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亡くなった伯父が結婚する夢

亡くなった伯父が、たまに夢に出てきます。
祖母と二人で暮らしの穏やかな人で、山仕事でしばらく帰ってこない時には寂しく感じました。
そんな時はタンスを開けて服を見て、「いかにも伯父さんだなぁ」という感じの見慣れた色柄に安心したものでした。勝手にラジオを弄って音を鳴らしたりして(笑)
祖母と伯父が揃っていると、完璧な幸福感が押し寄せてきたものです。
自分の調子が良くない時には、警告のようなかたちで出てきます。
両親がデパートのセールでガツガツ獲物を漁っているのに乗じて、私も加わろうとする夢。
振り向いて伯父に何が欲しいか訊いたところ、「オレはなーんもいらねえんだ」と微笑んでいました。
ちょっと恥ずかしくなり、伯父はやんわりと私の欲深さを注意してくれたのかなぁ。と解釈しました。
ある時見た夢は、あまりにはっきりしていて忘れられません。
長いテーブルを置いた畳の座敷は、どうもお寺のような感じです。そこに親戚一同が座って、何かを待っていました。集まった面子は、亡くなった人が多い感じだったかも。
どうも葬式か火葬場のような雰囲気なのですが、みんな楽しそうで不思議な感じです。
周囲を見回すと伯父がいたので、私はその背中と肩を見ます。
白い艶のあるサテン生地に牡丹かバラのような花の透かし模様が入った、とても華やかなシャツを着ています。
ポロシャツとランニングシャツ姿しか見たことがなかったので、私はびっくりして訊きます。
「伯父さんどうしたの、オシャレして」
「はーはは。いやなに、そのな…」
肩越しにこちらを振り向いた伯父は照れ臭そうでしたが、見たことがないほど嬉しそうにしています。
はっきり言わないけれど、どうもこれから伯父の結婚式が始まるようです。
揃いのドレスを着た新婦を、みんなで待っているところだったのでした。
そこで目が覚めました。

これは一体、何を意味しているのかしら。
少し怖さもあったので調べると、どうやら縁起の良い夢みたいですね。
しかし、伯父は生涯未婚だった人でした。
伯父が向こうで理解ある伴侶を見つけたのなら、ほんとうに良かった。
ぶっきらぼうで口数は少ないけど、優しくて良い伯父さんでしたから。
それから、伯父の夢を見ていません。
もしかして、旅立っていったのかもしれません。

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