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闇バイトの帝王ゾフィー。

ゾフィーは冷たい目をした男だった。声は穏やかで丁寧だが、その裏には計算し尽くされた冷酷さが潜んでいる。

ゾフィーの手法はシンプルだが、いつだって絶対的で効果的。どんな人間もゾフィーの指示通りに動けば破滅への道をまっしぐら。



「普通の大学生」

ゾフィーがターゲットにしたのは、都内の大学に通う真面目な学生。生活費を稼ぐために、求人サイトで見つけた「カンタンな運搬作業」に応募してしまった。


ゾフィー「君は責任感があるね。まずは人を運ぶ仕事だ。安全な環境での簡単なバイトだよ」


学生は何も疑わず、言われるがままに人を車に乗せて目的地まで送った。しかし、運んだ人物が詐欺グループの「上がり」を届ける役割だったことを知るのは、警察に捕まりかけた後だ。

ゾフィー「怖がらなくていい。次はもっと楽な仕事を用意してあげるよ」

その後も学生はゾフィーに利用され続け、家庭も大学も失い、気づけば犯罪グループの一員として名を連ね、数ヶ月後に逮捕される。



「サラリーマン」

次にゾフィーが狙ったのは、会社のリストラで生活が苦しくなった中年のサラリーマンだった。

ゾフィー「失業して大変だね。でも、君みたいに頭の良い人はすぐに稼げるよ。ちょっとしたデータ入力の仕事をお願いしよう」

初めはリストの名前を書き写すだけの簡単な作業。だが、それが詐欺の「カモリスト」の作成だと知る頃には、サラリーマンは脅迫され、逃げ場を失っていた。

ゾフィー「家族がいるなら、もう少し頑張らないといけないね。ここでやめるのは賢明じゃないことは君なら理解できるだろう?」

家族を守るためにさらに深く犯罪に手を染める男を、ゾフィーは静かに見下ろしていた。



「シングルマザー」

ゾフィーの電話は地方に住むシングルマザーにも届いた。彼女は子どもを養うためにアルバイトを探していた。

ゾフィー「お母さんは偉いね。僕の仕事を少し手伝ってくれるだけで、子どもが喜ぶお金が稼げるよ」

最初は物品の受け取り作業。その後、銀行口座を作るように指示され、結果的に名義貸しに加担させられた。

ゾフィー「君のおかげで多くの人が助かっているよ。そういえば、もうすぐ君の子どもは入学式だったね。いいランドセルを買ってあげたかい?」

彼女が全てを失い、地元を去るまでゾフィーは冷静に指示を出し続けた。




ゾフィーの哲学。

ゾフィーにとって人間は道具でしかない。ゾフィーにとって罪悪感などという概念は無意味。言葉巧みにターゲットの弱みを握り、希望を餌にして行動を操る。それはゾフィーにとってただのゲーム。

ゾフィー「人間は追い詰められたときこそ真価を発揮する。その力を、僕が、そう、僕が引き出してあげているんだ」

破滅への道を歩む人々を眺めながら、ゾフィーは今日もまた、新たな獲物を探す。彼の電話が鳴るたび、誰かの人生が音を立てて崩れ去るのだ。


ゾフィー「さて、つぎは......こいつか」


......プルルルルルルルー

純粋くん「あ、もしもしー! そうですー! 求人に応募した純粋と申しまーす! ゾフィーさんですね! よろしくお願いしまぁす!」


[あしたにつづく]

〈あとがき〉
だめ、ぜったい。ラクしようとしたらダメ。ゾフィーみたいな人は本当にいるらしいってんだから困りものです。純粋くんvsゾフィーの戦いをおたのしみに。今日も最後までありがとうございました。

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