出血!ベルトコンベア式健康診断!
健康診断を受けた。
あれはすごい。毎日やってるんだろうか。
札幌市内某所にある健康診断専門のクリニック的なところに行ってみると、人が大量にいて待合室には病院着の人人人。受付を終えた私も病院着に着替えて自分の出番を待つ。私の手には番号札が握られており、その番号は350番(仮)。
350番だって!? 午前中にいったのだけど、私の前にはすでに349人の健康診断の先輩たちがいるってことですか? いったい1日で何人を捌いてるんだ?
番号札はもしかしたら200番から始まってるのかもしれない。にしたってすごい数の人人人。みんな健康診断を受けるんだ。
今回の健康診断は、身長・体重・視力・聴力・血圧・血液・心電図・問診・レントゲンのメニューだった。バリウムは飲んでない。
まるでベルトコンベアだった。ある検査が終わったらまたすぐ別室に呼ばれて即座に検査を受ける。その様子はさながら卸売市場にたどりついたマグロだな、と思ってニヤッとしちゃった。
身長を測ったと思ったら「350番の方〜」とすぐに呼ばれて血圧を測る。かと思ったら「次は12番の部屋に進んでくだっさ〜い」と言われて、自らの意思で12番の部屋に向かう。
視力検査のときは「コンタクトですか?」と聞かれたので「いえ、裸眼です」とキリリと答える。裸眼視力は1.5だった。衰えぬ私の視力。
血液検査のときになると、少し落ち着く。注射をするので係の人と数分接することになる。「あの、これって毎日やってるんですか?」と聞こうと思ったんだけど、なんかキショいなと思って聞かなかった。
「あーい、チクっとしますよ〜」
(チクッ)
血がどんどん抜かれていく。この血で何がわかるんだろうか。どんどん吸い出される私の血液。注射針が刺さっている箇所と溜まっていく血をじっとみつめる。
「はい、では絆創膏をはっておきますので5分くらいおさえておいてくだっさーい」と言われて「あーい」と答える。次はお医者さんによる問診。あれの名前はなんだっけ、そうだ聴診器。白髪のドクターが捲り上げられた私の上半身に聴診器をあてて音を聴いている。ありがとうございます。
後ろにいた助手的な50代の女性が「はい、では次レントゲンでーす、お部屋の番号は……」といいかけた途端「あらやだっ!」と言った。
なんだなんだ? と思っていると、助手の女性は「出血多量です」と言う。そう言われてもなんのことかわからないから「え?」と言ってアホみたいな顔をしていると、先ほどの血液検査で注射を打たれた私の右腕を指差す。
「ほら、こんなに血が!」
自分の右腕を見るとたしかに病院着が血でにじんでいるではないか。じんわりとでもたしかに赤く赤く血がにじんでいる!
助手の女性は「先ほどの血液検査の部屋に行ってもらって、出血を止めてもらってください」と言うので「あ、はーい」と答えながら先ほどの部屋に戻る。
卸売市場のマグロでいえば、きちんと神経締めができていなかった状態みたいだ。これまで順調にベルトコンベアに乗ってきたけど、商品の私に不良箇所が見つかった、みたいな。
いくら血がじんわりと広がっているとはいえ、正直なにも感じなかった。血液検査の部屋に行くと、係の人は何人かの人に注射をブスブスさしている。その現場に私が「あの〜」と声をかけて右腕を指差すと「あら大変!」と母性たっぷりの女性たちが出てきた。
「注射が下手だったのか、おさえるのが甘かったのね。血を全部拭いて洗いますからね」
おぉ、母性。
マグロのごとく身を委ねる。
「お着替えしなくちゃね」と言われたけど、右腕をまくれば目立たなかったので着替えはしなかった。
「あら、着替えなくても大丈夫?」と聞かれたが「これなら目立たないんで」と答えると納得してくれたのかリリースしてくれた。最後の検査である心電図検査に向かう。
心電図検査では上半身をまくり上げて仰向けになる。例に漏れず私もそうした。係の方は「では仰向けになって楽な姿勢になってくださ〜い、はい、リラックスで〜す」と言う。
(リラックス、リラックス〜)と思って全身を脱力させると10秒くらい寝てしまった。「はい、終わりで〜す」と声をかけられて目を覚ます。トータル時間で30分程度。
途中で問題はあったけど、私がマグロだとしたらこれで出荷前の審査は終わりだな、いくらの値段がつくかな、と思ったか思わないかで足早に仕事に戻った。
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