歳を重ねるとすぐお腹いっぱいになるよね?
小学校高学年あたりだった気がするが、家族でお寿司屋さんにいくとそれはもうたくさんのお寿司を食べた。23皿食べた。今でも覚えている。当時は草彅剛さん主演のドラマ『フードファイター』が流行で、あのドラマの名ゼリフ、
これがやけにかっこよくって、マネをしたものである。野菜を食べ、お肉を食べ、魚を食べ、お茶碗いっぱいのご飯を何度もおかわりして、最後に兄妹の前で決めゼリフを言うのである。
「俺の胃袋は……宇宙だぁ(ゲェップ)」
よく考えると胃袋が宇宙ってヤバくないか。人間の身体の中に宇宙があるってこと? それはミクロな視点でみるとある意味正しい(?)かもしれないけど、物質的な意味で考えると人間の身体の中には宇宙は入らない。
じゃあ、胃袋が宇宙と繋がっていて、草彅剛くんは食べ物を宇宙に転送していたのだろうか、と考えるだけムダだもんね。そうではないもんね。
さて、先日お腹が空いたのでカツ丼を食べた。
朝から何も食べておらず、お昼も何も食べていなかった。15時ころの商談の席でお腹が「グゥ」と鳴ったのである。それも何度も。
目の前にいた方は「イトーさん、お腹が空いてるんですか?」と質問されるので「えぇ、まさしく」と答える。お腹が空いたらお腹が鳴る。見事な身体のしくみ。続けてお客さんは「何も食べていないんですか?」と質問してくれた。
あれ? 何か食べ物をくれるのかな? と思った。だって、そういう質問をしてくるってことは何か会社内にあるおやつでもなんでも恵んでくれるのかと思うじゃないか。
むしろ「何も食べてないんですか?」という質問は、その後に食べ物をだすための助走質問である気もする。
なので「ええ、そうなんです。朝から今まで何も食べてません。なんなら一昨日くらいからなにも食べてないかも」なんていう飢餓ジョークを炸裂させた。するとお客さんは「そうなんですね」と言ったきり、特に何かが出てくることもなかった。
というわけで、その場を出て近くにあった北海道最強コンビニ「セイコーマート」でカツ丼を購入した。普通茶碗の1.2倍くらいの量が入っているセイコーマートのカツ丼ならばこの空腹を満たしてくれるはず。
私は元胃袋宇宙系人間だし、こんなカツ丼、すぐに吸い込んじゃうもんね、と思いながら車の中でカツ丼を食べる。
が、残り20%くらいでお腹がいっぱいになった。
気合いですべてを食べ切ったのだけれど、どういうわけか、あれほどお腹が空いていたのに、目の前のちょうどいい量のカツ丼を全て胃に入れることが難しい。俺の胃袋は宇宙ではなかったのか。
そういえば、私はいま33歳なのだけど、胃袋に入れられる食べ物の絶対量が減った気がする。つまりすぐにお腹いっぱいになってしまう。油物もキツいし、ラーメン屋の1杯のラーメンも正直ちょっとキツい。
年を重ねるとすぐにお腹がいっぱいになるという現象は、おそらく多くの方の共感を得られると思ってこの記事を書き始めたわけなんだけど、ここまで書いて思うことがある。それは、
「明らかに私よりも年上なのに、わんぱく少年くらいのご飯をいとも簡単に食べる一般人がいる」という事実である。これは本当にびっくりする。
お昼時の定食屋さんとか、夜のラーメン屋で、山盛りのおかずに山盛りのご飯、まるで罰ゲームみたいな量のご飯を食べているサラリーマン風の男の人がたしかに存在する。
これはどういうことだろう。
ムリをしているのか、単純にわんぱくなのかよくわからない。本当によくわからない。
【関連】わんぱく系のエッセイならこちらも
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?