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【モヤリティ覚書】年齢マウントは醜い。男でも女でも。

複数の他人(20代多め)がいる中で年上の女性に年齢の自白を強要された。

「若いんだから大丈夫よ!」
としきりにその女性は私に言う。
「いや、そんなには若くないです……」
と微妙な返しをしていると
「え? いくつなの?」
と躊躇せず訊いてきた。

私が明らかに嫌がってる顔してるのわからないんだろうか。
「そこそこ妙齢ですよ」とか
「〇〇さん(共通の知人)よりは年上ですね」とか、かなり濁して「察して」サインを出していたつもりだが気付いてもらえず。
もしくは気付いているけど彼女の好奇心と嗜虐性が上回っているのだろう。

どうしても私に具体的な数字を言わせたいらしく
「(指を2本立てて)2? 2? (3本立てて)3? 3?」というジェスチャーで食い下がってくる。
すごく下品だ。
絶対に自分はやらないように気をつけようと思った。
彼女はお世辞抜きで造形的にはとても美人な類だと思うが、酷く醜く見えた。

結局逃げられず「もうすぐ35です」と吐き捨てるように言った。
小声だけどすぐ隣で作業していた20代の女の子には聞こえただろう。
その子は多分私に気を遣って聞いてないフリをしてくれていたので、その子にも申し訳ない気持ちになる。

それを言った時の女性は明らかに憐れみの視線を私に向けた。

「へ〜〜! そうなんだ〜〜! 若く見えるからびっくりしちゃった〜!」

「びっくりしちゃった」
その言葉を合図に私が元々彼女に公開しているレッテル、無職、独身、精神障害者、に「35歳」が加えられた音が聞こえた。
こうなるともう「実家出戻り」と「恋人いない」のレッテルも彼女にだけは絶対にバレたくない。
死守だ、死守。

そして欲していないアドバイスを長々と下さった。
もうくだらなさ過ぎるので省略する。
この時間が永遠に続くかと思った、なんてロマンチックな歌詞になる方だったら良かったのに。


年齢によるマウントは単純に数字が上とか下ではなく、それぞれの立場等と複雑に絡み合っているものだ。

未婚の30代と40代。実家暮らしの10代と40代。
子どもがいる未婚の20代、子どもがいない既婚の40代。
無職で未婚の子どもがいない30代、働いている婚姻歴有りの未婚の子どもと別居の50代。
闘病中の20代と一度も大病したことがない70代。
パターンを挙げたら無限だ。

それぞれにそれぞれの苦労や喜びがあって等しく尊いと思う。
でもそこに自分の価値観で序列をつけてくる奴がいる。

私が彼女に年齢をどうしても教えたくなかったのは正に彼女が序列をつけてくるタイプの人間だからだ。

できることなら私も自分の年齢ぐらいサラッと言いたい。変えることのできない事実だし、ここまで無駄に年齢を重ねてきたわけではないことも誇りに思っている。

何だったら彼女以外のその場にいた20代の人達はみんな信頼できるし優しい人ばっかりなので全然言っても構わない。
マウントなんて取ってこないのがわかっているから。
ただ、事実だけ受け止めてくれるだろうから。でもそういう優しい人達はそもそも訊いてこない。

そう。言っても良い人はまず訊いてこない。
訊いたとしても答えを強要しない。
おめーにだけは絶対言いたくねぇ、という奴はずけずけ訊いてくるのだ。

そんなこといちいち気にしていたら保たない。
相手にしなけりゃいい。
酒でも飲んで忘れろ。

もちろんそれでも良い。
今までの私はそうだった。
傷付けられても傷を直視しなければ痛くないんだと思い込んで回避してきた。
それも1つの防衛策だ。

でも碌な手当をしなかった傷は膿んで、いつまでも治らない。
すぐに手当すれば軽症だったのに。
低温やけどのように私をゆっくり蝕む。

だから私は忘れないことを選んだ。
私は何に傷付くのかいちいち覚えていたい。
だからこうやって書いている。
私を大事にするため。より良く生きるため。
あわよくば100人に1人でも1000人に1人でも良いから、どこかに1人でもいるのなら、同じように傷付いた誰かに寄り添うため。




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