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海外生活でわたしを助けてくれる唯一無二のもの

いつもの点心の店で、水晶餃子、粽、鉄観音茶を注文すると彼女が言った。
「結構昔のドラマなんだけど、高校生と女の先生が恋愛するの。えーっと、なんだっけ?」
「日本のドラマ?」
「そうそう、なんとかの条件」
「魔女の条件?」
「それそれ!」
「私あのドラマ好きだった。歌も良かったよね。" You are always gonna be my love〜♩"」

という会話の相手は、中華系マレーシア人の友人だ。
彼女が大学の時、ちょっとした日本ブームが起きた。
日本のアニメのみならず、ドラマや楽曲も流行ったそうだ。
現在の彼女は、日本に関しては食にしか興味がないが、彼女の子供たちはクレしん、プリキュアに夢中だ。

ジムにいるマレー系男性パーソナルトレーナーは、アニメ好きでお気に入りはAkiraとナルト。
「子供の頃は、ドラゴンボールばかり見ていてお母さんによく叱られた」と、一緒に筋トレしながら話してくれた。
「スラムダンクの映画がすごく良かったよ!バスケのアニメなんだけど知ってる?」
「もちろん!先週行ってきたよ」
私より早く劇場に足を運んでいた。

ある日本文化のサークルで知り合った二十代中華系マレーシア人の女性は、流暢な日本語を話す。
彼女も日本のアニメと一緒に成長し、その後日本文化全般に興味が生まれ、現在はアニメ以外で昭和の歌謡曲にハマっている。
特に光GENJIが大好きで、彼らが出演しているベストテンはYoutubeでコンプリート済みだ。
「昭和ポップスだと、竹内まりやとかも良いよ」
「プラスチックラブ、いい曲だよね」全く抜かりがない。

私は、外国で暮らした経験はタイとマレーシアしかない。
しかし、そのどちらの国でも現地の方との交流に、日本のアニメを筆頭とするエンターテイメントにどれほど助けられたか分からない。

現地の方と同席していて、もうネタがない、話が続かない、英語をこれ以上話したくない時、筆者は会話の命綱をとり出す。
そう、日本のアニメについて質問をするのだ。

相手の方なり、その方の親族なり、皆さん何かしら日本のアニメの思い出を持っていた。
そして、その思い出は笑顔と共に語られる。

これほど万人に愛され受け入れられ、なおかつ幸せな思い出と共にあるモノを私は日本のアニメ以外に知らない。

1980-90年代に海外旅行すると、旅先の空港やホテルには日本の家電があり、街を歩けば日本製品の大きな看板であふれた。
2023年現在、家電も広告もほとんど見なくなった。
ユニクロはマレーシアでも人気だが、知人は韓国のブランドだと思っていたし、Fujiりんごは中国発祥だと言っていた。

そんな中、何十年を経ても色褪せることなく、さらに輝きを増しファンをふやし続けている日本のアニメ。
これがきっかけで、日本好きになってくれて日本旅行を重ねる人も多い。
息の長い外交だ。

日本の給与が上がらなくなって、もう随分長い。
1億2千万人いる日本の国民全員が、一人100円拠出すると120億円。
例えばこれを、日本でアニメに携わる方々に分配して、日本の主要外交であるアニメを支援してはどうだろうか。
みんなが100円でも、筆者は喜んで1万円だそう。いや、頑張れば、もうちょっと出せると思う。

海外で暮らす私を、助けてくれるだけでなく、楽しませてもくれる日本製アニメ。
その日本のアニメに携わる方全員に、恩返しがしたいのだ。




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