ブラジルで“良妻賢母“という観念を手放した話

ブラジルに来て、良かったと思えることの大きなひとつは、自分で当たり前と思っていた考えを手放せたことです。

日本でのこと

私は出産後、漠然とながら自分の思う“良妻賢母“を目指していました。夫は激務でしたし出産を機に仕事を辞めた私にとっては家事も育児も自分が担当することに初めは納得していました。産後アドレナリンが出ていたこともあったからか、体力の回復をみながら自分のできうる最高の家事と育児を目指していました。それぞれの能力などが日ごと身についてきてそれは良かったのですが、最初の子の産後から数ヶ月経つ頃から少しずつモヤモヤが増大してくるようになりました。というのも産後しばらくして家事育児の余裕が出てきたら再び仕事をしたいと考えていたのですが、当面の間その余裕が出てこなさそうということにようやく気づいたのです。この家事育児を全て私が負担をするという役割分担が夫にとって当たり前のものになってしまっていないか、ということも気がかりでした。しかし夫が体調を崩すほどの激務なのと、特別な能力やキャリアを持っていない私が子どもを抱えながら本当に再び仕事に従事できるのか自信がないため、話し合いを持ちかけることもできずにいました。そして更に、母親になってからは社会から夫のため、また子どものために過度に尽くすことを求められるような機会も格段に増えたように感じています。自分の思い描いた“良妻賢母“であり続けることに不安を感じ、更に社会が自分に求めるより負荷の高い“良妻賢母“という役割に辟易しながらも、次第に妻としてまた母親として生きていくためある程度受け入れるべきものと思うようになっていました。

そんな中、ブラジルでさまざまな生き方をする女性に会ったこと、そして出会ったブラジル人たちの圧倒的に自己を肯定する価値観に出会ったことで自分のマインドをリセットできるようになりました。今回その事例をお伝えできたらと思います。

さまざまなスタイルで子育てするブラジルの女性たち

私の出会ったブラジル人女性の中で子育てに関してなかなか刺激的だった例を挙げていきます。

・3歳以下のお子さん三人をベビーシッターと母親に預け、夫さんと一週間アルゼンチン旅行に行った女性
・料理の一切を夫さんかお手伝いさんに任せる女性
・ベビーシッターを一日三人、8時間ごとの24時間体制で雇い、仕事に邁進する女性 etc..

もちろん私とは状況が全く違いますし、自分の生活にすぐさま取り入れようとライフスタイルではありませんでした。しかし産後自分の中に少しずつ定着していった、“私は家事に従事し、学校等以外で幼い子どもは常に母親といるべき“という思い込みが彼女たちに出会うたびに剥がされていきました。そしてやりたいことに邁進する彼女たちの姿が本当に眩しく感じました。

ブラジル人の圧倒的な自己肯定感

ご自身のライフスタイルに自信を持つ方だけでなく、課題を抱えていると話す方にもお会いしましたが、そんな方もどんな方も自分自身への誇りを高く持たれて自分の意志で自分の人生を歩もうとしている方が多く感じました。自分を卑下するような言葉は全くと言っていいほど耳にしなかったと思います。更に他人の存在ややっていることに批判をする人もほとんどいませんでした。政治家やもちろん人を傷つけたりする人には厳しい批判はありましたが、どんな趣味であろうが、どんな性的指向であろうが、どんな職業選択であろうが、批判を受けることは私のブラジルでの生活圏の中ではまずないと言えると思います。このような自己肯定感と併せて他者肯定感の高い環境でしたので、生活上ハードなことは山ほどありましたがそれでもブラジルでの生活は本当に楽しく、またとても居心地が良かったです。自分のこれからのキャリアをある種のタガを外して自由に思い浮かべられるようになりました。少し余談かもしれませんが、日本では絶対にやらなかったであろうラテンダンスもブラジルで楽しく踊り始めるにいたりました。誘われた当初、全く才能がない、と思い断っていました。ところが誰も私のことなど見ないよ、と言われたのでおそるおそる参加してみると、実際に誰も私のことなどを見ず、それぞれご自身の踊りに集中されていたので、私も入りやすく気がついたら私自身も思いきり集中してダンスを楽しむまでになっていました!私の人生でラテンダンスを陽気に踊る日が来るなんて…!!周りからの目を気にせず自分が面白いと思うことをする楽しさをダンスからも学びました!

ブラジルにおける“良妻賢母“とは

では、ブラジルでの“良妻賢母“とはなんなのだろう、と思い巡らせました。しかしこれ、というものは自分の数年の滞在経験からは導き出すことができませんでした。母でありながら働いている女性は日本より格段に多いですが、専業主婦を選んだ方もいました。また女性が男性を家庭内でサポートするパターンもあれば、その逆のパターンも少なからずありました。強いて言えば結婚して長い年月が経っても男性は女性に女性的魅力を求め続ける方が日本と比べて多いように感じますし、良い母親ということで考えると子どもに自己肯定感を与えられる女性がそうなのかなあと推察します。しかし日本のように型にはまった役割を子どもを持つ女性に求めることはないように思います。

まとめ

ブラジルでの生活を経て、日本でもこのブラジルで学んだ自己肯定感と他者肯定感を持ち続けられたと思っています。また息子たちにもこの価値観を持って自分たちの人生を自分たちの思うように切り開いていってもらえたらと思います。

※最後に念のために書かせてください。私はブラジルで比較的裕福とされているごく一部の人たちとしか接していない為、これが一般的なブラジルの姿ではないと思います。特に貧困層の中では自由を奪われ暴力にさらされている女性も多くいて、他にもさまざまな差別に苦しむ人もいるそうです。ニュースなどを見ているとブラジルのこのような闇は日本の問題の比にならないと感じています。





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ブラジルとドイツの在住経験から日本の当たり前を疑い、また日本の良さに改めて気付くようになったので、これらのことを頭から少しずつ棚卸しできたらと思います。他、子育てや家族運営、そして自分のキャリア形成の試行錯誤についても著していきます。
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