02文通_よそおいの向こうへ
空さんと谷端さんの文通、第2弾です。見えないルールのなかで悩む大学生の空さんに対し、「自分を表現できるから」と盆栽園を選んだ理由を伝える谷端さん。きっと二人は会って話したら、もっとたくさん共感するところがあるんだろうな。
ばたこちゃんへ
早速お返事ありがとうございました!
ばたこって呼び捨てするのもなんだか慣れないので、ばたこちゃんって呼ばせてください。
実は大学生になるまで、そらちゃんと呼ばれるのが好きじゃなかったんです。私は小さい頃からずっと母の出張についていくことが多くて、そこで「そらちゃんの娘さん」と呼ばれ続けてきたから。どこへ行っても「そらちゃんの娘さん」という肩書きに縛られているような気がしていました。
でも大学生で水を得た魚のようにいろんなことに挑戦することになって、苗字が珍しいことが得のように思えて、今では「そらちゃん」って呼ばれるのが嬉しいです。
私も、みんなと同じことをするのが苦手な性格です。もともと工業部に進もうと理系に進んだのに、気づいたら芸術学部に入学していました。今でも周りはデザイナーを目指しているのに、私はデザイナーになるかどうか自分の中でも決めきれずにいます。こんな性格だから、今の島暮らしにたどり着いたんだろうなと…。
盆栽!!盆栽の仕事について聞いてみたいことが多すぎて、何から話していいのかわかりませんね。きっと奥が深い世界なんだろうな…!
そろそろ自分の将来を選択しなければいけない時期ということもあり、自分の中で物事を「決める」判断基準がなんなんだろうってよく考えるんです。
自分がワクワクすることなのか、人の役に立てることなのか、自分にとって得することなのか。きっとそこに答えなんてないのですが、実家の盆栽園を継ぎたいと「決めた」ばたこちゃんに聞いてみたいなと思ってしまいました。
いつかばたこちゃんの盆栽園を見に行きたいです。
ps.海士町の好きな風景を送ります。よかったらばたこちゃんの盆栽園も見せてください。
空 佐和
そらちゃんへ
こちらこそ、ありがとうございます^^ ばたこちゃん新鮮でいいですね!
そんな背景があったんですね。今ではそらちゃんがしっくりきているようでよかったです。
みんなと同じことができないってすっごく大きなコンプレックスですよね。私は先生や友達にそのことについて言われるのが嫌いで、小中の頃の同級生とは今では全く繋がっていません。
だけど、それができないからこそ、今はみんなと違う景色を見れていますよね。そらちゃんの島暮らしのように。今ではみんなと違う子でよかったなと思います。
周りと同じことをしても得れることは限られていると思うので、そらちゃんはそらちゃんなりの譲れないものを大切にして過ごしてくださいね。
そうですよね(汗)。盆栽は奥が深いですが、想像しやすいイメージがありません。私が働く中で、すぐに何か一つでも皆さんの頭の中で想像できるような価値観を共有したいなと思っています。
私は自分を表現できる道として盆栽業を選びました。私は人に言われた通りに動くことが本当に苦手でマニュアルがあるバイトは本当に苦痛でした。仕事は生きた証を残すことだと思うので、盆栽として形に残る盆栽家を選びました。
木そのものも残りますし、価値観や文化としても残すことができます。あくまでも私の価値観なのですが、こうやって決めました。
ありがとうございます^^ぜひ、お茶を飲みながら盆栽を眺めて下さい。海士町、本当に素晴らしいなところですね。毎日この風景が見れているそらちゃんがうらやましいです。私も送りますね。
ありがとうございます。 列島ききがきノートの取材エリアは北海道から沖縄まで。聞きたい、伝えたい、残したいコトバはたくさんあります。各地での取材にかかる交通費、宿泊費などに使わせて頂きます。そして、またその足跡をnoteで書いていければ。