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あの巨匠と並ぶ生物オタク!?生き物と絵画を愛するしほちゃんの絵描き談義

【”表情”は、顔だけじゃなくて全身で表現するもの】

この一言からも、絵を描くことへの想いの深さが伝わってくる。

今回は嬉々‼メンバーの中では珍しく、写実的な絵も得意とする高橋史帆さんにインタビューしました。絵を描くのが趣味という人にとっても響く内容になっているのではないかと思います。過去にオリジナルカレンダーにも採用された「食品シリーズ」誕生秘話もあわせてお楽しみ下さい!

絵画のほか、純文学も愛する史帆さん

「写真を撮らせて」とお願いしたらネギを背負ってきてくれた史帆さん
食品の生きていた頃の姿が表現された食品シリーズ

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――史帆さんはとても絵が上手だけど、やっぱり子どもの頃から描いてたんですか?

史帆さん:
3歳の頃から描いてたと思います。
家の中には両親の趣味で絵画のポスターが飾られていたし、母方の祖父は絵を描くのが趣味でした。

――自然と描き始めるような環境だったんですね!初期の作品はアニメ風の絵柄のようですが、子どもの頃からこういう絵を描いていたんですか?

「花と美少女カレンダー」シリーズ

史帆さん:
そうですね。でも小学校高学年ぐらいで一度葛藤しましたよ。「周りの友達が描くような流行りの絵を描くべきなのかな?」って。
私は兄の影響で80年代のロボットアニメを観ていたので、同級生とは観ているアニメの世代が違ったんです。
それから、物心つく頃にはジブリや手塚治虫を見ていたので…。

――すごい英才教育!その頃同級生の間で流行っていた絵というと?

史帆さん:
少年もののアニメだとしても目がかなり大きくデフォルメされた絵が流行っていましたね。そうじゃない絵を描くと「おかしい」って周りに言われました。
でも私は、目が大きすぎると表情が出せないと思っていたんです。
悩みましたけど、美術の歴史を見てもその時代時代で美しいとされているものは違う。アニメに至っては流行り廃りはさらに激しい。であれば、流行りを追うのはやめよう。自分がキレイだと思うものを描こうと、中1の頃に決意したんです。

――すごい!中1にして悟りの境地ですね。

史帆さん:
いえいえ(笑)。でも流行りのアニメは身体の動きにしたって疑問がありました。羽やしっぽの付き方、服のパーツが実際には動かせないと思うデザインが多くて。そんなの見てももしょうがないと思ってました。

――デフォルメのし過ぎってことですか?でも手塚治虫なんかもデフォルメしてると思うけど…。

史帆さん:
いい加減なデフォルメはデフォルメと言ってごまかしてはいけないですよ!
手塚治虫は医者でもあって解剖学をやってるから、人間の身体を分かったうえで意識的にずらして描いてるんです。
手塚治虫やジブリをずっと見てると、キャラクターがちゃんと身体を動かせるデフォルメと動かせないデフォルメの区別ができてしまって気になっちゃいます…。

ちなみにこれは私が大人になってから描いたものですが、某人気ゲームの衣装デザインに腹が立って、描いたものです。図鑑に載っていたニシキエビを見て描いたオリジナルキャラクターです。


――腹が立ったとは!?

史帆さん:
甲殻類へのリスペクトがないんです!どの部位が、人間のどの部位に対応してるのかを考えて描くべきだと思います。

――甲殻類へのリスペクト!!はああ、なるほど。史帆さんは身体を描くのも上手いなあって思ってました。こういう腰のひねりとか、足の角度とか…。

史帆さん:
手塚治虫はじっとしてるポーズが描けない人で、それをお手本にしてたから身体の動きありきでずっと描いてたんです。
兄が持っているアニメの設定資料集を見ても、正面の直立不動ポーズなんてないですよ。

――た、たしかに。でも多くの人はただ仁王立ちしているポーズを描いてしまいがちですよね…。あとは顔だけこだわったり。

史帆さん:
はい、みんな顔重視で描くから、わたしみたいな身体の描き方も小学生のとき「おかしい」と言われましたね…。
表情って全身で作るものじゃん」って周りの子に言っても伝わらなかったです。

――”表情は全身で作るもの”!!私も趣味で絵を描くので、心に刻みたいと思います。
じゃあ解剖学をやってない人間が良いデフォルメを描くためにはどうしたらいいんでしょう?

史帆さん:
写実的なのが好きなのであればそういうものを見て描けばいいけど、そうじゃなければ量産されているものじゃなくてその元ネタになってるものをたどって参考にするといいんじゃないですかね。

――最近ヘタウマみたいな絵が流行ってますよね。

史帆さん:
実はああいう人たちのほうが絵が上手かったりするんですよ。売れてるエッセイ漫画家さんは美大出てる人が多くて、ちゃんと美術の勉強をしている人たちです。

――そうなんだ!やっぱり上手くなるためにはちゃんと勉強しないといけないのかな…。

史帆さん:
あとは、どれだけ見るのが好きかだと思います。鑑賞者として。
絵画でも漫画でも、ほんとにこれが好きっていうものだけを追えれば上手くなると思う。

――ちなみに史帆さんは色鉛筆で描いてると思うんですが、画材にこだわりはありますか?

史帆さん:
小学生の時から水彩色鉛筆を使ってます。これだと中断しても再開しやすいんです。

――油性の色鉛筆とも違うんですか?

史帆さん:
色の伸び方が違いますね。昔から使ってるから、手が覚えちゃってて使いやすいです。

――史帆さんの絵は色彩も美しいなと思います。これもどこかで学んだんでしょうか?

史帆さん:
好きな洋画家の塗り方を見て、水彩色鉛筆で表現するにはどうしたらいいかを考えますね。

――なるほど!美術館に行っても絵の見方が変わってきますね。なんだか絵描きの相談会のようになってきてしまいましたね(笑)。

***
――では次に大人気の「食品シリーズ」について教えてください。このシリーズはどういった経緯で生まれたんですか?

史帆さん:
以前、嬉々‼メンバーの村田美幸ちゃんが作っていたフェルトのお寿司がかわいくて、あまりにもかわいいので「汚したい」と思ったんですよ…。

――汚したいとは!?(笑)


フェルト作家の美幸ちゃん

史帆さん:
この寿司ネタがもし生きてたらどうだろうと想像して、段ボールで作ってみました。しんぺいさんとかしゅうとさんとかも載せてみたりして。

――もはや魚でもない!

しんぺいさんとしゅうとさん

史帆さん:
いろんな生き物を載せてるうちに、このシャリ座り心地良さそうだなと思って、どかっと座ってくれる感じの人を載せてみました(笑)。

――たしかに、この二人は気持ちよく座ってそう(笑)。でも立体作品からのスタートだったとは意外です。

史帆さん:
職員さんが「面白いからこのシリーズ続けてみよう」と言ってくれて、だんだん平面作品になっていきましたね。
最初に平面に描いたのは松坂牛がステーキ皿の真ん中にドヤ顔で座ってたら面白いなと思って描いた作品です。

――実は、このシリーズってなんかすごいメッセージ性を持って描かれているのかなと思ってたんです。こう、動物の権利が!とかそういう…。

史帆さん:
いや、ただ昔から料理を見たら元を連想しちゃう癖があって。
「変だ」ってよく言われてたんですけど、”自分には世界がこう見えてるんだ”っていうのを表現してみた感じですかね(笑)。

――なるほど~。それは面白い!

史帆さん:
旅行に行っても気になっちゃうんです。
たとえば北海道に行ったとき、海岸で残骸を見た生き物が夜、旅館で夕食に出てきたり、牧場の牛を見るツアーの後に牛鍋が出たり、そういうの面白いと思っちゃいます(笑)。
あとは植物に関しても、畑を歩いてるとこれが何の花だとか、考えますね。じゃがいもの花だな、とか。雑草と野菜のどれが同じ仲間かって調べたりしちゃいます。

――食べ物の元の姿とか違う姿に興味があるのかな…。たしかに、我々はスーパーに並んでる状態でしか知らなかったりしますもんね。じゃがいもの花ってどんなのか、パッと思い浮かばないです。

史帆さん:
元々生き物が好きで、本なら何でも買ってくれる家だったから、本格的な図鑑を買ってもらってよく見てました。宮崎駿も手塚治虫も生き物オタクですしね。

――食品シリーズの中でイチオシの作品はありますか?

史帆さん:
うーん、この第三世界ショップのチョコの絵とか。いつもより乳牛感を激しく出そうとしてみました。

「第三世界ショップ」では嬉々‼アーティストの作品をパッケージにしたチョコレートを販売しています。

――あ、なるほど。確かにお乳がほとばしってる感じが…!

史帆さん:
第三世界ショップのチョコはきっといい材料を使ってるだろうなと思って、砂糖はいつもサトウダイコンを描くけど、サトウキビにしてみました。他にもカカオは花まで描いてみたり、カシューナッツも入れてみたりといつもはできないこだわりを入れて描きました。

――サトウダイコンなんて知りませんでした!砂糖はみんなサトウキビから出来ているのかと…。

史帆さん:
サトウキビの方が高価で、甘さがやさしくて吸収率もいいんですよ。

――へ~!勉強になりました!ちなみに、1枚の制作期間はどれくらいですか?

史帆さん:
半年以上かかっちゃいますね。

――すごい!全部大作ですね。今日は絵の描き方の話から生き物の話まで、楽しかったです。次の作品も楽しみにしてます!

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いかがでしたでしょうか?
生き物を愛し、絵画を愛する史帆さんの情熱が伝わったのではないでしょうか。

そんな史帆さんの食品シリーズも展示予定のアニマル展が、2023年7月4日~8月25日に嬉々‼CREATIVE GALLERY&CAFEで開催されます。
様々な嬉々‼アーティストによる動物をモチーフにした作品が一堂に会します!ぜひ遊びにいらしてくださいね☆

それでは、また次回もお楽しみに!

※この記事はご本人の了承を得て掲載しています。


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