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ぼくはぼくになりたい、どうして?──キラキラコンカフェ嬢に憧れる感情へのアンチテーゼ

このnoteを始める以前から、何度も口にしていたのを知っている人もいるだろう。

「将来なりたいものは「ぼく」です。」

ふと、それについてまた考える時期がやってきた。

コンカフェ嬢という職業をしていたが、俗に言う
「キラキラコンカフェ嬢」
と言ったたぐいには一切憧れがなかった。
もちろん今もそれは変わらない。

逆張りしたいわけでもなく、単純にそういった「他人と比較する(マウントを取る)価値観」に全く興味がないのだ。


例えば、売上を鑑みず言うのであれば、ぼくからボトルをねだるなんて烏滸がましいとすら考えてしまう。
なぜなら、お金を使ってくださるお客様にも生活があるからだ。

毎日、ある程度の賃金を貰うために、お客様の大半は汗水流し、あるいは脳をフル回転させて働いている。
中には、苦しい中日雇いでの仕事を掛け持ちして来店されている方だってもちろんいる。

今風に言ってしまえば、「ちいかわ」のような世界の中で、お客様はひと時の癒しを求め、コンセプトカフェというものにやってくるのだ。

ぼくも、推し活をするにあたって辛苦を味わいながら労働していた期間のある、一介のヲタクである。

働くことの辛さ。
ひと時の癒しのためにお金を使う喜び。

どちらも知っているからこそ、すべてのお客様におしなべてボトルを強請ることができないのだ。

思考していた時に思い出したこと。

ぼくが熊本のコンカフェを卒業した時の話をしよう。
ぼくの卒業は、兎に角急だった。

ぼくもお店側もどうしようもない事情での卒業であったし、時期的にイベントを打てる状態でもなかったので、特に何も大々的な告知を打たずに常連の方に卒業を伝えるに留めた。
ぼくを推してくれる方もちょうど転勤などが重なってしまいほとんどいない状態だったので、卒業のタイミングとしては好都合だとすら思った。

しかし、卒業する当日にはたくさんの方がぼくに会いに来てくださった。
普段は配信やDMでのやり取りしかしない方や、1度お店に来てお話してくれた方ですら会いに来てくださったのだ。

ワイ号泣よ。流石に泣いた。

ぼくがやっていたことは、全く無駄ではなかったのだと。
ちゃんと、お客様とぼくは関係を築けていたのだと。
「108」という1人の人間として、純粋に僕のことを好きでいてくれたのだと、悟ったのだった。

あの時来てくれたお客様とは、忙しくない時はたまにやり取りをしている。
純粋に「108」という仮の名前の「ぼく」を認めてくれたことが嬉しかったから。

そして、そんな人たちだからこそ、ぼくはシャンパンを煽らなかった。

多分、仕事として考えるのであれば正しい行為はシャンパンを煽ることである。
それはぼくも理解はしているつもりだ。

しかし、ぼくはそれをしなかった。
もちろんコンカフェ嬢としては野心が無さすぎて失格である。
ただし、人間としては大いに間違っている、と思ってしまうのだ。

シャンパンはチップと同じ、付随物でしかないとぼくは考えている。
それが「ぼくらしい行動=乙女としての矜恃」なのである。

話を戻すと、ぼくは、InstagramやTikTokなんかで、エンジェルだのアルマンドだの観覧車だのを並べ、
そのような付随物で自分を輝かせようとするコンカフェ嬢にはなれないし、特段なりたいとも思わない。

もちろん、そういった人がいることについて否定したい訳では無い。
そこについては強くことわっておきたい。

だが、ぼくは「そうじゃなくていい」と思うのだ。
コンカフェ嬢だって、立派なビジネスであることには変わりないだろう。
だが、ビジネスとは人間関係の信頼によって円滑に回るものだとも、ぼくは考えているのだ。

だからこそ、まずはグラスを突合せて楽しくお話すること。
そして、お客様のことをよく知り、自分も飾らずに接すること。
それが「ぼくらしいやり方」であるのだと思う。

なにも、付随物でしかないものでキラキラした写真を見せびらかして、自分を過大に見せて愛される必要はないよな、と思う。
なぜなら、ぼくは卒業することで、「こんなにも周りに恵まれていたんだ!愛されていたんだ!」と気づけたから。

身の程を知っているからこそ、大事にできるものだってある。
そう思えたのだ。
多分、それを人は「人間味」というのだと思う。


今日からまた、のっぴきならない事情でコンカフェ嬢を始めることになる。
実は大手のコンカフェにも受かったりしていたが、やはりぼくはぼくらしい選択をしたいと思って選んだ場所だ。
(もちろん内定をくださったすべての店舗に感謝しています)

どんな未来が待ち受けているかわからない。

いつかは、生活のためにボトルを強請る日だって来る可能性はある。

だが、承認欲求モンスターになりそうになったら、この記事を読んで初心に立ち帰ろうと思う。

ぼくを成長させてくれた熊本のアオハル、MOON、そしてそのプロデューサー様とご主人様に、多大なる感謝を込めて。


追伸
…もしなにかお祝いごととかあったら、シャンパン開けようよ!って言ってくれると助かる(やめとけ)

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