見出し画像

「夢を叶える力」のそのわけは…

「和也くんはどんな方ですか?」

という問いかけに母は少し考えた後、こう答えた。

「……謎です。」

***

こんにちは!
『嬉々‼CREATIVE』です。
2022年4月、神奈川県平塚市にリニューアルオープンした”アートする福祉施設”です。
このブログではとびっきり魅力的なメンバーの素顔と、その作品の秘密に迫っていきます。今後の更新を、どうぞお楽しみに♪

今回ご紹介するのは、お母様にも「謎」と称されるこの方、
宮下 和也(みやした かずや)さんです!

画像1
(ニヤリ)

まずはご本人に直撃インタビュー!と『嬉々‼ギャラリー』内にあるアトリエに向かいます。
今にもなだれ落ちてきそうな紙(と雑巾)の山に囲まれて仕事をしているのが和也くん。

画像11

彼はまっさらな画用紙ではなく、どこからか拾い集めてきたコピー用紙や段ボールの裏に絵を描いていきます。モチーフはアニメの女の子や電車など。スタッフに「雑!」と言われるとなぜか喜ぶ和也くん。うーん、謎。

画像12
画像13
(段ボールに描いた絵を切り抜くのが定番)
画像15
画像25
(未完車トーマス…?)

傍らにはいつも電子辞書を置いています。何を調べてるんだろう…?と覗いてみると、

画像2
合戦

かっ せん…?

しかし「合戦」という単語の意味を見ながら、電車の絵を描いている和也くんなのでした。謎は深まるばかり…

画像4
(遠近法がうまい!)

いつも電子辞書でいろいろな言葉を調べているので、和也くんの言葉はところどころ小難しい。

壁には彼が書いたというこんなメモが貼られていました。

画像5
(とにかく「うるさくしてすみません」ということを伝えたかったらしい。)

謎が謎を呼ぶ和也くんのデスク周りは、彼の手によって色とりどりに染められています。

画像16
画像17
画像18
画像19

「なんで塗ったの?」
と尋ねると、
「余っていたから。絵の具が。」
とのお答えでした。

そんな和也くん、昨夏に平塚市美術館で展示された作品も大好評でした。大量の裏紙に描かれた絵や文字の作品を重ね合わせて作られたこちら、
題して『和也タワー』!

画像6
企画展=平塚市美術館

なぜ、「タワー」なのか。
実はそこには彼の”夢”が詰まっていたのです。

和也くんの夢、それは、
「3980万貯めて横浜中華街の”タワー”マンションを購入し、某YouTuberと結婚して一緒に暮らすこと」!!

実は3980万貯める方法を画策し、現在住んでいるご実家を(勝手に)売り払おうと不動産屋を巡っているらしい…。

画像25
(ご来店者カード!)
画像9
(和也くんがもらってきた沢山の不動産屋の名刺)

夢を夢のままでは終わらせない行動派な和也くん。「謎」と思える行動も、実はすべてに目的があるのでは…?と思っていたある日、自身の作品をボンドで組み合わせ、持ち手(トイレットペーパーの芯)を装着させた和也くん。なんとスタッフに
「クマデです。売ってください」と申し出ました。

画像20
画像21

クマデといえば弊社の売れ筋商品、伊藤太郎さん作の「辻太郎招福クマデ」です。

画像22

どうやら「クマデは売れる」と悟った和也くん。中華街のタワマンを買うために、売れ筋商品に乗っかろうという作戦を企てたのです。スタッフもノリノリで、すでにパッケージまで作られています。

画像25
(誰が何と言おうとこれはクマデです!)
画像23
(ポイントは応援と恋愛!)
画像25
(なんと勝手に「新伊藤太郎」を名乗っています)

発売された際には皆さんぜひ応援よろしくお願いします!

謎は多いけれど、夢に向かってまっしぐら、行動派の和也くん。彼のことをもっと知りたくて、お母様にさらに詳しくお話を聞いてみました。

***

和也くんの家での様子を聞いてみると、
「まるで、下宿人なんです。」というお母様。ご自宅の1フロアを丸々占拠し自由気ままに暮らしていて、「自分の世界は邪魔されたくない人だから」と、ご家族は基本的に和也くんのスペースには立ち入らないそうです。

食事の時にはダイニングにやってくるけれど、席に着くと
「お母さんは、行ってください。」
と言われるそう。お母様は和也くんに言われた通りその場を離れます。和也くん、食事はひとりで取りたい派。それはなぜか…実は、誰にも邪魔されず食事を好きなようにカスタマイズしたいから!

例えば、おかずとごはんをフライパンの上で混ぜて炒めなおし、チャーハンにしたり。とにかく自分の「やりたい」をどんどん実行していく和也くん。
ある時はカレーを温めなおそうとして、鍋を焦がしてしまったこともあったそうですが、お母様は「なんてことしてくれるの!」「やっぱりひとりにしておけない…」なんて言いません。お母様が思うこと、それは…

「次はテフロンに替えよう。」

なのです。
「たぶん、大丈夫…」と思って和也くんに任せると、大体大丈夫ではない。
でも「大丈夫じゃなかった」のは和也くんではなく、こちらの用意だといいます。大丈夫じゃなかった時、改善するのはこちら側。お母様は楽しそうに言います。

「なんてやりがいのある仕事だ!って思ってます(笑)」


絵を描くのが子どもの頃から大好きで、出かけ先にも絵の道具さえ持っていけば大丈夫だったという和也くん。

お母様は、幼い和也くんに絵の描き方は教えなかったし、「上手だね」とも言わなかったそうです。それは決して”上手に”描いて欲しいとは思わなかったから。代わりに、「お母さん、その絵大好き!」と伝えていたとか。そのうちに自分なりの絵の描き方を自分の力で習得していった和也くん。冒頭に乗せた電車の絵も、

画像26

最初は正面と側面を分けて描いていたのが、いつの間にかこうやって立体的に描けるようになっていたそうです。
自分の絵を売る方法にしても、ごはんを好きなようにカスタマイズする方法にしても、「自分で考えて試す力」、「やりたいことを叶えていく行動力」はこういう経験から培われていったんだろうなあ…と思わされます。

職場でも家でも、だれに邪魔されることもなく自分のやりたいことを見つけ実行し、楽しく過ごしている和也くん。
描いている途中で急に立ち上がったかと思うとピョンピョン跳ねるのは、描くことへの喜びが溢れて、身体が黙っていられないから。

「”小躍り”ってこういうのを言うのか!と思いました(笑)」

と話すお母様。

「障がいとか関係なく、和也が和也らしく幸せでいられるといいな、と思って」

その言葉がとても印象的でした。

和也くん、実家を売り払うなんて言わずに(笑)、ご家族を大切にこれからも好きなことに突き進んでいってね~!


***
お母様が運営している和也くんのインスタグラム↓

嬉々‼CREATIVE GALLERYでは現在、所属アーティスト・横溝さやかさんの個展を開催中です!ぜひお越しください☆

それでは今回はここまで!
次回もお楽しみに^^

記事:職員N


(この記事は、登場するご本人とご家族の了承を得て掲載しています。)






この記事が参加している募集

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?