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米b8ta全店舗閉店にみるショールーミング、売らない店の今後を考察

Retail-as-a-Serviceの先駆者であったb8taが 今年の2月、米国内の全店舗をクローズするというショッキングなニュースを目にしました。同時にb8ta Japanに関しては国内事業の商標権、ソフトウェアライセンスを取得し、事業を継続することがアナウンスされました。

米国の閉店は、コロナによる来店者数の大幅な減少及び売上減が原因とされていますが、店舗地主との交渉がまとまらなかったこともその理由に挙げられています。

b8taのビジネスモデルは、表面的にはショールーミングをしたい企業やブランド商品をb8ta店舗に陳列することに対して月額料金が発しているように見えるのですが、実際はその価値はクライアント企業が顧客関連データを閲覧できるソフトウェアにあり、そのソフトウェアに対して費用が支払われているようです。

店舗で実物を確認して、購入はオンラインという顧客体験は、消費者のニーズを捉えていると言えますが、ビジネスモデルとしての発展性があるか?という観点においては少し微妙な感じもします。

そんな中、国内では4月下旬から高島屋が、新宿高島屋内にショールーム型店舗「Meetz STORE」をオープンします。国内百貨店においては、大丸東京店が「明日見世」、西武渋谷店が「CHOOSEBASE SHIBUYA」として、21年の秋から同形態の店舗展開を始めています。

百貨店における新業態という観点では、テナントの撤退も目立つ昨今の背景を踏まえると、一見、画期的な打ち手に感じ、店舗を賑やかにする効果もあり、一定の集客効果も見込めるかと思いますが、コロナで加速した百貨店の売上減に対してさほど大きな効果は示さないのではないかと推察します。

米b8taの廃業を鑑みると、やはりビジネスモデルの発展性に疑問を感じてしまうのですが、オンラインショッピングにおける「買ってから後悔」のリスクを軽減することや、いわゆる「衝動買い」の促進という観点で可能性はあると考えます。

私も何度か国内のb8taに訪れたことがありますが、来店者の購買意欲は店舗内でピークを迎え、帰りの電車で商品情報を詳しく調べたり、帰宅してから商品レビューや類似商品との比較を経て、徐々にその購買意欲や減退していくと考えられます。

このような前提を踏まえると、b8taの店舗内または隣接のカフェにて"衝動買い"をしてもらえるよう、b8taアプリを提供し、アプリ上で限定クーポンを発行したり、デモ体験した商品関連情報をプッシュで送付したり、また新たな商品の出展予告などを発信し、再来店を促すなどのマーケティング関連施策や付加価値を充実させていくことも可能なのではないかと思います。



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