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さて、問題です。


ずっと覚えていることと、
忘れられないことは、どう違うのだろう。

星を編む / 凪良ゆう


思うに、この問いへの答えは
その記憶に感情が伴っているかだと推測する。
言ってしまえば、ずっと覚えていることは、
その出来事自体が派手だっただけかもしれないし
肉体的に辛かった、楽だった、だけかもしれない。
忘れられないことは、
それを思い出すだけで気持ちが晴れて、生きててよかった、これからも生きようと思える。
思いがけず涙が出て、このままずっと記憶の中で泳いでいたいと思える。
もしくは頭の中をえぐられるような気持ちになって、もう全て終わらせてしまおうか、そう、思う。
こんな感じ。


じゃあ、わたしが忘れられないことは?



画面越しに見た大事な試合
誕生日にもらったスニーカー
高校生とは思えないほどに
理路整然と人生設計を話してくれたこと
テスト勉強という名のビデオ通話
部活着のまま会いに来てくれたあなたの顔
サッカーとキミは同じくらい大事だって
言ってくれたその言葉
1年の中で最も街が煌めく日、新幹線に飛び乗って会いに行ったこと
訳もなく寝落ち電話をした夜
最後になるなんて想像もせず
いつも通り言葉を交わした駅のホーム


あぁ忘れない、忘れたくない。

絶対とか一生とか、そういった、
不確定な要素を含んだ言葉が好きではないけれど、思わず使ってしまいたくなるくらいには
絶対に、一生、忘れない

わたしが生きていける、前に進める
大事な記憶。



さて、問題です。
あなたの忘れられないことは?

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