デザインとは何か?(2)

「デザインの目的」と「よいデザイン」

物事の本質を捉えようとするとき「よい◯◯とは何か?」を考えると核心に一歩近づくことができる。

では「よいデザイン」とはどのようなものかというと、目的をよりよく達成する。より効率的に、より高く目標を超える。そんなデザインだろう。

では「デザインの目的」とは何だろう。

前記事で書いたように、デザインとは認知的体験を設計することであると思う。
すなわち、どのような認知的体験を生み出そうとするか。それがデザインの目的だ。

プロダクトのデザインであれば、使い方が直感的に理解できることや、使っていてそのプロダクトの機能を引き出しやすく、疲れにくい、つまり使い心地がよいことなどが目的になる。
WEBサイトであれば、やはり使い方が直感的に理解できることが大前提として重要だ。また、ほしい情報に最短でたどりつけるような構造や動線、タップやクリックできる領域がわかりやすいオブジェクトのグラフィック、入力が成功したかどうかがわかりやすいインタラクションなどが重要であり、それらが統合されてより機能しやすいWEBサイトができあがる。
グラフィックのデザインであれば、目を惹きつけられることや、伝えようとしているメッセージが直感的に伝わることが目的となる。

端的に言うと、デザインの目的は「心地よい体験」(あるいは「認知的心地よさ」)を生み出すことに集約される

何を言いたいのかがわかりやすい文章というのは、読んでいて心地がよい。逆に、何が言いたいのかわからない文章は、しんどい。読むのをやめたくなってしまう。
文章もビジュアルも造形も同じことだ。
読みやすい、見やすい、聞きやすい、使いやすい。このような感覚は、それぞれの状況で関係する知覚によって認知がしやすいときに生まれる。これが認知的心地よさだ。

つまり「よいデザイン」とは、より心地よい認知的体験の設計である。


例外:「心地のわるいデザイン」

正確に言うと、心地のよいデザインが必ずしもよいデザインというわけではない。
心地わるさが求められる状況というのも存在する。

有名な例が「ファストフード店のイス」だ。
回転率を高めたいファストフード店では、長時間座るのに適していないイスを置いておくという。

「早く食べ終えて、長時間居座らずに退店してほしい」という意図が直感的に伝わりやすく設計されていることに着目すれば、これもよいデザインであると言える。(ただし理想を言うと、「快適な座り心地でありながらも用が済んだらすぐ退店したくなる店舗設計」が実現できれば、その方がよいデザインとなる)

デザイナーにとって重要なのは、心地よさを必要に応じてコントロールできることなのだ。

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