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雨傘

韓国は、あまり雨が降らない。
6月の半ばだというのに、湿気もあまり感じない。
地理や気候について、詳しくは知らないけれど
この気候のおかげで
毎朝、毎夕の娘とのご機嫌散歩が叶っている。
けれど人間て不思議なもので
いや、私の気分的なもので?
持たなくていい、傘を差さなくていいとされると
持ちたくなるのよね。
「困っちゃうよねえ~、面倒臭い人でね~。」
ため息とともに、娘に語りかけたけど
彼女、ジップロックへのティッシュ詰めに忙しくて
それどころじゃないみたい。
邪魔してごめんなさいね、どうぞ集中して。


私には、お気に入りの雨傘があった。
でも、今回の赴任の移動に際して
荷物運搬のどこかで折れたら嫌だなと思って
飛行機便にも船便にも託さず
日本の自宅に置いてきた。
8年使っている、ラルフ・ローレンの赤い傘。
持ち手が木で、支柱がゴールドで
とても大切にしていたな。

本当言うと、当時ラルフ・ローレンより先に
バーバリーの赤いチェック柄の傘を持っていたけど
それは仕事の合間に入ったカフェに置き忘れ、
盗まれてしまった。
悲しかったけど
持っていった人も、傘も、どちらも可哀想だなと思った。
だって、盗んだ傘だと知って使うの、気分良くないはず。
かといって、「盗んだものだから」って
大切に使われないことになったら、傘も災難。
だから、どちらも可哀想。
私は
「もう戻ってこないならば、どうか大事にされてちょうだいね。」と念じて、バーバリーの傘を忘れることにした。


その後、少しして赤いラルフ・ローレンを購入した。

クタクタの私のラルフ・ローレン(3年前)


8年がたって
赤いラルフ・ローレンちゃんは相当疲労困憊。
生地は、全く水を弾かない。
持ち手のロゴタグは取れている。
幸い、軋む音などはしない。
まだ使える。
しかし、私は新しい傘を買っちゃったんだよなあ。

赤いラルフ・ローレンちゃんの限界に
薄々気付いていた頃から
とても気になってた傘があって。
koumoriumbrella っていう傘。
それを買ってしまった。
ああ、世代交代だ。
オンラインで購入、日本の実家に配送される。
前述の通り、韓国には持ち込めないから
赴任期間が終了して日本に戻るまでは
一時帰国のときに、眺めて心をホクホクさせる以外、
使うことがない。
それでも、買ってしまった〜、ああ〜。。
早く、手に取りたい。

今日は
滅多に雨の降らないこの国で
晴れた空を見ながら
雨傘を買うための購入ボタンをポチッとしたときに
思ったこと。


お気に入りの雨傘を差さないといけなかったり
神社を彩る山吹が紫陽花に変わっていたり
ジメジメの日とカラカラの日が来たり
あんな素敵な雨傘を生み出す職人が居たり
日本、好きだなあ。

傘、差したいなあ。


おしまい

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