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空前のサウナブームを読み解く。~”ととのい”たい若者たち~

数年前からサウナブームが巻き起こっています。
日本の第一次サウナブームは1951年に「東京温泉」という銀座の温浴施設に、日本で最初に本格的なサウナが設置された頃。1964年の東京オリンピックでは選手村にサウナ施設が用意されて話題となり、フィンランド大使館のサポートもあって日本中でサウナが流行しました。1990年代にスーパー銭湯の開業数が増加したのが第2次サウナブーム。そして近年が第3次サウナブームと認識されています。

2016年あたりからは、芸能人や起業家などの影響力を持つ層による、サウナ巡りに関するSNS投稿が盛り上がり、さらに2019年に「マンガ サ道(作者はタナカカツキ氏)」というサウナを題材とするマンガが実写ドラマ化されたことが、今回のサウナブームのきっかけと言われています。
この「サ道」のヒットにより「ととのう」という言葉が浸透しています。この言葉は、交互にサウナと水風呂(もしくは外気浴)を味わうこと、つまり「温令交代浴」により発生するリラックス状態のことを指していて、気分がすっきりする状態を表す言葉として、タレントなどが、サウナ以外の場面でも使ったりしています。
また、日本各地のサウナ施設を訪れる旅のことを言う「サ旅」、サウナ活動全般を示す「サ活」などのフレーズも流行。
どこへでも移動可能なモバイルサウナ、山奥の秘境サウナ、水風呂代わりに湖・川・海を使うサウナ、ビルの屋上を貸し切って行うラグジュアリーなサウナなど、サウナの楽しみ方が多様に広がっています。

昔と現在、サウナのイメージの差

若年層がサウナに対して「中年男性のもの」というイメージを抱いていたのは30年程度前のこと。そしてそのイメージと現実には、ほぼ差がありませんでした。
しかし今では、サウナに「女性や若者も楽しめるオシャレなもの」というイメージを持つ人が多くなってきているのです。
天海祐希、北川景子、広瀬すずなどの人気女性芸能人や若手お笑い芸人など、多くのタレントがサウナ好きであると明かしていることも影響していると思われます。
現在、「サウナ=中年男性だけの楽しみ」と認識している人は激減しているのです。


現在、なぜサウナが人気なのか

現代特有の理由もありそうです。

1:若年層はクローズドカルチャーを好む
一昔前まで、多くの若年層はオープンなカルチャーを好んでいました。例えば、数千~数万人が参加するクラブやフェスなどです。
しかし、今ではクローズドカルチャーに関心を抱く若者が多数派になっているとされています。クローズドカルチャーとは、似た考え方や価値観を持った人と落ち着いたやり取りができるような、サウナ、スナック、バーなどのこと。
どことなく「少数派な空気」があり、省エネで楽しめる、「ツウなスポット」が令和の若年層の間でブームになっているのです。
そしてそのブームにはサウナブームも含まれています。

2:健康的なイメージの浸透
人気になった要因の一つに、サウナの健康的なイメージが広まったこともあります。
実際、体温を上げることで代謝や血流が向上しますから、特に日頃運動する機会があまりない人ほど、身体を動かした後のような爽快感を得られます。
また、サウナにはスマートフォンなどの電子機器を持っていけませんから、ゆったりと自分自身に向き合うこともできます。
例えば、日頃多忙なビジネスマンがリフレッシュするための「心身の休憩所」としても、サウナは注目されているのです。

3:「ととのう」というフレーズの流行
先ほどお伝えした「ととのう」というフレーズの流行も、サウナ自体の流行やイメージ向上を後押ししています。「ととのう」を宣伝文句として使っているサウナ店が目立ちますし、サウナとは関係のない場面でも、「ととのう」「ととのえる」「ととのっている」などの表現を使う人が増えました。


第3次サウナブームの流れ

第3次と言われる現在のサウナブームはの立役者といえば、「サウナイキタイ」と「サ道のドラマ化」を外して語ることはできないでしょう。この2つ軸にその流れを今一度確認しておきましょう。

2018年:サウナイキタイの登場
サウナ関連情報を発信する「サウナイキタイ」というウェブサイトが2018年に登場。
このウェブサイトを使えば日本各地のサウナを検索可能ですし、サウナの魅力を伝えるための情報発信も行っています。そしてサウナ愛好家のみならず、ライト層もサウナイキタイを活用しています。
また、サウナへの注目度がさらに上がるとともに、色々なオリジナルグッズの販売や企業タイアップなどもするようになりました。
現在ではサウナに関わる全ての人にとって欠かせないポータルサイトとなっているのです。

2019年:「サ道」の実写ドラマ化
エッセイとして2009年に始まった「サ道」は2011年に本としてまとめられ、2016年に漫画化されたことで、徐々に作品としての知名度が上がっていきました。そしてサウナブームの大きな要因となった、「サ道」のテレビドラマが2019年に放送。
「サ道」のドラマ内で出てきた「ととのう」というフレーズの検索数が急増したのもこの頃です。また、ドラマのエンドロールにて、サウナに関する注意書き、サウナの温度や湿度、次回放送で扱うサウナ情報などが提示されるのも魅力の一つでした。

2021年:「サ道」が再びドラマ化
2021年2月にスペシャル番組として再びドラマ化。さらに同年7月には新シリーズが放送されました。


今後のサウナ市場

ブームであるものの、コロナウイルスの影響でサウナ施設に足を運びにくい状況が続いています。現に、日本サウナ・温冷浴総合研究所の推計によると、サウナ施設を利用する人が多くなっているわけではないとのことです。
ただ、サウナの世界観や良いイメージが多様な層に浸透してきたことによって、サウナ関連の経済(サ飯、サウナ用品など)の活性化が期待されています。
コロナ禍であったここ2年ほどの間にも、プライベートでサウナを話題にする有名人がいたり、雑誌での特集、企業のコラボキャンペーンなど、サウナをテーマとした話題は続いてます。

日本人はもともと「お風呂好き」であるため、「身体を温めて発汗してリフレッシュする」という発想は親しまれやすいはず。
コロナウイルスが落ち着いて、リアルのサウナに行きやすくなる時期を待ちつつ、サウナ市場に注目しましょう。

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