産業保健職にも知って欲しい!『HPV』と『子宮頸がん』
皆さん、こんにちは!
性教育認定講師&産業保健師のきりん🦒です。
今回は「HPV」と「子宮頸がん」についてお話したいと思います🦒
あ、因みに『HPV』とは『ヒトパピローマウイルス』というウイルスの事です!
1.HPV(ヒトパピローマウイルス)ってそもそも何?
そのままですが....
身の回りに存在している代表的なウイルスの1つです。
このウイルスは『性交渉』によって人から人へと感染します。
私たち【人間】は性交渉がないと子孫繁栄はしませんし、次の世代を産みだすことは出来ません。
いきなり、こんなワード!
と思うかもしれませんが、命をつなぐ為に絶対的に必要な行為であること、誤解や偏見があってはならないことは、大人の皆様であれば十二分にご理解いただいていると思いますし、子どもたちの性教育ももっと進んで行く中で意識が変わってくれたらと思います。
いきなり話がそれてしまいましたが、、、、、
そして、このウイルスは皆さんもご存知
『子宮頸がん』の原因となるのです…。
その他にも性感染症の1つ「尖圭コンジローマ」や男性でも「中咽頭がん」や「肛門癌」「陰茎がん」などの原因にもなりますので、
女性だけの問題ではないのが現状です。
話を戻して。。。。
はい。
と思いますよね。
でも、皆が皆子宮頸がんになってたら、大変な問題ですよね。
下記、日本産科婦人科学会のHPより、お言葉をお借りしました!(後程詳しく図で説明しますね!)
ほほう。HPVに感染しても、免疫で自然に排除出来るのか!
そうかそうか…
が、しかーし!
ここで厄介なのが、HPVに感染しても、風邪のように咳が出る/熱が出るというような症状があれば良いのですが、
いつ、どこで罹ったのか、そして治っているのか?感染が続いているのか?が分からない所が、このウイルスのメチャクチャ怖い所です。
2.そもそも、『子宮頸がん』ってどんな病気なの?
まずは、そこですよね!それを知らないと、
「ワクチンが~」とか、「検診受けて下さい!」
とか言われても、自分とは関係ないわ!
と思う方が多くても仕方ないなと思います。
前述したように、子宮頸がんの原因のHPVは生きていれば誰でもかかる可能性がある。そして、殆どの人が気付かないうちに感染と共存したり、感染した細胞が自然消滅していく中で暮らしています。
では、HPVに感染し子宮頸がんに進んで行ってしまう人は、実際どのくらいいるのでしょうか?
何かちょっとドキドキしますよね。
一息つくために、ここでちょっと小話を入れておきます🦒....
「よく、子宮がんとか子宮頚がんとか言いますけど、それって違うもの?子宮体がんとかも聞いた事ありますけど....」
と健診センター等では聞かれます。
少し、『子宮頚がん』についてそういった側面から見てみましょう!
まず、子宮がんというものは2つのがんの総称であることから簡単に、、、、
そう、子宮がんには『子宮頚がん』と『子宮体がん』があり、それぞれ原因が異なります。
今回のnoteでお話しているのは、若い方に多く見られ、検診やワクチンで予防出来る可能性が高い
『子宮頸がん』のお話です。
では、厚生労働省の統計などを踏まえてデータを簡単に見て行きましょう!
そして、約 2,800 人が1年間で死亡しています。
更に、患者数・死亡者数とも近年漸増傾向にあります(2017 年国立がん研究センター報告)。
結構な人数が診断されて、亡くなっているんだな、、、、と思いませんか?
これを、防ぐ方法があるなら、やらねば損!と私は思うのです。
3.『子宮頸がん』の進行とHPVの関係
HPV に感染した一部の方で、感染細胞が異常な形に変化します。
これを「子宮頸部異形成」と言います。
(下記図が分かりやすいかなと思い、中外製薬さんのHPからお借りました)
子宮頸部の細胞がHPVに感染すると、そのうち5~10%は感染が持続します。
その感染が持続すると、一部の細胞が正常ではない形に変化して、前がん病変*細胞となります。子宮頸がん検診で発見できるのは、この前がん病変です。
前がん病変細胞のさらに一部が周囲に広がって、子宮頸がんとなります。
HPVに感染した細胞の一部ががんに進行するまでには、平均5年から10数年かかるとされています。
*異形成とは、正常な細胞が感染によって変化し、異なった形の細胞ができること。異形成になったからといって、すべてががん細胞になるわけではありません。
これらの異形成は、一般的に症状が出現しませんが、子宮頸がん検診で見つかる事があります。
しかし、がん検診を受診しないと、気づかれないまま、高度前がん病変から子宮頸がん(浸潤がん)に進行することがあります。
ちょっと興奮して、前のめりになりましたが、
『子宮頸がん検診』では、定期的に受けていれば
『がん検診』という名前ですが、「がんになる前の状態」で発見できる可能性がある素晴らしい検査なのです!
やらねば、損!
そんな気持ちになりませんか?
今日のお話は検診がメインではないので、今後検診の方法や結果の見かた、考え方などは別記事にてまとめます。
4.9価HPVワクチン!来る!ワクチンについての話
さて、前項ではHPVが感染し、『子宮頸がん』に進んでいく様子をお話しました。
では、
という疑問について考えて行きましょう!
皆さんもご存知のように、ウイルスはワクチンで予防ができるものもあります。
そして、HPVも予防するためのワクチンがあります。
そう、何かと話題の「HPVワクチン」……
HPVワクチンは、2006年に欧米で生まれ、使われ始め、
日本では、2009年12月にワクチンとして承認され、接種が始まりました。
HPVには沢山の型が存在します。
その中でも、『子宮頸がん』の原因と言われる型とそうでない型があり、ワクチンはがんに移行しやすい型のいくつかを予防するものです。
いずれも子宮頸がんの原因の65%を占めるHPV16、18型への感染を予防するもので、4価ワクチンはさらに、尖圭コンジローマの原因となるHPV6、11型にも対応しています。
そして、そして、そして、2021年2月から国の承認を受けて
これは、ガーダシルが対応している4つの型に加え、5つの型(HPV31、33、45、52、58型)に対応しており、
子宮頸がんの原因となるHPV型の88.2%をカバーできるようになりました。
うひょーーー!やっと!
(変なテンションでごめんなさい!)
そして令和5年4月から、シルガード9も公費で受けられるようになりました。シルガード9についての詳細は、コチラ☞「9価HPVワクチン(シルガード9)について」
さてさて
かくして、ようやくワクチンの物は整いつつあるのですが、、、、、
皆さんもご存知の通り、諸所事情があり2013年より一定期間、HPVワクチンは国の推奨物ではなくなってしまったのです。
(ここでは、色々な事情を説明はしません。)
その期間、積極的に勧められなかった皆さん、、、
ワクチンを受ける機会を逃してしまった方もいらっしゃること…
想像つきますよね…。
積極的推奨期間外に対象年齢だった皆さんの中には、
働く世代も含まれているのです!!!
では、まず手始めに、基本的な定期接種の対象者とそのスケジュールをご紹介。
HPVワクチンの定期接種の対象者は、
小学校6年~高校1年相当の女の子です。
これらの対象者は公費により接種を受けることができます。
では、接種のスケジュールを確認しましょう。
HPVワクチンは間隔をあけて、同じワクチンを合計3回接種します。
接種するワクチンによって接種のタイミングが異なります。
どちらを接種するかは、接種する医療機関に相談となります。
スケジュールのモデルは下記の図のような感じです。
では、最後に費用面です。
対象年齢であれば、公費負担の場合は【無料】!
(みんパピ:HPVワクチン接種の費用はどのくらい?無料になるのはだれ?)
どのように、受けるのか、公費で受けられる医療機関はどこかは、
お住いの市区町村のHPを必ず確認してください!
(見当たらない場合は、市区町村へお問い合わせ下さい!)
そう、そしてここで産業保健職に知って欲しい、キャッチアップ!!!
HPVワクチンを国の推奨としていなかった期間に対象年齢だった皆様へ!
HPVワクチンの接種を逃した方のための接種についてチラリ!
んんん?キャッチアップの恩恵を受けられるのは、2025年3月まで?
ということは???
逆算すると???
9月まで!そう!2024年9月!!!!!までに開始しなければならないのです!!!
今月が、キャッチアップのラストチャー―――ンス!!!!
この期間を逃すと、約10万円自己負担になってしまうのです!
街の掲示板にも、こんなポスターが!貼ってあるみたいです!
※最新記事更新が2024年9月1日です。
5.おまけ
(ワクチン接種の意義とスケジュール・費用について)
今まで、長々とHPVや子宮頸がん、HPVワクチンについて語ってきましたが、いざ受けるとなると気になることが多いですよね。
副反応や救済制度については、厚生労働省のHPにみっちり書いてあるので、興味と時間があらば熟読し、不明点があらば産婦人科医師に徹底追及してください。
ここでは、今回のnoteを踏まえて、受ける意義と受ける時のスケジュール感、費用についてお話します。
まずは、受ける意義ですが良くご質問頂くのが、
ぶっちゃけ、超個人の感想ではあるものの、
【お財布が許せば受けるのがBetter】とお話しています。
ここで、完全に個人的な見解を書きます。
ですので、ここは参考程度にして頂きご判断をお任せします。
そもそも、お伝えしてる通りHPVに感染する理由は【性交渉】です。
ですので、
その観点から考えると、
ですが、経験された方が意味がないかと言うとそんなことはありません。
なぜなら、このnoteでも何回か書いておりますが、性交渉を経験してもHPVに罹ったかどうかは分からないからです。
ですので、全く無駄であるとは言えません。
更には、パートナーが変わる可能性がある方は、新たなパートナーからHPVを頂いてしまう可能性もあります。
それを踏まえて
では、固定のパートナーのいる方は新たなHPVは入って来ないし、HPVに感染していたら、もう関係ないの?と思うでしょう。
その通り。…かんしれませんが…
ただ。あまり言いたくはないのですが、パートナーが知らないうちに別の方と性交渉を持つこともこの世にはあるんです。
ですので、
そして、超自論ですが。
だって、大切なパートナーを『子宮頸がん』で失ってしまうかもしれないんですよ!
(何度も言いますがHPVは性交渉によって移ります)
そして、男性にもワクチンで予防できる病気もあるんですよー!
誰にとっても、大切なワクチンですね!
さて。
ついつい熱く語り過ぎてしまうので、続きに行きましょう!
都内でHPVワクチンを接種出来る病院を検索すると大体の相場が
(2価、4価のワクチンです)
1回につき1万5千円~2万円程度
が多いですね。
初診料や再診料なども含めると3回接種で
約6~8万円みておけば打てるかと思います。
因みに、9価ワクチンはどうやら、
3回で10万円程度のようですね。
是非、産婦人科の先生やHPを確認してみてください!
5.まとめ
今回も「簡単にまとめます」とか宣伝しておきながら、長々語ってしまい、途中は謎のテンションになり、すみません、、、、
ちょうど私が婦人科に就職した頃、諸所の事情によりHPVワクチンの接種に関して積極的推奨がなされなくなる前後の嵐の頃でした。(年ばれるヤツ)
あれから十年強、、、今、少しづつですが流れが変わりつつあります。
勿論、今でも不安になってしまうような情報も沢山あります。
下記に今回のnoteを書くにあたって参考にさせて頂いたHPを挙げておきます。
ぜひぜひ、調べて見て頂くきっかけになればと思います。
そして、最後に....
勿論、
『ワクチン打ってなければ、絶対に検診を受けて下さい』
市区町村から「お知らせ」が来たら、
レッツゴー✊
本日は以上です!
ありがとうございました🦒!
【参考HPと図書】
HPVワクチンの接種を逃した方へ(平成9年~平成19年度生まれの女性の方へ)
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/hpvcatchup.html
みんパピ!
https://minpapi.jp/
厚生労働省:HPVワクチンQ&A
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html
厚生労働省:
ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/
厚生労働省:子宮頸がんワクチンリーフレット
「小学校6年~高校1年相当 女の子と保護者の方へ大切なお知らせ」
ワクチン.net「HPVワクチン」
https://www.wakuchin.net/vaccine/hpv.html
日本産科婦人科学会:
子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために
http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
婦人科・乳腺外科疾患ビジュアルブック第二版
落合慈之 監修 / 角田肇・針原康 編集
その他、沢山リンクを貼ったので、参考にして下さい!
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