるかは不明)からです。
ですので、全く無駄であるとは言えません。
更には、パートナーが変わる可能性がある方は、新たなパートナーからHPVを頂いてしまう可能性もあります。
それを踏まえて
➁性交渉の経験のある方でもパートナーが変わる可能性があるならワクチンを打った方が【Better】
では、固定のパートナーのいる方は新たなHPVは入って来ないし、HPVに感染していたら、もう関係ないの?と思うでしょう。
その通り。ただ。あまり言いたくはないのですが、パートナーが知らないうちに別の方と性交渉を持つこともこの世にはあるんです。
ですので、
③固定のパートナーが居る場合も、金銭的に余裕があればHPVワクチンを打っても悪くはない
そして、超自論ですが。
④男性も打って下さい
だって、大切なパートナーを『子宮頸がん』で失ってしまうかもしれないんですよ!
(何度も言いますがHPVは性交渉によって移ります)
あなたが、大切な人を守りたいなら自分もHPVに罹ってはいけないのよ!
と私は思っています。
さて。
ついつい熱く語り過ぎてしまうので、続きに行きましょう!
では、定期接種の対象者とそのスケジュールです。
HPVワクチンの定期接種の対象者は、
小学校6年~高校1年相当の女の子です。
これらの対象者は公費により接種を受けることができます。
私みたいなアラサー女子(っていってもOK?)は自費で全額負担となります。
では、接種のスケジュールを確認しましょう。
現在定期接種で使われているワクチンは2種類
(サーバリックス®、ガーダシル®)あります。
※シルガードは現在任意接種で定期接種化の道整備中です。
HPVワクチンは間隔をあけて、同じワクチンを合計3回接種します。
接種するワクチンによって接種のタイミングが異なります。
どちらを接種するかは、接種する医療機関に相談となります。
スケジュールのモデルは下記の図のような感じです。
(またまた見やすいので厚生労働省のリーフレットからお借りしました)
では、最後に費用面です。
公費負担の場合は、市区町村によって自己負担額は異なります。
参考までに、私の勤めている会社のある東京都中央区では
【無料】でした。
その他の自治体も、【原則無料】とのことです。
どのように、受けるのか、公費で受けられる医療機関はどこかは、
お住いの市区町村のHPを必ず確認してください!
(見当たらない場合は、お問い合わせ下さい!)
では、自費だといくら位かかるのでしょうか?
都内でHPVワクチンを接種出来る病院を検索すると大体の相場が
(2価、4価のワクチンです)
1回につき1万5千円~2万円程度
が多いですね。
初診料や再診料なども含めると3回接種で
約6~8万円みておけば打てるかと思います。
因みに、9価ワクチンはどうやら、
3回で10万円程度のようですね。
5.まとめ
今回も「簡単にまとめます」とか宣伝しておきながら、長々語ってしまい、途中は謎のテンションになり、すみません、、、、
ちょうど私が婦人科に就職した頃、諸所の事情によりHPVワクチンの接種に関して積極的推奨がなされなくなる前後の嵐の頃でした。(年ばれるヤツ)
あれから十年弱、、、今、少しづつですが流れが変わりつつあります。
勿論、今でも不安になってしまうような情報も沢山あります。
しかし、自分で調べたり、専門家である【産婦人科医】に相談したり、自分で打つか打たないかを選び取ることが出来ます。
下記に今回のnoteを書くにあたって参考にさせて頂いたHPを挙げておきます。
ぜひぜひ、調べて見て頂くきっかけになればと思います。
そして、最後に....
『ワクチン打っても基本は検診は受けて下さい』
※検診の間隔などは、産婦人科の先生と相談して下さい
勿論、
『ワクチン打ってなければ、絶対に検診を受けて下さい』
本日は以上です!
ありがとうございました!
【参考HPと図書】
みんパピ!
https://minpapi.jp/
厚生労働省:HPVワクチンQ&A
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html
厚生労働省:
ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/
厚生労働省:子宮頸がんワクチンリーフレット
「小学校6年~高校1年相当 女の子と保護者の方へ大切なお知らせ」
ワクチン.net「HPVワクチン」
https://www.wakuchin.net/vaccine/hpv.html
日本産科婦人科学会:
子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために
http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
婦人科・乳腺外科疾患ビジュアルブック第二版
落合慈之 監修 / 角田肇・針原康 編集
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