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正しさと美しさと、ヌケ感と、ほんとうの色気と。

知り合いで、美しいひとがいる。

ルックスは清潔感のある化粧気のない清楚な、ど美人といかないまでも綺麗で、食べるのがとても上品でゆっくり。
かと言って凄い良家のお嬢さまというわけでもない。
でも、きっと育ちは良い。
仕事も出来るし、かしこい。
芯もあり、人望も厚い。
そしてお酒もほぼ飲まない。

そんな彼女が夫に別れを告げられた。

こんな素敵なひとと別れる理由って???

でも、何となく、なんとなく、私はゆっくり時間をかけて思った。

彼女の夫も知っていて、近所の小さな居心地の良い安居酒屋でバッタリ会った事があった。

女の人と一緒だった。

彼女とは違う雰囲気を纏っていて、なんていうか、上品さというのは全然彼女の方が上なんだけど、気楽であっけらかんとしていて、飲むのが楽しそうな女っ気のあるひとだった。
髪が長くて化粧をしていた。

悪びれる様子もなく、挨拶してその女の子と出ていった。

またある時別の立ち飲み屋でその夫に会った。

顔を赤くして酔っ払って、常連同士でとても楽しそうだった。

なんだかそのたった2回のシーンは目に焼き付いた。

あの気を抜いた、ひょっとしたらカッコ悪いようなところを奥さんのところで出せていたのかな。と思った。

出せていたら違ってたんだろうか、

それともやっぱり別れていたんだろうか。

わからないけど。

彼女が別れた後に話を聞いていたら、別れを告げられてからも努力をした話をしていた。
その努力も真面目なものだったし、ちゃんとしていた。
相手が弱っている時に助けたとも。

良い人だと思う。

でも、気持ちは戻らなかった。

マイルドに優しく話しながらも彼女は、何か元夫をとても正しい気持ちで、正論で追い詰めたような気も少し、した。

彼女はうつくしく、正しい。
それは美徳だけど、ずっと一緒にいるときの居心地の良さとはまた違うのかもしれない。

ダメな自分を受け入れて許してほしい、そんな甘えたさが男の人にはあるような気がする。

美輪明宏さんは、精神的に相手を包み込むような優しさを色気というと言ったっけ、。

カップルが別れる時はいつも残酷で、片方の心変わりでしかない。

私もそうだった。
申し訳ない気持ちでいっぱいになるけど、もう相手を想えないとどこかで整理が自分の中でついてしまうと、もう戻らないのだ。

あの情熱や感情や病的なまでもの没頭や欲望はすっかり消え失せて、思い出すこともままならない。

そして、その心変わりに正論は太刀打ち出来ない。



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