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苦しいほどに抱きしめられる夢

何かの講演会が終わった後の多目的ホールは、大勢の人でざわついていました。
帰ろうと席を立った私は、知り合いの女性を見つけました。
Aさんの奥さんだと思って、声をかけます。
目がくりっとした細身の女性は、長い髪を後ろでひとつに結んでいました。質素な紺色の綿のコートを着ています。
小学校の同級生だった女の子の、お母さんにも似ています。
「私…、Aさんの奥さんが前から大好きだったんです」
そう言いながらじっと見上げて、奥さんを抱きしめます。ちょっと変なセリフですが、夢の中なのでご容赦ください。
すると奥さんの目がじわっと潤んできます。
彼女は「まあ…」と腕を広げて、私を抱き返してくれました。
最初は優しく、段々に強く。
私は母に抱きしめられたことがないので(父にもたぶん)、「ははあ、こういう感じがするものなんだあ…」とよく味わっていました。
どこにも隙間がないぐらい温かくて濃密で。
嬉しい感情はちょっと麻痺していて感じにくいのですが、おそらく嬉しかったのだと思います。
そのうちに抱きしめられる力が段々強くなってきて、もう苦しいぐらいです。
満たされて、もう一杯いっぱいだと声をあげよう
とした時、目が覚めました。

夢の解釈
寝る前に日記を書いた翌朝の夢ですので、内容は地続きだと考えられます。
お友達のお母さんに抱きしめられるというシチュエーションは、バーネットの「秘密の花園」のワンシーンに似ています。
コリン少年は、友人ディコンの母である慈悲深い婦人を慕って声を掛けます。「あなたは、僕の亡くなったお母さんがこうだったらいいな、と思っていたような人です」
婦人は目を潤ませて腕を広げ、「まあ、かわいい、坊ちゃん!」と思い切り抱きしめてくれるのでした。
うん、けっこう似ていますね。大好きなお話です。
今回の夢は、愛情の回復的なテーマでわかりやすい。
いつも無人で、不気味&不思議&キレイが定番の自分の夢だったのに。今日の夢は、見たことがないほど大勢の人がいました。
これまでの夢は、孤立感を意味していたのかもしれません。
苦しくて目が覚めたぐらいですので、抱きしめられる感覚はとてもハッキリしていて、リアルでした。
私は愛情を受け取ったのだと思います(寝起きでまだ、ぼんやりしていますけれど)。
婦人の正体は、誰でしょうか。
目覚めてよく考えると、Aさんは奥さんのいない方でした。あの婦人は、架空の謎の存在ということに!
夢の中では実在する人物だとハッキリ思っていたので、不思議なものですね。
婦人は理想の母であるような、同時に自分自身でもあるような感じがします。
夢分析的には、アニマということでしょうか。
もしも私が負の感情の自虐ループから抜け出して、自分自身をようやく受け止め、愛せるようになったのだとしたら。
それはとても良いことに思えます。← ぼんやりしていて、まだ他人事(笑)
「ご自愛ください」の意味が理解できなくて、鬱になるまで自分を追い込んでいましたから。
ほんとうに長いこと、自分自身を許せませんでした。
実の両親に愛されなかったという科で、自分自身に罰を与え続けてきました。
誰もいない、荒れた家の中を彷徨う夢ばかり見てきましたが…。もしかしたら、心の中の「冬の旅」が終わったのかもしれません。
こんなことを断言しておいて、また負のループに陥ったら恥ずかしいと思う、臆病な自分もまだ居りますが(笑)
食事をしたり行動しだしたら忘れそうなので、とにかくここに書きつけておきます。
私の日記帳兼備忘録です。



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