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コーヒーとお茶 -精神作用のある飲み物

世界には様々な文化に様々な種類の飲み物が存在しています。
水分を補給するというだけの目的なら水で構いませんが、多くの飲み物はそれ以外の目的を持っています。

世界で歴史があり、広く飲用される飲み物としては

  • お酒(ビール、ワイン、日本酒, etc…)

  • お茶(緑茶、紅茶、抹茶、烏龍茶, etc…)

  • コーヒー

などがありますね。

面白いことにこれらは全て精神作用を有しています。

この中のお茶とコーヒーに含まれているカフェインは世界で最も多く摂取される精神活性物質であるといわれています。

また、最近では清涼飲料水にも添加物として含まれていますね。
(コーラ、マウンテンデュー、ドクターペッパー など)


精神作用も依存性もあるのに子供でも買える

今回はカフェインとそれを含む植物と人間について、いくつかの角度で考えてみました👇


実はカフェインはチョコレートにも入ってます。現代ではチョコは食べ物ですが、歴史的には飲み物として用いられてきました。
カカオの苦さをごまかすのに、トウガラシが用いられていたそうです。
ヨーロッパに伝わってから砂糖が用いられるようになり、嗜好品としての地位を築くようになったのですね。

おまけ知識

大まかな作用機序

カフェインはアデノシン受容体に結合し、アデノシンの働きを邪魔する物質です。
そして、アデノシンの働きは主に誘眠作用であり、体の疲労を伝える役割があります。

より詳しく言うと、アデノシンが、覚醒作用を持つヒスタミンという物質の制御に関わり、カフェインを摂るとアデノシンを減らすことになるのでヒスタミン(覚醒作用あり)が増え、目が覚める

という関係にあるようです。

かなり大雑把な説明ではありますが。。

チャノキ コーヒーノキ について

まず名前が面白いから好きです。
そのまんまですね。似たのでいうとコカノキもありますね、コカインを生産する木です。

チャノキもコーヒーノキも、葉っぱがテカテカした常緑樹です。

テカテカの部分をクチクラ層と呼びます。

チャノキはお茶を栽培しているところを思い浮かべて見てください、低木ですよね。

農林水産省「茶畑から美味しいお茶が届くまで」より引用

しかし本来は7,8mの高さにもなる植物のようです。
大きいのも見てみたいですね。
しかし当たり前なようですが、世界には色んな種類の木があるにもかかわらず、ほとんどの木にはカフェインが含まれていません。

それではチャノキやコーヒーノキにとって、カフェインとはどんな意味を持つ物質なんでしょうか。

カフェインを使った生存戦略とは

結論から言うと、カフェインはこれらの植物にとって、独自の生存戦略に関わる重要な物質です。

チャノキやコーヒーノキの葉や茎にはカフェインが含まれており、周りに生える植物にとって有害であるカフェインが含まれる葉を地面に落とすことで、植物同士の生存戦略に有利に働いているようです。(自分の毒にやられることもあるみたいですが笑)

このような作用をアレロパシーと呼びます。有名なものだと、セイタカアワダチソウやソバの例がありますね。植物の出す毒は他の植物を駆逐しますが、自分自身もダメージを受けます。
そういう毒は普段、細胞内の液胞にとどめているから大丈夫なだけで、別に”耐性を持っている”わけではないようです。

また、カフェインは植物を食べる昆虫などにとっても有毒な成分です。
これによって、チャノキやコーヒーノキを食べない虫が生き残り、天敵が減っていきます。

しかし一方で、花の蜜含まれる微量のカフェインは、それを食べるハチなどの昆虫にとっては精神作用をもち、興奮させる物質であるため、虫たちが行う受粉活動を促進し、チャノキやコーヒーノキは勢力を拡大します。

カフェインは多量に摂取すると毒となりますが、適量であれば良い影響を与えてくれる刺激だということで、それをうまく利用しているわけです。

このことは多くの物質にとっても言えることで、水だって摂りすぎれば毒となります。
毒と薬の関係についてはYoutubeでより深く言及したことがあるので、よければそちらをチェックしてみてください。

先程、「チャノキやコーヒーノキがカフェインを使って昆虫の行動をハックして生存戦略に利用している」 ということを書きました。

しかしこれは人間でも同じなのでは? と思いませんか?

カフェイン入りの飲料は昔から、現代でさえも皆が欲しがるもので、世界中で飲まれており、世界で1番消費されている精神活性物質です。
つまりヒトは、お茶やコーヒーの味とカフェインの作用に惚れ込み、世界中で栽培が行うようになりました。

チャノキやコーヒーノキの生存戦略には人間の活動も大きく関わっていて、人間は利用されているという見方もできるわけです。

これってカフェインに踊らされるハチより働いてるってことですよね。
操られてます、人間。。

紅茶と緑茶の違い

はじめにお茶の種類について述べました。

「お茶(緑茶、紅茶、抹茶、烏龍茶, etc…)」

冒頭より

実はこれらのお茶、全てチャノキの新芽からできています。
新芽からの製法が異なるわけです。(抹茶は採取までのところが違います)
基本的には発酵の有無や発酵の時間に差があります。

発酵に時間をかけると、お茶の葉の緑色は消えていきます。

緑色のお茶は、そのように発酵される前に加熱をして、発酵に関わる酵素を殺しているわけです。
逆に烏龍茶や紅茶は発酵をした後のものですから、緑茶などからは全く想像のつかない独特の香りを持っているわけです。

  • 発酵前→緑茶

  • 発酵途中ぐらい→烏龍茶

  • 発酵後→紅茶

”発酵”とは通常、酵母や細菌などの微生物の活動による変化のことですが、お茶における”発酵”はお茶の葉に含まれている酵素によって行われる変化です。本来厳密には発酵と呼ぶべきものでは無いんですね。面白いです。

添加物としてのカフェイン

カフェインはコーラやマウンテンデューとか、エナジードリンク系にも入っていますね。
これらは精神作用がありますが、非医薬品と呼ばれ、医薬品としての効果を謳わなければ食品添加物として認められているのです。

違反すると薬機法で裁かれます。
「翼をさずける」は効果効能ではないのでOKなのは面白いですね。

まだ非医薬品リストには入っていませんが、CBDもカフェインと同じ立ち位置になろうとしているようです。

効果効能を謳わなければ、薬機違反にはなりません。

なんか落ち着く  そんな気がする  - KOHH

楽曲「CBD」より

ちなみに、コカ・コーラは、コカとコーラという意味みたいです。

コカはもちろんコカの木の”コカ”で、コーラは”コーラの実”というスパイスのことです。

今でもコカ・コーラにはコカの葉っぱの抽出物が入っています。
もちろんコカインは除去されていますが。

また、"コーラの実”がコーラの香りの元で、かつカフェインもたくさん含んでいるみたいです。

コカ・コーラにコカイン入ってたのが都市伝説でもなく事実なの、普通におもしろいよね

まとめ: 人間と精神作用物質

人間と精神作用のある物質の関係はとても面白いですね。
タバコ、お酒等もそうですが、どれも人間は気に入って長い歴史があります。

はっきり言って、これらのものがはじめから全て合法なのはこの歴史によるものです。
大麻なんかも、喫煙の歴史が古くから広く存在していれば違法になりはしなかっただろうと思います。

アメリカにおいては、黒人が大麻との関わりの歴史を持っていたことも人種差別的な文脈で強い規制につながったようで。。難しいですね、

それにしても、世界で広く好まれている嗜好品の飲み物の多くにカフェインなどの精神作用物質が含まれている事は面白い事実だと思います。
世界で大人気のコカ コーラもはじめはコカインが入っていましたからね。
やはり日常的に摂取するものとしては、労働にも向いているアッパー系のほうが適しているということでしょう。

以上です。
記事を書くのはカフェインを摂ってからだととてもはかどりますね!
読んでいただいてありがとうございました!


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