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産業保健職にも知って欲しい!『HPV』と『子宮頸がん』

皆さん、こんにちは!
性教育認定講師&産業保健師のきりん🦒です。

今回は「HPV」と「子宮頸がん」についてお話したいと思います🦒

あ、因みに『HPV』とは『ヒトパピローマウイルス』というウイルスの事です!


1.HPV(ヒトパピローマウイルス)ってそもそも何?

そのままですが....

身の回りに存在している代表的なウイルスの1つです。

このウイルスは『性交渉』によって人から人へと感染します

私たち【人間】は性交渉がないと子孫繁栄はしませんし、次の世代を産みだすことは出来ません。

いきなり、こんなワード! 
と思うかもしれませんが、命をつなぐ為に絶対的に必要な行為であること、誤解や偏見があってはならないことは、大人の皆様であれば十二分にご理解いただいていると思いますし、子どもたちの性教育ももっと進んで行く中で意識が変わってくれたらと思います。

いきなり話がそれてしまいましたが、、、、、

HPVウイルスは珍しいウイルスではなく、 多くの女性が人生で一度は感染する可能性があると言われています。

知ってください ヒトパピローマウイルス(HPV)と 子宮頸がんのこと
国立がん研究センター がん対策研究所 より引用

そして、このウイルスは皆さんもご存知
『子宮頸がん』の原因となるのです…。

子宮頸がんの発症の原因は、HPVの持続感染が95%を占めます。

国立がん研究センター がん対策研究所
宮頸がんとその他のヒトパピローマウイルス(HPV) 関連がんの予防ファクトシート 2023より

その他にも性感染症の1つ「尖圭コンジローマ」や男性でも「中咽頭がん」や「肛門癌」「陰茎がん」などの原因にもなりますので、

女性だけの問題ではないのが現状です。
話を戻して。。。。

え!女性の多くが“一生に一度は感染する”?

国立がん研究センター がん対策研究所子宮頸がんとその他のヒトパピローマウイルス(HPV) 関連がんの予防ファクトシート2023より

はい。

皆、子宮頸がんになっちゃうじゃん。

🦒心の声

と思いますよね。

でも、皆が皆子宮頸がんになってたら、大変な問題ですよね。

下記、日本産科婦人科学会のHPより、お言葉をお借りしました!(後程詳しく図で説明しますね!)

HPVに感染した方の90%は免疫の力でウイルスが自然に排除されますが、10%の人ではHPV感染が長期間持続します。このうち自然治癒しない一部の人は異形成とよばれる前がん病変を経て、数年以上をかけて子宮頸がんに進行します。

公益社団法人 日本産科婦人科学会HPより引用
子宮頸がんー病気の原因はー 

ほほう。HPVに感染しても、免疫で自然に排除出来るのか!
そうかそうか…

が、しかーし!
ここで厄介なのが、HPVに感染しても、風邪のように咳が出る/熱が出るというような症状があれば良いのですが、

『HPV感染』は、ほぼ【症状がない】のが特徴なのです。

厚生労働省HP:HPVワクチンに関するQ&Aより 

いつ、どこで罹ったのか、そして治っているのか?感染が続いているのか?が分からない所が、このウイルスのメチャクチャ怖い所です。

2.そもそも、『子宮頸がん』ってどんな病気なの?

まずは、そこですよね!それを知らないと、

「ワクチンが~」とか、「検診受けて下さい!」
とか言われても、自分とは関係ないわ!
と思う方が多くても仕方ないなと思います。

前述したように、子宮頸がんの原因のHPVは生きていれば誰でもかかる可能性がある。そして、殆どの人が気付かないうちに感染と共存したり、感染した細胞が自然消滅していく中で暮らしています。

では、HPVに感染し子宮頸がんに進んで行ってしまう人は、実際どのくらいいるのでしょうか?

何かちょっとドキドキしますよね。

一息つくために、ここでちょっと小話を入れておきます🦒....

「よく、子宮がんとか子宮頚がんとか言いますけど、それって違うもの?子宮体がんとかも聞いた事ありますけど....」
と健診センター等では聞かれます。

少し、『子宮頚がん』についてそういった側面から見てみましょう!

まず、子宮がんというものは2つのがんの総称であることから簡単に、、、、
そう、子宮がんには『子宮頚がん』と『子宮体がん』があり、それぞれ原因が異なります。

子宮頸がんと子宮体がんの違い:子宮がん検診 早期発見が決めて! 
がん予防キャンペーン大阪 大阪がん循環器病予防センター 婦人科検診部 より
日本産科婦人科学会・婦人科腫瘍委員会:2013年度患者年報 病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科 第2版:136-137 より改変(MSD:子宮頸がんとHPV感染より転載

今回のnoteでお話しているのは、若い方に多く見られ、検診やワクチンで予防出来る可能性が高い
『子宮頸がん』のお話です。

では、厚生労働省の統計などを踏まえてデータを簡単に見て行きましょう!

日本全国で子宮頸がんは年間約1万1千人が診断を受けています。

子宮頸がんと診断される人は20歳代後半から増加して、40歳代でピークを迎え、その後横ばいになります。

厚生労働省HP:HPVワクチンに関するQ&A 
問1-5. 子宮頸がんの患者さんはどれくらいいるのですか?

そして、約 2,800 人が1年間で死亡しています。

更に、患者数・死亡者数とも近年漸増傾向にあります(2017 年国立がん研究センター報告)。

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子宮頸がん予防についての正しい理解のために (日本産科婦人科学会資料)

結構な人数が診断されて、亡くなっているんだな、、、、と思いませんか?

これを、防ぐ方法があるなら、やらねば損!と私は思うのです。

3.『子宮頸がん』の進行とHPVの関係

HPV に感染した一部の方で、感染細胞が異常な形に変化します。
これを「子宮頸部異形成」と言います。
(下記図が分かりやすいかなと思い、中外製薬さんのHPからお借りました)


おしえて子宮頸がんのコト 子宮頸がんの原因 より転載

子宮頸部の細胞がHPVに感染すると、そのうち5~10%は感染が持続します。
その感染が持続すると、一部の細胞が正常ではない形に変化して、前がん病変*細胞となります。子宮頸がん検診で発見できるのは、この前がん病変です。
前がん病変細胞のさらに一部が周囲に広がって、子宮頸がんとなります。
HPVに感染した細胞の一部ががんに進行するまでには、平均5年から10数年かかるとされています。

*異形成とは、正常な細胞が感染によって変化し、異なった形の細胞ができること。異形成になったからといって、すべてががん細胞になるわけではありません。

これらの異形成は、一般的に症状が出現しませんが、子宮頸がん検診で見つかる事があります。

しかし、がん検診を受診しないと、気づかれないまま、高度前がん病変から子宮頸がん(浸潤がん)に進行することがあります。

そう!
『子宮頸がん検診』では、前がん状態を見つけることが出来る可能性があるのです!

🦒心の声

ちょっと興奮して、前のめりになりましたが、
『子宮頸がん検診』では、定期的に受けていれば

『がん検診』という名前ですが、「がんになる前の状態」で発見できる可能性がある素晴らしい検査なのです!

やらねば、損!

そんな気持ちになりませんか?

今日のお話は検診がメインではないので、今後検診の方法や結果の見かた、考え方などは別記事にてまとめます。

4.9価HPVワクチン!来る!ワクチンについての話

さて、前項ではHPVが感染し、『子宮頸がん』に進んでいく様子をお話しました。

では、

そもそもHPVに罹らないようにすることってできないの?
ワクチンってどんなものなの?

🦒心の声

という疑問について考えて行きましょう!

皆さんもご存知のように、ウイルスはワクチンで予防ができるものもあります。

そして、HPVも予防するためのワクチンがあります。
そう、何かと話題の「HPVワクチン」……

HPVワクチンは、2006年に欧米で生まれ、使われ始め、
日本では、2009年12月にワクチンとして承認され、接種が始まりました。

HPVには沢山の型が存在します。
その中でも、『子宮頸がん』の原因と言われる型とそうでない型があり、ワクチンはがんに移行しやすい型のいくつかを予防するものです。

日本ではこれまで、
2価ワクチンの「サーバリックス」(グラクソ・スミスクライン)と
4価ワクチン「ガーダシル」(MSD) が使われてきました。

いずれも子宮頸がんの原因の65%を占めるHPV16、18型への感染を予防するもので、4価ワクチンはさらに、尖圭コンジローマの原因となるHPV6、11型にも対応しています。

そして、そして、そして、2021年2月から国の承認を受けて

9価HPVワクチン「シルガード9」(MSD)が発売されました!

これは、ガーダシルが対応している4つの型に加え、5つの型(HPV31、33、45、52、58型)に対応しており、

子宮頸がんの原因となるHPV型の88.2%をカバーできるようになりました。

うひょーーー!やっと!
(変なテンションでごめんなさい!)

そして令和5年4月から、シルガード9も公費で受けられるようになりました。シルガード9についての詳細は、コチラ☞「9価HPVワクチン(シルガード9)について

さてさて
かくして、ようやくワクチンの物は整いつつあるのですが、、、、、

皆さんもご存知の通り、諸所事情があり2013年より一定期間、HPVワクチンは国の推奨物ではなくなってしまったのです。
(ここでは、色々な事情を説明はしません。)
その期間、積極的に勧められなかった皆さん、、、
ワクチンを受ける機会を逃してしまった方もいらっしゃること…
想像つきますよね…。

積極的推奨期間外に対象年齢だった皆さんの中には、
働く世代も含まれているのです!!!

では、まず手始めに、基本的な定期接種の対象者とそのスケジュールをご紹介。

HPVワクチンの定期接種の対象者は、
小学校6年~高校1年相当の女の子です。
これらの対象者は公費により接種を受けることができます。

では、接種のスケジュールを確認しましょう。

現在定期接種で使われているワクチンは3種類
『サーバリックス®、ガーダシル®、シルガード®9』あります。

HPVワクチンは間隔をあけて、同じワクチンを合計3回接種します。
接種するワクチンによって接種のタイミングが異なります。
どちらを接種するかは、接種する医療機関に相談となります。

スケジュールのモデルは下記の図のような感じです。

政府広報オンライン 子宮頸がんの予防効果が高い9価HPVワクチンが公費で接種可能に 
より転載

では、最後に費用面です。

対象年齢であれば、公費負担の場合は【無料】
(みんパピ:HPVワクチン接種の費用はどのくらい?無料になるのはだれ?)

どのように、受けるのか、公費で受けられる医療機関はどこかは、
お住いの市区町村のHPを必ず確認してください!
(見当たらない場合は、市区町村へお問い合わせ下さい!)

そう、そしてここで産業保健職に知って欲しい、キャッチアップ!!!


HPVワクチンを国の推奨としていなかった期間に対象年齢だった皆様へ!
HPVワクチンの接種を逃した方のための接種についてチラリ!

【接種の対象となる方】
次の2つを満たす方が、あらためて接種の機会をご提供する対象となります。
・平成9年度生まれ~平成19年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女性(※1)
・過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない(※2)
※1 令和6年4月からは、平成19年度生まれ(誕生日が2007年4月2日~2008年4月1日)の方もキャッチアップ接種の対象になります。
※2 過去に接種したワクチンの情報(ワクチンの種類や接種時期)については、母子健康手帳や予防接種済証等でご確認ください。

【接種が受けられる時期】
接種の対象に該当する方は、令和4(2022)年4月~令和7(2025)年3月の3年間、HPVワクチンを公費で接種できます。

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を逃した方へ~キャッチアップ接種のご案内~
厚生労働省HP

んんん?キャッチアップの恩恵を受けられるのは、2025年3月まで?
ということは???
逆算すると???

HPVワクチンの接種は合計3回で、完了するまでに約6か月かかることから、接種を希望する方が、公費で3回の接種を完了するためには、2024年9月までに接種を開始する必要があります。

国立感染症研究所 予防接種情報 
HPVワクチンのキャッチアップ接種対象の皆さま より

9月まで!そう!2024年9月!!!!!までに開始しなければならないのです!!!
今月が、キャッチアップのラストチャー―――ンス!!!!
この期間を逃すと、約10万円自己負担になってしまうのです!
街の掲示板にも、こんなポスターが!貼ってあるみたいです!

東京都品川区の区内掲示版 X投稿より(特に、筆者との関係はございません)

※最新記事更新が2024年9月1日です。

5.おまけ
(ワクチン接種の意義とスケジュール・費用について)

今まで、長々とHPVや子宮頸がん、HPVワクチンについて語ってきましたが、いざ受けるとなると気になることが多いですよね。

副反応や救済制度については、厚生労働省のHPにみっちり書いてあるので、興味と時間があらば熟読し、不明点があらば産婦人科医師に徹底追及してください。

ここでは、今回のnoteを踏まえて、受ける意義と受ける時のスケジュール感、費用についてお話します。

まずは、受ける意義ですが良くご質問頂くのが、

『大人って受ける必要ありますか?』というものです。

ぶっちゃけ、超個人の感想ではあるものの、

【お財布が許せば受けるのがBetter】とお話しています。

ここで、完全に個人的な見解を書きます。
ですので、ここは参考程度にして頂きご判断をお任せします。

そもそも、お伝えしてる通りHPVに感染する理由は【性交渉】です。

ですので、

ワクチンの接種開始年齢は【初交(初めての性交渉)】の前が望ましいとされています。
(ここで、性教育認定講師的には初交の低年齢化について熱く語り合いのですが、今回は黙っておきたいと思います....)

その観点から考えると、

①HPVワクチンは性交渉の経験のない方は【Must】となります。

ですが、経験された方が意味がないかと言うとそんなことはありません。

なぜなら、このnoteでも何回か書いておりますが、性交渉を経験してもHPVに罹ったかどうかは分からないからです。

ですので、全く無駄であるとは言えません。
更には、パートナーが変わる可能性がある方は、新たなパートナーからHPVを頂いてしまう可能性もあります。

それを踏まえて

➁性交渉の経験のある方でもパートナーが変わる可能性があるならワクチンを打った方が【Better】

では、固定のパートナーのいる方は新たなHPVは入って来ないし、HPVに感染していたら、もう関係ないの?と思うでしょう。

その通り。…かんしれませんが…
ただ。あまり言いたくはないのですが、パートナーが知らないうちに別の方と性交渉を持つこともこの世にはあるんです。

ですので、

③固定のパートナーが居る場合も、金銭的に余裕があればHPVワクチンを打っても悪くはない

そして、超自論ですが。

④男性も打って欲しい!

だって、大切なパートナーを『子宮頸がん』で失ってしまうかもしれないんですよ!

(何度も言いますがHPVは性交渉によって移ります)

あなたが、大切な人を守りたいなら自分もHPVに罹ってはいけないのよ!
と私は思っています。

そして、男性にもワクチンで予防できる病気もあるんですよー!
誰にとっても、大切なワクチンですね!


さて。
ついつい熱く語り過ぎてしまうので、続きに行きましょう!

では、自費だといくら位かかるのでしょうか?

都内でHPVワクチンを接種出来る病院を検索すると大体の相場が
(2価、4価のワクチンです)

1回につき1万5千円~2万円程度
が多いですね。
初診料や再診料なども含めると3回接種で
約6~8万円みておけば打てるかと思います。

因みに、9価ワクチンはどうやら、
3回で10万円程度のようですね。

是非、産婦人科の先生やHPを確認してみてください!

5.まとめ

今回も「簡単にまとめます」とか宣伝しておきながら、長々語ってしまい、途中は謎のテンションになり、すみません、、、、

ちょうど私が婦人科に就職した頃、諸所の事情によりHPVワクチンの接種に関して積極的推奨がなされなくなる前後の嵐の頃でした。(年ばれるヤツ)

あれから十年強、、、今、少しづつですが流れが変わりつつあります。

勿論、今でも不安になってしまうような情報も沢山あります。

しかし、自分で調べたり、専門家である【産婦人科医】に相談したり、自分で打つか打たないかを選び取ることが出来ます。

下記に今回のnoteを書くにあたって参考にさせて頂いたHPを挙げておきます。

ぜひぜひ、調べて見て頂くきっかけになればと思います。

そして、最後に....

『ワクチン打っても基本は検診を受けましょう!』
※検診の間隔などは、産婦人科の先生と相談して下さい

勿論、
『ワクチン打ってなければ、絶対に検診を受けて下さい』
市区町村から「お知らせ」が来たら、
レッツゴー✊

本日は以上です!
ありがとうございました🦒!

【参考HPと図書】

HPVワクチンの接種を逃した方へ(平成9年~平成19年度生まれの女性の方へ)
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/hpvcatchup.html

みんパピ!
https://minpapi.jp/

厚生労働省:HPVワクチンQ&A
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html

厚生労働省:
ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/

厚生労働省:子宮頸がんワクチンリーフレット
「小学校6年~高校1年相当 女の子と保護者の方へ大切なお知らせ」

ワクチン.net「HPVワクチン」
https://www.wakuchin.net/vaccine/hpv.html

日本産科婦人科学会:
子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために
http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4

婦人科・乳腺外科疾患ビジュアルブック第二版
落合慈之 監修 / 角田肇・針原康 編集

その他、沢山リンクを貼ったので、参考にして下さい!

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