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擬態

空いた車両
斜向かいの青年は
私の手を見ていた
目を逸らすから
惹き付けられる

ふた駅ほどのち
青年は
扉の前へ移動する
背中の向こう
ガラス越しに
見返す
柔らかく
優しげな憂い
清涼纏い
駅の上り階段の奥へ
消えて行く

擬態が見せる
絡め手の
青写真
手をひらくと
少しづつ
散っていった

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