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先日、友人を山奥の秘湯に案内した際、途中で以前から気になっていたかつてつげ義春が訪れたという温泉への入口に気付いた。車で通り抜けただけだったけど、街道からV字型に入り込んだ路地は往時の面影を色濃く残し、突き当りに2軒の茅葺屋根の温泉宿と地元の方用の共同浴場があった。今にも浴衣に風呂桶を抱えたつげさんが歩いてきそうだった。 「無能の人」を読んだのは二度目の転職前で、ちょうど無職同然の頃だったから、描かれている主人公の状況がひとしお身に沁みた。十代の頃から仙人になれないものか