「文法」の授業の難儀
中学校の国語科の授業の中で、
教科書に取り上げられている扱い(その分量)以上に、その学習に多くの時間を費やしてしまいがちなのが、「言葉のきまり」、いわゆる「文法」に関する学習です。
学習指導要領に示されたこのことに係る指導事項は、次のとおり。
これを受けて、多くの教科書には、次のような内容でその巻末にまとめて掲載されています。
「文法」に関する学習に多くの時間を費やしてしまいがちなのには、次のような理由があります。
指導者にとっては、なかなかの難儀さです。
これらのことを踏まえ、
私が「文法」の授業を行う時には、次のA~Cの3点に留意して授業づくりをしていました。
A 指導者として、学習のまとまりを次の2つとしてとらえること
① 「文節」に区切ることをスタートにして、文が確かな組み立て・構成を持つものであるかを確かめる学習
② 「単語」に区切ることをスタートにして、10の品詞の性質と働きを確かめる学習
B 「文法」の授業のルーティーンとして、「教師による説明」→「練習」→「反復」の流れを定着させること
「説明」は、指導者から的確に、そして短く。「練習」は、教室全体で。「反復」は、個人のペースで。
C 視覚的な配慮によって理解がより進むよう、学習材やその提示に工夫をすること
特にここでは、
上記のAの①と②の学習の違いを、次のシートでお見せしましょう。
どうですか。
そもそも、その取扱い方が違うのがおわかりでしょう。
そして、「体系」立った学習を必要とするのは、②の方の学習です。
おのずと、時間のかけ方も違ってきます。
よくありがちな授業は、「文節」に区切ることと、「単語」に分けることを、一緒にやってしまう授業です。子らを混乱させます。とりわけ、「単語」に正確に分けることを学習の初期段階にやらせることは、子らの「?」や「できない…」を招きます。「体系」的な理解をしていないのですから、分けろと言うほうが無理なのです。
なぜ「文節」に区切るのか、なぜ「単語」に分けるのかがもっと意識されれば、学習者の戸惑いやごちゃまぜ感を軽減させることができるのではないでしょうか。
「言葉のきまり」という「体系」づいたものの学習。
おそらく、子らも、すべて学び終わってはじめてその「体系」をようやく実感し、その体系の中にこれまでの学びを再確認し、位置付けることとなるでしょう。
やっぱり、難儀ですね、「文法」の学習。
子らも、同じです。
授業者の「腕」の見せどころですね。
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