近藤輝一

黄色団という劇団を主宰しています。黄色団Twitter(@kiirodan)

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最近の記事

わたし、ときどき

登場人物 大渕佳子 細川ちづ子 彼 戸口 奥田 岩永友宏 石橋 音楽。 舞台の上に四つの椅子。 事務所。彼にとっての保健室。 彼は部屋の中をゆっくりと動き回っている。 朝。 奥田登場、顔を洗うと出かける。 奥田が会社に向かう最中、彼は、事務所の中から、見たことのなかった外の風景に夢中になっている。 戸が開き、奥田が入ってくる。 彼は部屋の外へ。隠れているつもりだろうか。 奥田、ブラインドを開けると、外の陽が部屋に差し込んでくる。 彼、そのうちにいなくなる。 デスクに向

    • 汽笛(上演台本)

      まず「あ」としよう。その「あ」が、引き起こす物語。 あ こんにちは。僕は、ここに昨日から立っているとして、僕と言う人間が、どんな人間だか、皆さんは想像つきますか。真剣に考えて。真剣に、考えてくれましたか?ありがとうございます。ま、大抵の人が、ステージプラスの人かな、と思ったのではないでしょうか。まあ、これは冗談で。多分、皆さんたくさんの事を考えたと思います。僕と言う人間がどういう風に見えるか、僕には想像もつかないので、さあ、果たして皆さんが、どんな風に思われたか、僕には想

      • 汽笛(廃案)

        汽車の中 男 汽車にのって三時間。東京までの寝台列車は進み続ける。しゅっしゅしゅっしゅと。暗闇の中を進み続ける。 汽笛。 男 眠い。今日するべきことはもう終わったかな?郵便の宛名はもう書いたし、靴下は脱いだ。硬く絞ったタオルで顔と体と、足はもう拭いてしまったし、浴衣に着替えた。汽車の中でも電気が通っているのには驚いた。どういう理屈かわからないけど、ともかく作業できる環境にあるなら、まだ終わっていない書類仕事を終わらせてしまいたい。 カバンを取って。 男 あれやこれや

      わたし、ときどき