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バイオリン練習の要は「くるくるぽん!」①


子ども時代の大バイオリニストとの思い出

私の趣味はバイオリン演奏です。子どもの頃よりバイオリンを始め、現在まで常にバイオリンとともに過ごしてきました。きっとこの先も変わらずバイオリンを弾き続けると思います。

ここまでバイオリンが好きになれたのは、バイオリンや音楽そのものの魅力とともに、今まで出会ってきたバイオリンの先生方が運良くも素晴らしい方ばかりだったことにもよります。

今回はその先生方のうちのある大バイオリニストとの思い出を記したいと思います。というのもその先生がおっしゃっていたことが、30年ほどたった今、ようやく腹に落ちるような心地になってきたからです。今になって私なりにわかるようになった、とは自分の飲み込みの遅さに呆れてしまいますが、自分の中で長らく疑問であったことと、分かった時深く感動したため、今このことを残しておきます。

なお、私はそのバイオリニストの先生が主宰のバイオリン教室に通っておりましたが、レベルの低い私がその先生に習うことは滅多になく、発表会など特別なことがある場合に少しお教えいただく機会があった程度でした。しかし、その数少ないレッスンの中でも印象的なお言葉をたくさんかけていただき、また自分のレッスン前後で他の生徒さんにかけておられて私の記憶に強く残りました。

そのうちのひとつが「くるくるぽん!」です。

くるくるぽん!

その先生がバイオリンの先端の渦巻き部分を私に見せ、「バイオリンは何度も繰り返して練習しなければならない。」とおっしゃりながらそのバイオリンの渦巻き部分に沿って指をくるくると回し、「長く練習し、最後にポン!とならなければならない。」と渦巻きの中心部分をポンと指されました。そして「バイオリンの練習は『くるくるぽん!』やで。」とおっしゃり、茶目っ気たっぷりに私に微笑まれました。

私はこの「くるくる」=「何度も繰り返して練習する」ということは理解できたのですが、最後の「ぽん」という言葉の意味が本当にわかったと言えるか、というと自信がありませんでした。喉元に魚の骨が刺さっているかのようなスッキリしない心地とともにこの言葉が頭の中に残り続けました。この約30年間ふとこの言葉を思い出しては自分の中で答えを探し、その時々の答えに確信が持てないまま再び保留にし続けていきました。

自分なりの答え、一つ目

この言葉を子どもの頃に伺ってから現在までの間、私は進学、就職、出産に子育てなどさまざまなライフステージを経てきました。
バイオリンに関しても受験や就職したての時など忙しい時を除いて発表会なりで大好きな発表の場を常に自分なりに求めてきました。

そのような経験の中でも特に子どもの成長する姿が自分にとって良い学びとなりました。
ハイハイや歩行、食事や読み書きなど、子どもたちは何度も挑戦していくうちにそれらが身につき、やがてそれができることが当たり前になっていく過程を数多く見てきました。
ある理学療法士の方が「何かを身につけようと何度も練習する時、脳の中では大脳を使っているが、それが『当たり前』にできるようになった時、その行動は小脳を使って行うようになる」とおっしゃっていました。何かを「当たり前」の境地でできるようになった時、その情報処理を小脳でするようになるとのことです。
私の「くるくるぽん」の答えの一つがこれです。技を当たり前にできると言えるくらいまで完全に習得すること。

次回に続きます。

※ヘッダー画像をhananosu様からお借りいたしました。ありがとうございました!

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